労働実務事例
[ 質問 ]
子育てをする被保険者については、「申し出をすれば」、年金計算の特例があると聞きます。特例のメリットを受けるのは、具体的には、どのような人なのでしょうか。育児休業を取得したことのある人については、すべて申し出た方がよいのでしょうか。
新潟・K社
[ お答え ]
標準報酬月額については、資格取得時・定時・随時の3通りの決定方式がよく知られています。しかし、そのほか、「育児休業等を終了した際の改定」(健保法第43条の2、厚年法第23条の2)、「標準報酬月額の算定の特例」(健保法第44条、厚年法第24条)、「3歳に満たない子を養育する被保険者等の特例」(厚年法第24条)が設けられています。このうち、最後の「3歳に満たない子を養育する被保険者等の特例」については、厚年法のみに規定が設けられていますが、お尋ねにある「年金の特例」とはこの規定を指すものでしょう。
標準報酬月額は、保険料や年金・保険給付の算定ベースとなります。「3歳未満の子を養育する被保険者」については、子育てのため、一定の期間働けなくなったり、就労時間の短縮(所定外労働時間の短縮を含みます)を余儀なくされたりするケースが珍しくありません。それにより、収入が低下すれば、標準報酬月額を改定し、速やかに保険料を引き下げる必要性が生じます(育児休業期間中は、保険料が免除されるので引き下げは不要です)。
しかし、標準報酬月額をダウンさせると、年金・保険給付に影響が及びます。特に将来、受け取る年金については、「一生もの」の給付ですから、できる限り不利益が及ばないように配慮が求められます。このため、厚年法に限って、標準報酬月額の特例を設けたものです。
つまり、特例によりメリットを受ける人は、3歳に満たない子を養育する期間中に、勤務時間短縮や所定外労働時間の減少により、実際に標準報酬月額等級が下がった人です。
育児休業をしている間は、従前の標準報酬月額に据え置かれるので、それだけでは、特例の対象に該当しません。一方、育児休業を取得しなかった人でも、勤務時間短縮などにより標準報酬月額が下方に修正されれば、対象に含まれます。
特例は、「本人の申出」が前提になります。実務的には、事業主を経由して「養育期間標準報酬月額特例申出書」を年金事務所に提出します(退職後は、本人が直接提出)。子を養育することになった日の属する月から子が3歳に達する日(子が死亡したり、養育対象から外れたりしたときはその日)の翌日の属する月の前月まで、子育て前より標準報酬月額が下がっていた期間について、従前の標準報酬月額のままだったとみなします。
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