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労働実務事例

提供:労働新聞社

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長時間残業した者に代休・出勤予定者には休業手当か

「労働新聞」「安全スタッフ」(2010年1月~12月掲載文)
法改正等で現在の正確な内容と異なる場合があります。

[ 質問 ]

 ある部署で深夜をまたぐ残業が発生したため、翌日の勤務は代休扱いとし、全員休ませました。残業発生日(前日)に年休を取得していた社員に対しても、1人だけ出てきても仕方ないので、休みにする旨通知しました。本人から「休業手当は出ますか」と聞かれ、困惑しています。払わざるを得ないのでしょうか

大阪・A社

[ お答え ]

 代休とは、一般に「休日に労働を行った後にその代償としてその後の特定の労働日の労働を免除する」仕組みを指します(昭23・4・19基収第1397号)。しかし、休日労働でなく、「残業時間が1日の所定労働時間に達した者に代休を付与する」等の規定を設けることも可能です。
 労働時間等見直しガイドライン(平20・厚生労働省告示第108号)でも、「所定外労働を行わせた場合には、代休の付与等により総実労働時間の短縮を図る」よう要請しています。
「残業が1日の所定労働時間に達しない」時点で丸1日の代休を与えれば、実労働時間が1カ月の所定労働時間数に不足するおそれがあります。
 ですから、「翌日の就労を免除する」(賃金カットしない)なら話は別ですが、代休日の賃金をカットする場合、代休付与の要件等を明確化し、就業規則等に規定しておくのが大切です。
 代休を与えても、残業時間と代休日の所定労働時間を「行って来い」で相殺することはできません。残業時間に対し125%の賃金を支払った後、代休の100%分の賃金をカットし、差し引き25%が残る計算となります。
 前日の労働が深夜をまたぎ、残業時間が1日の所定労働時間に達したとき(それ以前の単発の残業時間の累計も可)は、対象者に対し「代休付与制度規定」等に基づき無給の代休を与えることができます。
 しかし、残業発生日に年休を取得した人については、「残業時間の累計が所定労働時間に達したとき」等の代休付与の要件を満たさないので、一方的に代休を付与することはできず、当日は「使用者の責めによる休業」になります。平均賃金の6割以上の休業手当を支払わなければいけません。
 年休の計画的付与を実施する際、「年休のない者を休業させれば、その者に休業手当を支払う義務が生じる」(昭63・3・14基発第150号)のと同様です。



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