労働実務事例
[ 質問 ]
年休の付与日数は最大40日で、それを超えることはできないと理解していました。しかし、年休の前倒し付与を検討するなかで、年休の繰越し処理をめぐって疑問が生じました。たとえば、6カ月前倒し付与した人の場合、年休残日数の扱いはどう計算するのでしょうか。
群馬・U社
[ お答え ]
年休は、雇入れ後6カ月継続勤務した人に10日を付与し、そこから6年以上継続勤務した人には一律追加で10日与える定めとなっています(労基法第39条第1項、第2項)。つまり、1年に与える年休日数は、20日が上限となります。
年休付与の基準日に与えられた年休を1年以内に使い切れなかったときは、1年間繰り越すことができます。年休の権利は労基法第115条の「賃金(退職金を除く)、災害補償その他の請求権」に属すると解され、「2年の消滅時効」が認められます(昭22・12・15基発第501号)。
ですから、きっかり1年ごとに年休が付与される限りは、前年繰越し分と今年付与分を合わせ、年休の日数は最大40日になります。しかし、40日以上は切り捨てるという規定は存在しません。
年休付与の基準日は、法律的には、入社して6カ月経過後の第1日になります。以後、1年ごとの応答日に次の年休が付与されます。しかし、個々人の入社日ごとに基準日が異なると、日数管理等が面倒です。このため、基準日を統一する(斉一的取扱い)会社も少なくありません。
この場合、法律の最低基準をクリアするためには、「前倒し付与」するほかありません。法定の付与日より早くなる人、遅くなる人が半々になるような日を基準日として設定するようなことは許されません。
6カ月前倒し付与された人を例に、年休残日数を計算してみましょう。
勤続10年で付与日数は毎年20日と仮定します。6カ月前倒し付与する時点で、1年6カ月前に付与された年休20日、6カ月前に付与された年休20日が丸々残っていたとします。
前倒しでさらに20日付与されるので、合計60日になります。しかし、1年6カ月前に付与された年休は半年後には時効で消滅するので、その時点で繰越し年休の数は40日に戻ります。前倒しで与えた年休は、その時点から2年後に時効にかかります。移行時には、年休の消滅日が2とおり生じるので、注意が必要です。
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