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労働実務事例

提供:労働新聞社

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5年経過で不支給と聞くが退職後も遺族年金出るか

「労働新聞」「安全スタッフ」(2009年1月~12月掲載文)
法改正等で現在の正確な内容と異なる場合があります。

[ 質問 ]

 当社では、早期退職優遇制度を設けています。今般、1人希望者が出たのですが、「厚生年金をやめて5年経つと、もう遺族厚生年金はもらえないと聞いたけれど、本当ですか」という質問がありました。今まで、長期加入していた分がムダになるのは、ちょっと心残りのようですが、法律上どうなんでしょうか。

群馬・K社

[ お答え ]

 早期退職優遇制度を利用する人の中には、個人事業主として独立する人が少なくありません。将来的には法人化も視野に入れているでしょうが、当面は、厚生年金保険の資格を喪失し、国民年金の被保険者になります。
 仮に、退職後、不慮の事故などで死亡した場合、すでに国民年金の被保険者ですから、妻子などには遺族基礎年金のみが支給されるのでしょうか。長期間、厚生年金の被保険者として保険料を納めていても、何のリターンもないのでしょうか。
 遺族厚生年金は、次のいずれかの場合に支給されます。
 ① 厚生年金の被保険者が死亡したとき
 ② 厚生年金保険の被保険者期間中に初診日のある病気などで初診日から5年以内に死亡したとき
 ③ 1・2級の障害厚生年金の被保険者が死亡したとき
 ④ 老齢厚生年金の受給権者または老齢厚生年金の資格期間を満たしている人が死亡したとき
 ご質問の方は、この②をみて、「5年経つと遺族厚生年金の権利がなくなる」と早合点されているようです。しかし、5年以内に死亡しても、被保険者期間中に初診日がある病気・ケガなどが原因でなければ、給付対象になりません。
 一方、5年経過後に死亡しても、④の要件を満たせば、遺族は遺族厚生年金を受給することができます。早期退職優遇制度を利用するのは、まだ老齢厚生年金の受給権者になる前の人達がほとんどです。しかし、40歳代後半の人達なら、大半がすでに老齢厚生年金の資格期間を満たしているはずです。老齢厚生年金の資格期間は、老齢基礎年金と同じで、原則として国民年金の保険料納付済期間などが25年以上(平成27年10月から10年に短縮の予定)あることです。
 早期退職する時点では、まだ資格期間を満たしていなくても、今後、国民年金の被保険者として保険料を納付していけば、いずれ要件をクリアできます。たとえ老齢厚生年金を受給する前に死亡しても、遺族は遺族厚生年金の受給権を取得できます。
 上記①から③の要件に該当する人の遺族厚生年金は、被保険者期間を最低300月として計算します。④の人は、実際の加入期間を算定ベースとするので、退職前の厚生年金被保険者期間が長ければそれだけ有利になります。



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