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労働実務事例

提供:労働新聞社

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年休の端数時間は時効消滅か。日単位請求と別管理では?

「労働新聞」「安全スタッフ」(2011年1月~12月掲載文)
法改正等で現在の正確な内容と異なる場合があります。

[ 質問 ]

 時間単位年休制の運用で、疑問が生じました。時間単位で年休を使ったので、1年目に1日未満の端数が生じたとします(たとえば、5時間)。2年目には端数が残らないように年休を請求しないと、端数は時効消滅してしまうのでしょうか。

【千葉・D社】

[ お答え ]

 年休を発生年度内に消化しなかった場合、「次年度に繰り越して取り得る。労基法第115条の規定により2年の消滅時効が認められる」(昭22・12・15基発第501号)と解されています。
 繰り越した年休と新しく発生した年休があるとき、どちらを先に使うかは、「当事者の合意によるが、労働者の指定権は繰越し分からなされていくと推定する」(労基法コンメンタール)のが原則です。
 入社1年目(6カ月経過後)に10日の年休権を得た従業員が、3時間の時間単位年休を取得したとします。1日の年休に相当する時間数が8時間とすると、2年目(1年6カ月経過後)には9日と5時間の年休が繰り越されます。新規発生の11日と合わせ、年休の保有日数は20日と5時間になります。
 ただし、厚生労働省のパンフレットでは、切上げで10日分を繰り越す扱いも可能としています(その場合、2年目の保有日数は21日)。
 繰り越された年休と新規発生の年休は、キチンと区別して管理しないといけません。この従業員が、2年目、たとえば5日しか年休を請求しなかったとします。1年目から繰り越された分から先に消化し、1年目の分が4日と5時間残りますが、この権利は時効にかかって消滅してしまいます。
 2年目に5日と5時間の年休を請求すれば、未消化で消滅する年休は4日で整数になります。しかし、きれいに整数にそろえてから、時効消滅させるメリットが特にあるとも思えません。
 2年目に10日の年休を請求したとします。1年目から繰り越された分から先に消化し(9日と5時間)、2年目に発生した分を3時間だけ消化する形になります。
 このケースでは、3年目に10日と5時間の年休が繰り越されます。ムリに整数にそろえなくても、端数は3年目以降にキャリーオーバーされていきます。時間単位年休を請求する際、合計8時間(1日)にするよう配慮する必要はありません。



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