労働実務事例
[ 質問 ]
当社の就業規則に、私傷病による欠勤が3カ月に及んだときは休職となり、1年の休職期間が満了しても復職の見込みがないときには、退職とする旨が規定されています。休職期間が満了するときに、その30日前に解雇予告あるいは退職となることの通知が必要でしょうか。
群馬・G社
[ お答え ]
休職とは、私傷病など労働者側の個人的事情により相当長期間にわたって就労できない一定の事情が発生した場合に、労働者としての身分を保ったまま一定期間労務への従事を免除または禁止することと定義できます。
休職期間中、使用者は就業規則などに特段の定めがない限り賃金支払い義務が免除されますが、その場合は労働義務の存在を前提とした年次有給休暇を行使する権利もなくなります。
私傷病休職については、2とおり考えることができます。まず、休職事由が消滅した場合はもちろん、休職期間が満了した場合も復職が予定されているものですから、使用者が労働契約の終了を望むならば改めて解雇の手続きをとる必要があるとするものと、休職処分は本来解雇をもって望むべきところ、労働者側の事情を考慮して一定期間身分を存続させておく性格のものであり、休職期間終了までにその原因が消滅していない場合には、休職期間満了をもって自動的に退職となるというものです。
後者の休職期間満了による自動退職も退職として有効かどうかという問題については、
① 期間満了の翌日など一定の日に自動終了することを、明白に就業規則に定め明示すること
② その取扱いについて例外的な運用がなされていないこと
以上の条件を満たしていれば、定年と同じように終期の到来による労働契約の終了となり、解雇の問題は生じないとされています(昭27・7・25基収第1628号)。
結局は労働契約、就業規則で設けた休職制度の規定などで決まってくるといえます。
就業規則に、「私傷病休職について休職期間満了までに休職原因が解消しないときは、期間満了をもって当然退職とする」旨を定めている場合、一般には契約は自動的に終了するものと解し、休職期間満了による契約の終了は解雇ではないと考えられます。
ご質問の会社の就業規則に規定がある以上、休職期間終了後は退職扱いできます。休職期間満了による契約の終了は解雇ではありませんから、その30日前に解雇予告をする必要はありません。
ただし、一方的に労働契約を終了するのではなく事前に労働者に通知を行うことが、望ましいと考えられます。
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