労働実務事例
[ 質問 ]
医者の見立てでは長期療養が必要とのことで、定年も近いことだし、思い切って退職することにしました。傷病手当金を引き続き受給する予定ですが、任意継続被保険者になるのと、国民健康保険の被保険者になるのと、どちらがよいのでしょうか。
長野・W生
[ お答え ]
保険料と傷病手当金の額と、両方を検討する必要があります。
まず、保険料ですが、国民健康保険料は過去1年の収入がベースになります。任意継続被保険者になれば、退職時の標準報酬月額と28万円のどちらか低い方の額が新しい標準報酬月額となり、保険料算定のベースとなります。
任意継続被保険者の保険料は予想が付きますが、国民健康保険料の額は市区町村に尋ねてみるとよいでしょう。
次に、傷病手当金ですが、以前は国民健康保険に転換する方が一般に有利といわれていました。あなたは、現在、傷病手当金を受給中とのことですが、以前は、2通りの選択肢がありました。
第1は、健康保険の資格を喪失し(つまり、国民健康保険に加入し)、資格喪失後の継続給付として傷病手当金を受ける方法です。ただし、資格喪失日の前日まで、1年以上被保険者だったことが要件となっています。
第2は、任意継続被保険者となって、傷病手当金を受け続ける方法です。ただし、この方法を採ると、任意継続被保険者となった後の標準報酬月額が傷病手当金の算定ベースとなります。退職前の標準報酬月額がいくら高くても、任意継続被保険者の標準報酬月額は28万円がマックスです。ですから、退職前と比べて、傷病手当金がダウンしてしまう人が少なくありませんでした。
しかし、現在、任意継続被保険者の傷病手当金は廃止されてしまいました。国民健康保険の被保険者になろうと、任意継続被保険者になろうと、どちらも資格喪失後の継続給付の規定に従った傷病手当金を受け取ることになります。
「健康保険法等改正に関するQ&A」(平18・8.18厚生労働省保険局保険課事務連絡)によると、新しい仕組みによる傷病手当金は次のとおりとなっています。「(任意継続被保険者の傷病手当金廃止に伴い)、任意継続被保険者の標準報酬月額は、傷病手当金の計算には使用されない。したがって、退職後に継続給付により傷病手当金を支給をする場合には、強制被保険者の資格喪失時の標準報酬月額に基づき計算することになる」。
結果として、国民健康保険の被保険者、任意継続被保険者、どちらを選択しても退職後に受け取る傷病手当金の額に違いはありません。
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