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平成22年11月10日
『役に立つ
特許実務者マニュアル』
第13号
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本メールマガジンは、
弁理士である著者が、
特許の実務に携わっている方を対象に、
(主に化学系について)
特許の実務を進める上で役立つ情報、
日常の業務の中で得た考え方やノウハウを公開するものです。
-------------------------------------------------------------------
■こんにちは。田村です。
今回も、
特許請求の範囲の不明確な記載について、お話をさ
せていただきます。
前回は、「高温」、「低温」や「主成分」といった発明の範
囲があいまいになる用語は用いないというお話をさせていた
だきました。
今回は、その他の
特許請求の範囲が不明確とされる事例の中
でも、比較的誤って記載されることが多い事例について、ご
紹介させていただきます。
■
特許を受けようとする発明の属するカテゴリーが不明確な
場合。
例えば、「~する方法又は装置」や「~する方法及び装置」
といった請求項は、「方法の発明」、「物の発明」のいずれ
に該当するか分かりませんので、不明確とされます。
■
特許を受けようとする発明を特定するための事項に関して二
以上の選択肢があり、その選択肢どうしが類似の性質又は機
能を有しない場合。
例えば、「特定の部品又は該部品を組み込んだ装置」といっ
た請求項の記載は、部品と装置が類似の性質を有していると
は言えませんので、不明確となります。
■化学物質が選択肢となっている場合は、以下のようなケース
であれば、発明は明確とされます。
1.その化学物質が共通の性質又は活性を持っていて、且つ、
共通の化学構造を持っているもの
例えば、「メタノール又はエタノールを含み、・・・
をさらに含む組成物」
2.その化学物質が共通の性質又は活性を持っていて、且つ、
同じ化学物質群に属するもの
例えば、「カリウム成分又はナトリウム成分を含み、
・・・をさらに含む組成物」
ですから、「亜鉛又はポリプロピレンを含み、・・・をさら
に含む組成物」といったような請求項は、亜鉛とプロピレン
が共通の性質を持っているとはいえませんので、不明確とさ
れます。
■発明の詳細な説明又は図面の記載で代用されている結果、発
明の範囲が不明確となる場合。
例えば、「図1に示す○○装置」といった請求項は、発明が
不明確であるとして認められません。
■この他にも、不明確とされる事例はありますが、主なものは
ご紹介させていただきました。この他の事例にもご興味のあ
る方は、
特許庁の審査基準を是非ご確認ください。
-------------------------------------------------------------------
<書籍紹介>
■本日、ご紹介するのは、
『
特許明細書のチェック方法』
著者:橘 和之 出版社:発明協会
■本書は、一燈国際
特許事務所の弁理士の橘和之先生が執筆さ
れたものです。
弁理士が作成した明細書を、企業の担当者がどういった視点
でチェックすべきかについて記載したものです。
具体例を上げつつ、発明者が何をチェックすべきか、知財担
当者が何をチェックすべきかと、そのポジション毎にチェッ
クすべき内容を解説している点も、参考となります。
■また、弁理士だけでは質の高い明細書を完成させることは難
しく、企業側と「共創」することが必要だという著者の主張
に、共感します。
弁理士は、どうすれば
特許になりやすいか等の視点を持って
いますが、技術を知り尽くしているわけでもありませんし、
企業の
特許出願の目的や戦略を把握しきれていない場合もあ
ります。
ですから、そのような視点を持っている企業側の担当者の力
と、弁理士の力が合わさることで、本当に企業にとって役立
つ
特許が生まれるように思います。
ただし、企業の
特許出願の目的や戦略を十分に熟知したうえ
で、明細書を作成するのが、弁理士の理想であるようにも思
います(私自身はまだまだであります)。
■以下、印象に残った、或いは、参考になると思われる箇所の
抜粋です。
・発明者には技術的な側面から
特許明細書をチェックするこ
とが求められます。ここに発明者の大きな役割があります。
一方、
特許的な側面からチェックするのは、知財担当者の
役割です。
・発明者や知財担当者が弁理士の書いた
特許明細書をチェッ
クすると言っても、判断基準と言うものを持たなければ、
良いチェックはできません。
・弁理士の作成意図がある程度でも分かっていれば、
特許明
細書のチェックも比較的容易に行うことができるでしょう。
・発明が解決しようとする課題、課題を解決するための手段、
作用、発明の効果の4点セットで捉えられる概念が、発明
の本質です。
・質の良い
特許明細書を作成するために私が最も大事だと思
うのは、発明の本質を的確に捉えて記載するということで
す。
■『
特許明細書のチェック方法』
著者:橘 和之 出版社:発明協会
-------------------------------------------------------------------
<編集後記>
■先日、近所の酒屋さんで、おいしい芋焼酎を紹介していただ
きました。サツマイモの甘い香りがすごく残っていて、一口
目が何といってもおいしいです。
もしかすると、自分の中の定番になるかもしれません。
普段は晩酌等をする方ではないのですが、ついつい誘惑にか
られてしまいそうになります。
-------------------------------------------------------------------
メールマガジン「役に立つ
特許実務者マニュアル」は
いかがでしたでしょうか。
すべてにご返信はできないかもしれませんが、メールにてご
意見、ご感想等いただけましたら、幸いです。
また、このような話題を取り上げてほしい等のご要望があり
ましたら、可能な範囲で対応したいと思っておりますので、
よろしくお願いいたします。
業務が多忙となり、配信が遅れることがあるかもしれません
が、できるだけ、定期的に配信をしていきたいと思います。
-------------------------------------------------------------------
<お願い>
メールマガジン「役に立つ
特許実務者マニュアル」は、著作
権により保護されています。
また、メールマガジン「役に立つ
特許実務者マニュアル」は、
私個人の
特許に対する考え方やノウハウをお伝えするもので
あり、
ご紹介する内容のすべてが絶対的に正しいとは、考えており
ませんので、その点について、予めご了承いただき、お読み
いただけましたら幸いです。
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発行元:ライトハウス国際
特許事務所 田村良介
問い合わせ先: mail@lhpat.com
注:@は「@」に変換して、ご送信下さい。
登録・解除はこちらから
http://www.mag2.com/m/0001132212.html
Copyright (c) 2010 Ryosuke Tamura All rights reserved.
