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労働実務事例

提供:労働新聞社

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業務繁忙者に配慮必要、派遣時の面接指導実施者は?

「労働新聞」「安全スタッフ」(2009年1月~12月掲載文)
法改正等で現在の正確な内容と異なる場合があります。

[ 質問 ]

当社は、機械器具の製造業を営んでおり、忙しい時期には時間外労働が1カ月100時間近くになることもあります。労働安全衛生法による面接指導を行う労働者以外の労働者に対する面接指導に準ずる措置についてご教示ください。また、当社には、派遣社員がいますが、面接指導を実施するのは派遣先、派遣元のどちらになるのでしょうか。

神奈川・K社

[ お答え ]

 長時間にわたる過重な労働による脳血管疾患および虚血性心疾患などの発症を予防するため、労働安全衛生法では、事業者は、その労働時間の状況その他の事項が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当する労働者に対し、医師による面接指導(問診その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うことをいう)を行わなければならない(労働安全衛生法第66条の8第1項)と定めています。この面接指導に係る厚生労働省令で定める要件としては、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた時間が1カ月当たり100時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる労働者とされています。この面接指導を行う労働者以外の労働者であって健康への配慮が必要なものについては、必要な措置を講ずるように努めなければならない(安衛法第66条の9)とされています。
 この必要な措置は、面接指導の実施または面接指導に準ずる措置とするとされており、その対象としては、①長時間の労働により、疲労の蓄積が認められ、または健康上の不安を有している労働者、②事業場で定める基準に該当する労働者とされています(安衛則第52条の8)。
 ここでいう長時間とは、時間外・休日労働時間が1カ月当たり80時間を超えることをいうこととされており、また、事業場で定める基準について、
 ① 時間外・休日労働時間が1カ月当たり100時間を超える労働者および2カ月ないし6カ月の平均で1カ月当たり80時間を超える労働者については、すべての労働者について面接指導を実施するよう基準の設定に努めること
 ② 時間外・休日労働時間が1カ月当たり45時間を超える労働者については、健康への配慮の必要な者の範囲と措置について検討し、それらの者が措置の対象となるよう基準を設定することが望ましいこととされています(平18・2・24基発第0224003号通達)。
 また、面接指導または面接指導に準ずる措置を実施した場合には、その結果に基づき就業場所の変更、作業の転換などの事後措置を実施するよう努めることとされています(同通達)。
 したがって、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた時間が1カ月当たり100時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる労働者に対しては、その申出により面接指導を行わなければなりません(1カ月以内に面接指導を受けた労働者などで、面接指導を受ける必要がないと医師が認めたものを除きます)。また、①時間外・休日労働時間が1カ月当たり80時間を超え、疲労の蓄積が認められ、または健康上の不安を有している労働者に対して、その申出により、②事業場で定める基準に該当する労働者に対して、それぞれ面接指導または面接指導に準ずる措置を講じるよう努めなければなりません。
 それでは、次のご質問の派遣労働者についてご説明しますと、労働者派遣においては、事業者とは派遣労働者の雇用主である派遣元事業主のことであり、派遣中の労働者に関する労働安全衛生法の適用は、労働者派遣法の特例規定を除き、原則として、派遣元事業主にあります。この医師による面接指導について、通達(平18・2・24基発第0224003号)では、「派遣労働者に対する面接指導については、派遣元事業主に実施義務が課せられるものであること」としており、安衛法第66条の9の面接指導または面接指導に準ずる措置も同様です。
 なお、同通達では、「派遣労働者の労働時間については、実際の派遣就業した日ごとの始業し、および終業した時刻並びに休憩した時間について、労働者派遣法第42条第3項に基づき派遣先が派遣元事業主に通知することとなっており、面接指導が適正に行われるためには派遣先および派遣元の連携が不可欠であること」としています。この通達にあるように、派遣先は、派遣先管理台帳を作成し、当該台帳に派遣労働者ごとに、その氏名、派遣就業をした日ごとの始業し、および終業した時刻並びに休憩した時間、従事した業務の内容などを記載することとされ、また、これらの事項を派遣元事業主に通知しなければならないこととされています(同法第42条)。



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