労働実務事例
[ 質問 ]
60歳以降は、月給と前年の賞与に応じて年金が支給停止になる在職老齢年金が適用されます。仮に、定年間近の社員に年俸制を適用し、年俸を12分割して支給すれば、再雇用後の在老の算定では得でしょうか。
千葉・U社
[ お答え ]
在職老齢年金は、総報酬月額相当額と基本月額(老齢厚生年金の額を12で除した額)に基づいて、金額が計算されます。
総報酬月額相当額とは、「その月の標準報酬月額」と「その月以前1年間の標準賞与額合計を12で除した額」の合計です(厚年法第46条)。
定年後、再雇用されると、標準報酬月額は大きく低下するのが一般的です。しかし、総報酬月額相当額は、過去1年間の賞与額も考慮するため、定年前に高額の賞与を受け取っていると、結果として年金の支給停止額が高く設定されてしまい、受け取る年金が低くなってしまいます。
年俸を12分割して支給すれば標準賞与額はゼロです。定年前は月給に従来の賞与相当分を上乗せすることにより、標準報酬月額等級は高くなりますが、年間の給与総額が同じなら支払う保険料も同額です。しかし、再雇用後は過去1年間に賞与とみなされる金額がありません。再雇用後の標準報酬月額のみを用いるため年金は増えます。
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