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前回は、「高温」、「低温」や「主成分」といった発明の範
囲があいまいになる用語は用いないというお話をさせていた
だきました。
今回は、その他の特許請求の範囲が不明確とされる事例の中
でも、比較的誤って記載されることが多い事例について、ご
紹介させていただきます。
■特許を受けようとする発明の属するカテゴリーが不明確な
場合。
例えば、「~する方法又は装置」や「~する方法及び装置」
といった請求項は、「方法の発明」、「物の発明」のいずれ
に該当するか分かりませんので、不明確とされます。
■特許を受けようとする発明を特定するための事項に関して二
以上の選択肢があり、その選択肢どうしが類似の性質又は機
能を有しない場合。
例えば、「特定の部品又は該部品を組み込んだ装置」といっ
た請求項の記載は、部品と装置が類似の性質を有していると
は言えませんので、不明確となります。
■化学物質が選択肢となっている場合は、以下のようなケース
であれば、発明は明確とされます。
1.その化学物質が共通の性質又は活性を持っていて、且つ、
共通の化学構造を持っているもの
例えば、「メタノール又はエタノールを含み、・・・
をさらに含む組成物」
2.その化学物質が共通の性質又は活性を持っていて、且つ、
同じ化学物質群に属するもの
例えば、「カリウム成分又はナトリウム成分を含み、
・・・をさらに含む組成物」
ですから、「亜鉛又はポリプロピレンを含み、・・・をさら
に含む組成物」といったような請求項は、亜鉛とプロピレン
が共通の性質を持っているとはいえませんので、不明確とさ
れます。
■発明の詳細な説明又は図面の記載で代用されている結果、発
明の範囲が不明確となる場合。
例えば、「図1に示す○○装置」といった請求項は、発明が
不明確であるとして認められません。
■この他にも、不明確とされる事例はありますが、主なものは
ご紹介させていただきました。この他の事例にもご興味のあ
る方は、特許庁の審査基準を是非ご確認ください。
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■本日、ご紹介するのは、
『特許明細書のチェック方法』
著者:橘 和之 出版社:発明協会
■本書は、一燈国際特許事務所の弁理士の橘和之先生が執筆さ
れたものです。
弁理士が作成した明細書を、企業の担当者がどういった視点
でチェックすべきかについて記載したものです。
具体例を上げつつ、発明者が何をチェックすべきか、知財担
当者が何をチェックすべきかと、そのポジション毎にチェッ
クすべき内容を解説している点も、参考となります。
■また、弁理士だけでは質の高い明細書を完成させることは難
しく、企業側と「共創」することが必要だという著者の主張
に、共感します。
弁理士は、どうすれば特許になりやすいか等の視点を持って
いますが、技術を知り尽くしているわけでもありませんし、
企業の特許出願の目的や戦略を把握しきれていない場合もあ
ります。
ですから、そのような視点を持っている企業側の担当者の力
と、弁理士の力が合わさることで、本当に企業にとって役立
つ特許が生まれるように思います。
ただし、企業の特許出願の目的や戦略を十分に熟知したうえ
で、明細書を作成するのが、弁理士の理想であるようにも思
います(私自身はまだまだであります)。
■以下、印象に残った、或いは、参考になると思われる箇所の
抜粋です。
・発明者には技術的な側面から特許明細書をチェックするこ
とが求められます。ここに発明者の大きな役割があります。
一方、特許的な側面からチェックするのは、知財担当者の
役割です。
・発明者や知財担当者が弁理士の書いた特許明細書をチェッ
クすると言っても、判断基準と言うものを持たなければ、
良いチェックはできません。
・弁理士の作成意図がある程度でも分かっていれば、特許明
細書のチェックも比較的容易に行うことができるでしょう。
・発明が解決しようとする課題、課題を解決するための手段、
作用、発明の効果の4点セットで捉えられる概念が、発明
の本質です。
・質の良い特許明細書を作成するために私が最も大事だと思
うのは、発明の本質を的確に捉えて記載するということで
す。
■『特許明細書のチェック方法』
著者:橘 和之 出版社:発明協会
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<編集後記>
■先日、近所の酒屋さんで、おいしい芋焼酎を紹介していただ
きました。サツマイモの甘い香りがすごく残っていて、一口
目が何といってもおいしいです。
もしかすると、自分の中の定番になるかもしれません。
普段は晩酌等をする方ではないのですが、ついつい誘惑にか
られてしまいそうになります。
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また、このような話題を取り上げてほしい等のご要望があり
ましたら、可能な範囲で対応したいと思っておりますので、
よろしくお願いいたします。
業務が多忙となり、配信が遅れることがあるかもしれません
が、できるだけ、定期的に配信をしていきたいと思います。
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あり、
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発行元:ライトハウス国際特許事務所 田村良介
問い合わせ先: mail@lhpat.com
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