>定年後に再雇用されたトラックの運転手が「正社員と同じ仕事なのに賃金に差があるのは違法だ」と訴えた裁判で、東京高等裁判所は「2割前後の賃金の減額は不合理ではない」として、原告が勝訴した1審の判決を取り消し、訴えを退けました。
横浜市に本社がある長澤運輸を定年退職したあと、嘱託社員として再雇用されたトラックの運転手の男性3人は「正社員と同じ仕事なのに賃金に差があるのは違法だ」として会社を訴えました。裁判では、正社員との格差が、法律で禁止された不合理なものと言えるかどうかが争われ、1審の東京地方裁判所は「財務状況などを見ても正社員と格差を設ける特段の事情はない」として同じ賃金の支払いを命じ、会社が控訴していました。
2審の判決で、東京高等裁判所の杉原則彦裁判長は「同じ仕事でも一定程度の賃金の減額は社会的に容認されていて、企業が若年層を含む雇用を確保する必要性などを考慮すると、減額は一定の合理性がある」と指摘しました。そのうえで、「賃金の引き下げ幅は、年収ベースで2割前後と同規模の他社を下回っていて、直ちに不合理とは認められない」として、1審の判決を取り消し、原告の訴えを退けました。
原告側は会見し、「格差や差別を正すために訴えたのに、現状を追認する判決に強い憤りを覚える」と述べ、上告する考えを示しました。
ニュースで読んだが、やはり、最高裁の判断が必要だと思う。
これでは、普遍的な規範には成りえず、個人的にも高裁判決には納得できない。
運転手が不足しているトラック業界で若年労働者の雇用とリンクさせる話を、他業界へも波及させられては困る。
但し、賃金を下げてはいけないという趣旨ではない。許容できるとする減額割合も問題だが、合理的理由そのものが弱すぎると思われる。
再雇用制度導入時には60歳時から在職老齢年金が貰えたが、それも無くなった。当初の制度導入時から社会状況が変わってしまっているわけだから、考え方の見直しも必要だろう。
ただ、仕事量と賃金をリンクさせないことを「是」としていることが、判決の一番の問題点だ。
定年再雇用者なら同一労働同一賃金でなくても良いのか?高年齢者雇用の65歳を超えた場合には、また、同一労働同一賃金の考えた方が適用されるのか?
今まで労働者に説明していたことが根底的に崩れ去ることも考えられる…
総務担当者でも、なぜ、「賃金を減額しても大丈夫なのか?」とハッキリ答えられる人は少ないはずだが、それら問題点を整理する意味では、上告は意義のあることだと思う。