労働実務事例
[ 質問 ]
パート社員に対しては、1日6時間勤務の日と8時間勤務の日を組み合わせて、勤務割を決定しています。欠勤のペナルティーを公平化するという観点から、年休付与の出勤率を計算する際、年間の所定労働時間数を基準にできないでしょうか。年間1,500時間勤務で、1,200時間以上出勤なら、年休を付与します。
京都・O社
[ お答え ]
1日の所定労働時間が異なる場合、どの日に休むかで職場に大きな影響が生じます。時給制のパートは、所定労働時間の長い日に欠勤すれば、カットされる賃金も比例して大きくなります。しかし、会社にとっては、支払う賃金が減ればそれで済むという問題ではありません。
年休は、基準日前1年間(最初は6カ月)の出勤率が8割以上であれば付与する義務が生じます。お尋ねのように出勤率を計算する際、時間単位の採用が可能なら、欠勤日ごとの所定労働時間の違いを処遇に反映させることができます。
たとえば、年間所定労働時間を1,500時間と仮定します。所定労働時間8時間の日に40日欠勤すれば、320時間欠勤ですから、出勤率8割のボーダーである1,200時間を割り込んでしまいます。同じ40日でも、それがすべて6時間勤務の日なら240時間の欠勤ですから、基準をクリアします。
しかし、「6時間勤務の日に2時間残業したら、どう計算するか」等の問題も残り、この方式がより公平ともいい切れません。ちなみに、所定外労働ではなく休日労働については、「休日は全労働日には含まれない」(昭63・3・14基発第150号)という考え方が示されていますが…。
この問題について、労基法第39条第2項では、「出勤した日数が全労働日の8割未満である者に対しては、有給休暇を与えることを要しない」としています。1日単位の計算が原則で、「遅刻早退は、1日の所定労働時間の一部について就労しないものであるが、出勤率の計算上、これを欠勤として扱うことは認められない」(厚生労働省労働基準局編「労働基準法」)と解されています。所定労働時間の違いについても、その長短にかかわらずすべて1日とカウントします。
ただし、賞与の査定については、労基法上の規定は存在しません。労働日単位でなく、時間単位で出勤率を算定し、賞与額に反映させるのは裁量権の範囲内に属します。
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