労働実務事例
[ 質問 ]
従業員が死亡し、妊婦の妻が残されました。出生した子どもはいませんが、遺族年金の対象になると思います。具体的には、どの時点で申請することになるのでしょうか。
【長崎・Z社】
[ お答え ]
厚生年金の被保険者(国民年金の第2号被保険者)の在職中の死亡ですから、最低限、「直近1年間の保険料の滞納がない」という経過措置の要件を満たせば、年金の受給に必要な初診日要件・保険料納付要件はクリアします。
妻が遺族基礎年金を受給するためには、妻自身が生計維持要件を満たすほか、「被保険者の死亡当時、その者によって生計を維持されていた子と生計を同一にしていた」という要件も満たす必要があります(国民年金法第37条の2)。
妊娠中であっても、出生した子はいないのですから、死亡した時点では、他に子どもがいない限り、上記要件をクリアできません。ただし、「被保険者の死亡当時胎児であった子が生まれたときは、将来に向かって」、遺族基礎年金の受給権を取得します(同条第2項)。
出生した子は、「被保険者死亡当時に被保険者に生計を維持され、妻は、その子と生計を同じくしていた」ものとみなします。ただし、「将来に向かって」ですから、出生月に受給権を取得し、死亡当時にさかのぼることはありません。
胎児であった子が生まれなかったときは、結局、受給権は発生しなかったことになります。
妻(母)がいる間、子に対する遺族基礎年金は支給が停止されます(国民年金法第41条)が、妻が死亡すれば子どもが年金を受給します。
一方、遺族厚生年金については、被保険者の死亡当時、子のない妻であっても、直ちに受給権を取得します。
その後、胎児が生まれた場合には、「将来に向かって、その子は、被保険者の死亡当時その者によって生計を維持していた子」とみなされます(厚年法第59条第3項)。
遺族厚生年金の額は、被保険者の報酬比例部分年金の額の4分の3相当ですから、人数が増えても金額は変わりません。ただし、妻が、中高齢の加算を受けていたときは、その部分が遺族基礎年金に置き換わります。
妻(母)がいる間は、子どもの遺族厚生年金の支給は停止されます(厚年法第66条)が、妻が死亡すれば妻に代わって子どもが遺族厚生年金を受給することになります。
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