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弁護士
法人クラフトマン 第284号 2025-11-25
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契約~
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1 今回の事例 企業間売買と
契約不適合責任(3)
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東京高裁令和4年12月8日判決
判決のご紹介の内容は、前稿と同じです。
衣服の製造加工を営むA社は、他者に納入する
従業員用ユニフォームに縫い付けるバーコードネームをB社に発注しましたが、B社は誤ったバーコードを印刷したバーコードネームを納入したため、A社がB社に対して
契約不適合責任(
瑕疵担保責任)を理由に
損害賠償を請求しました。
この点、買主が売主に
契約不適合責任を請求できる期間には制限があるものの(
商法526条2項)、売主が当該不適合を知っていた場合は、前記制限は適用されません(同条3項)。
本件では、売上であるB社が当該不適合を知っていたとはいえないものの、不適合を知らなかったことに「重過失」があり、この場合にも、
商法526条3項が適用されて
契約不適合責任を追求できるのかが問題となりました。
裁判所は、B社が不適合を知らなかったことにつき「重過失」がある場合は、
商法526条3項が適用されると判断し、A社の
損害賠償請求を認めました。
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2 解説
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1)企業間売買と
商法等の規定
前稿では、企業間の売買取引において適用される
商法と
民法の規定の一部をご説明しました。しかし、
商法や
民法をそのまま適用することが必ずしも自社にとって有利になるわけではありません。そして、こうした規定の多くは、
契約書において当事者間で自由に変更・補足することが可能ですから、実際の
契約交渉においては、自社の利益の保護やリスクの適正化のために、必要な交渉を行う必要があります。
本稿では、企業間の売買取引における
契約不適合責任に関する規定を例にして、買主側・売主側それぞれの立場で、どのような修正が可能か、一部の考慮要素をご説明したいと思います。
2)検査期間の定め
商法では、買主は、その売買の目的物を受領したときは、「遅滞なく」その物を検査しなければならないとし、かつ、
契約不適合を発見したときは「直ちに」通知をする必要があります(
商法526条2項前段)。
しかし、法文にいう「遅滞なく」や「直ちに」が具体的にどの程度なのかは必ずしも明らかではないため、このままだと認識相違の種になる上、予測可能性という点でも問題があります。それで、
契約条項においては、「本製品の受領後●営業日以内」といった形で、検査期間や通知期間を具体的に定めておくことは重要といえます。
また検査期間については、製品の性質や自社の業務体制等から現実的な期間を検討する必要があります。
3)通知に関するルールの具体化
誤解や紛争防止の観点からは、通知に関するルールの具体化も重要です。例えば、「言った言わない」の問題の回避のためには、通知方法について、書面や電子メールといった証拠に残る形に限定することを検討できます。
また、買主が検査期間内に通知をしなかった場合には、
契約に何も規定されていないと売主としてはいつまでも検収がされず困ることになります。それで、通知がない場合の効果(合格とみなすのか、不合格とみなすのか等)を定めることも必要です。
4)
契約不適合の内容や期間
商法では、「直ちに発見することができない」
契約不適合責任については、目的物受領から6か月以内に不適合を発見し、売主に対して直ちに
契約不適合である旨の通知をすれば、責任追求が可能です(
商法526条2項後段)。
しかし、買主の立場からすれば、製品に不適合があるのに売主が「これは直ちに発見できなかったとはいえない」と主張して責任について争ってくる事態を避けたいと考えるかもしれません。この場合には、「検査期間において発見し得たか否かにかかわらず」といった文言の挿入を交渉できます。
また、「目的物受領から6か月」という期間については、売主・買主双方の立場から検討できます。製品の性質上、ある程度長期間の使用を経ないと不具合の有無が判別できないようなものであるとか、エンドユーザーに対する保証期間との関係等があるといった理由で、買主としてはもっと長い期間(例えば1年とか)にしたいと考えるかもしれません。
他方、売主としては、自社が負う負担や製品の性質に照らしてもっと短くする(例えば3ヶ月とか)よう交渉したいと考えることもあると思います。
以上申し上げた検討点は、
契約不適合責任に関して考慮すべき多くの要素の一部を申し上げたもので、その他検討すべき点はまだ多くあります。
それで、相手方から提示される
契約書についてはもちろんのこと、自社で使用している
契約書についても、専門家のレビューによってリスクの洗い直しをしてみてもよいかもしれません。
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3 弊所ウェブサイト紹介
契約書作成・点検(レビュー)
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弊所のウェブサイトの法律情報の解説のページには、ビジネス・企業に関係した法律情報に関する豊富な情報があります。
例えば本稿のテーマに関連した
