労働実務事例
[ 質問 ]
私傷病休職期間が満了し、退職予定の従業員がいます。休職発令が出る前に未取得の年休があって、本人がすべて消化したいと希望しています。退職者を対象に時季変更権の行使はできないと聞きますが、請求どおり休暇を与える必要があるのでしょうか。
岡山・K社
[ お答え ]
使用者は、事業の正常な運営を妨げる場合、「他の時季に」年休を与えることができます(労基法第39条第4項ただし書き)が、解雇等により退職日が決定している人については「予定日を超えての時季変更は行えない」と解されています(昭49・1・11基収第5554号)。
一方、私傷病休職の発令が出され、病気療養に専念している社員は、「労働義務がない日について年休を請求する余地がないことから、年休権の行使ができない」という扱いとなっています(昭24・12・28基発第1456号)。ですから、お尋ねのケースでは、そもそも退職日までの間、年休日の指定ができません。
退職ないし解雇された場合、残余の休暇権は当然のこととして、消滅してしまいます。ただし、会社が休職発令を解き、年休を与えるという温情的処理も可能です。
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