労働実務事例
[ 質問 ]
新入社員に土曜出勤(8時間)を命じたところ、時間外労働のカウントで質問を受けました。前日の金曜日にも3時間の時間外労働をさせているため、「週40時間を超えた11時間と、1日8時間を超えた3時間の合計14時間が時間外になるはず」と主張するのですが、どう説明したらよいのでしょうか。
島根・D社
[ お答え ]
労基法では法定労働時間を週40時間(第32条第1項)、1日8時間(同第2項)と定めています。条文の順番からみて分かるとおり、立法の趣旨は、「労働時間の規制は1週間単位の規制を基本とし、1日の労働時間は1週間の労働時間を各日に割り振る上限として考える」(昭63・1・1基発第1号)というものです。
新入社員の方は労基法の初歩の知識があり、「週40時間を超える分についてまず割増賃金を支払い、さらに1日8時間を超える分があれば、追加で時間外を支払うべき」と早とちりしているようです。しかし、前掲行政解釈では「1週間と1日に分けて規定することとしたが、いずれも法定労働時間であることに変わりはなく、1週間および1日の法定労働時間を超えて労働させてはならないものである」と述べています。
「および」とは、「AND条件」「OR条件」という分類からいえば、OR条件に該当します。
両者は並列で、1週40時間の規制の方が1日8時間より上位にある(効力が強い)という意味ではありません。
実務的にいえば、1日8時間を超えた分を先に「時間外労働の発生」として把握し、後から「それ以外に週40時間を超えた分」があれば、追加で割増を支払うという処理方法を採るのが一般的です。金曜日の時間外労働で3時間分の割増を支払えば、その分を除外し、週40時間を超えた分(土曜日の8時間)についてのみ追加の割増支払い義務を負います。
1カ月単位変形労働時間制の解釈例規でも、時間外の処理方法を次のとおり示しています(平6・3・31基発第181号)。
① 1日単位で時間外を把握
② 週単位で時間外を把握(①で時間外労働となる時間を除く)
③ 変形期間単位で時間外を把握(①②で時間外労働となる時間を除く)。
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