いつもお世話になっています。
社長より、表題の件について導入を検討したい旨の指示があり、色々検討しているのですが、制度として導入して得られるメリットよりデメリットのほうが遥かに大きい気がして、個人的にはあまり導入したくないという気持ちです。
例えば、労基法で賠償の予約はできないことになっていますが、社長はこれをクリアできるうまい制度を考えろの一点張りです。
看護学校のお礼奉公のような制度は違法になる可能性が高いと説明しましたが「そこを何とかうまくやる方法を考えてくれと言ってるんだ」とゴリ押しされ、大変困っています。
「よそもやってるから」と言われても、その会社さんの制度が適法かどうかわかりませんし、中には明らかに違法な制度もお見かけします。
社長としては「よそもやってるんだから大丈夫」という意識なのかもしれませんが、あまりにも無茶苦茶です。
そこで代替案として、
・入社から5年間、毎月奨学金の返済額と同額以上の手当を支給することで返済を支援する制度(例えば月15500円の返済なら、月16000円の手当を支給するなど)
・入社から5年間、奨学金の返済月額×6か月分以上の賞与支給を確約する制度
を考え、提案しましたが「インパクトが薄い」「全額肩代わりするからこそ、学生にとって魅力的に映る」と散々です。
社長は「奨学金全額無利子で肩代わりする代わりに、5年以上勤続すること。5年勤続したら、残りの返済は免除する。5年未満で退職する時は、残債を一括弁済すること」という制度にしたいようですが、私が調べた限り、次のような問題が考えられます。
憲法第22条(職業選択の自由)違反
金銭貸借の条件として、自社での就業を強制するということは、職業選択の自由に違反するのでは?
労働基準法第5条(強制労働の禁止)違反
即該当するわけではありませんが「退職するなら一括弁済が条件。それが無理なら退職は認めないので働き続けろ」としてしまうと、強制労働になるのでは?
労働基準法第16条(賠償予定等の禁止)違反
a.違約金(退職時の一括弁済)を定めること
b.純然たる金銭貸借契約ではなく、一定期間以上就労することと密接に結びついていること
c.若年労働者にとっては「退職時の要返済額からすると、事実上退職がなし得ない」こと
a~cの理由から、労働基準法16条に違反するのでは?
民法第90条(公序良俗)違反
労働基準法第16条違反なら、当然契約は無効ですし、労働基準法違反といえないにしても、憲法第22条の趣旨に違反しているなら、同じく契約は無効になるのでは?
社長は「うまくいかなかったら止めればいい」と簡単に言いますが、制度として設けるからには、当然就業規則に明記しなければならず、また、制度を止める場合は不利益変更になるため、社会通念上正当とみなされる事由と社員全員の同意が必要なのだと説明しても、聞く耳を持ってくれません。
皆さんのお勤め先では「奨学金返済支援制度」はあるのでしょうか?
もしあれば、どのような制度なのか教えて頂きたいです。
よろしくお願いします。