契約書関連については
https://www.ishioroshi.com/biz/kaisetu/keiyaku/
において、「
契約書」の作成において考慮すべき以下の点を含め、潜むリスクや弁護士に
契約書作成・点検を依頼する意味について解説しています。
・
契約書は中立ではない
・同じような内容でも書き方で効果が異なる
・書いていることより書いていないことが重要なことがある
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本稿の無断複製、転載はご遠慮ください。
ただし、本稿の内容を社内研修用資料等に使用したいといったお申出については、弊所を出典として明示するなどの条件で、原則として無償でお受けしています。この場合、遠慮なく下記のアドレス宛、メールでお申出ください。
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【執筆・編集・発行】
弁護士・弁理士 石下雅樹(いしおろし まさき)
電話 050-5490-7836(東京横浜共通)
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〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1-12-1 渋谷マークシティW22階
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弊所取扱分野紹介(
契約書作成・
契約書チェック・英文
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この点、買主が売主に契約不適合責任を請求できる期間には制限があるものの(商法526条2項)、売主が当該不適合を知っていた場合は、前記制限は適用されません(同条3項)。
本件では、売上であるB社が当該不適合を知っていたとはいえないものの、不適合を知らなかったことに「重過失」があり、この場合にも、商法526条3項が適用されて契約不適合責任を追求できるのかが問題となりました。
裁判所は、B社が不適合を知らなかったことにつき「重過失」がある場合は、商法526条3項が適用されると判断し、A社の損害賠償請求を認めました。
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1)企業間売買と商法等の規定
前稿では、企業間の売買取引において適用される商法と民法の規定の一部をご説明しました。しかし、商法や民法をそのまま適用することが必ずしも自社にとって有利になるわけではありません。そして、こうした規定の多くは、契約書において当事者間で自由に変更・補足することが可能ですから、実際の契約交渉においては、自社の利益の保護やリスクの適正化のために、必要な交渉を行う必要があります。
本稿では、企業間の売買取引における契約不適合責任に関する規定を例にして、買主側・売主側それぞれの立場で、どのような修正が可能か、一部の考慮要素をご説明したいと思います。
2)検査期間の定め
商法では、買主は、その売買の目的物を受領したときは、「遅滞なく」その物を検査しなければならないとし、かつ、契約不適合を発見したときは「直ちに」通知をする必要があります(商法526条2項前段)。
しかし、法文にいう「遅滞なく」や「直ちに」が具体的にどの程度なのかは必ずしも明らかではないため、このままだと認識相違の種になる上、予測可能性という点でも問題があります。それで、契約条項においては、「本製品の受領後●営業日以内」といった形で、検査期間や通知期間を具体的に定めておくことは重要といえます。
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3)通知に関するルールの具体化
誤解や紛争防止の観点からは、通知に関するルールの具体化も重要です。例えば、「言った言わない」の問題の回避のためには、通知方法について、書面や電子メールといった証拠に残る形に限定することを検討できます。
また、買主が検査期間内に通知をしなかった場合には、契約に何も規定されていないと売主としてはいつまでも検収がされず困ることになります。それで、通知がない場合の効果(合格とみなすのか、不合格とみなすのか等)を定めることも必要です。
4)契約不適合の内容や期間
商法では、「直ちに発見することができない」契約不適合責任については、目的物受領から6か月以内に不適合を発見し、売主に対して直ちに契約不適合である旨の通知をすれば、責任追求が可能です(商法526条2項後段)。
しかし、買主の立場からすれば、製品に不適合があるのに売主が「これは直ちに発見できなかったとはいえない」と主張して責任について争ってくる事態を避けたいと考えるかもしれません。この場合には、「検査期間において発見し得たか否かにかかわらず」といった文言の挿入を交渉できます。
また、「目的物受領から6か月」という期間については、売主・買主双方の立場から検討できます。製品の性質上、ある程度長期間の使用を経ないと不具合の有無が判別できないようなものであるとか、エンドユーザーに対する保証期間との関係等があるといった理由で、買主としてはもっと長い期間(例えば1年とか)にしたいと考えるかもしれません。
他方、売主としては、自社が負う負担や製品の性質に照らしてもっと短くする(例えば3ヶ月とか)よう交渉したいと考えることもあると思います。
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3 弊所ウェブサイト紹介 契約書作成・点検(レビュー)
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