労働実務事例
[ 質問 ]
当社では、通勤費を他の基本給等と同時に現金で支払っています。中途採用した従業員が、「以前に勤めていた会社では、現物で定期を受け取っていたので、定期分だけ、先に現金で支払ってほしい」といいます。後から払うのは、法律違反なのでしょうか。
岐阜・K社
[ お答え ]
賃金は通貨で払うのが原則ですが、労働協約を結べば現物で支給できます(労基法第24条第1項)。従業員の便宜を図ると同時に、不正な経路申請等をチェックする目的で、通勤定期券を会社が一括購入し、従業員に支給する会社もあります。
定期券の場合、通勤開始と同時に手渡さないと用をなしません。本人は、先払いでお金を支出する負担を免れます。新卒後、そのような会社で働いていた人は、「それが当たり前」と考えがちです。
しかし、法律上、通勤費をどのような基準で支払うか、上限を設けるか否か等の労働条件は、労使の話合いで決まります。労働条件の明示事項(労基法第14条)、就業規則の絶対的必要記載事項(同第89条)のなかに「賃金の支払の時期」がありますが、通勤費もその定めに従って支払えば足り、現金支給の場合、通常は後払いです。
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