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わかっちゃう! 知的財産用語 No.131
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こんにちは! わかっちゃう弁理士 西川幸慶です。
☆ 本日の知的財産用語
[
補償金請求権(ほしょうきんせいきゅうけん)]
出願公開された発明を実施している者に対して警告することを条件として、
特許後に実施料相当額の支払いを請求できる権利のことです。
(1)
特許出願すると、原則として出願日から1年6ヶ月経過後に自動的に出願
公開され、出願した発明の内容が公開公報に掲載されます。
公開公報は誰でも読むことができますし、
特許電子図書館でも閲覧できます。
公開公報を読めば、そこには発明が開示されているので、読んだ人はその発
明を実施することが可能となります。
(2)一方、
特許権は
特許出願の審査を経て、設定登録により発生します。
そして、
特許権を行使できるのは、
特許権の発生後です。
つまり、出願公開された後、
特許権の発生前に他人がその発明を勝手に実施
しても、
特許権侵害とはなりません。
ですから、
特許権に基づいて差止や
損害賠償を請求することはできません。
(3) しかしそれでは、出願人(後の
特許権者)が その期間の他人による発明
の実施によって 損失を被ることがあります。そこで、その損失を填補する
ために、
補償金請求権が認められています。
(4) 出願補償金が認められるためには次の条件を満たす必要があります。
(A)
特許出願が出願公開されたこと
公開された発明が模倣された場合の損失を填補するための制度だからです。
したがって、
特許出願していても未公開の段階では適用がありません。
(B) その発明を実施している者に対して警告をしたこと
実施している者を具体的に特定して警告する必要があります。
相手を特定せず業界紙に
「当社の**に関する発明は出願公開されている。模倣すれば
特許後に実施料
相当額を請求するので気をつけるように。」
のような警告を掲載するような場合は適用されません。
また、警告に際しては、原則として発明の内容を記載した書面(例えば公開
公報のコピーなど)を提示する必要があります。
(注:例外的に警告が条件とされない場合も有ります)
(C) 警告後、設定登録されて
特許になったこと
警告をしていても、審査で拒絶になって、
特許にならなかった場合は適用が
ありません。
出願公開から
特許権の設定登録までの間の損失を填補することを目的として
いるので、
特許権の設定登録がなければ、そもそもその間の損失発生や、その
填補を考える必要がないからです。
(5)
特許権者は、警告後、
特許権の設定登録前に業として(事業として)その
発明を実施した者に対して、実施料相当額を補償金として請求することが
できます。
「
損害賠償」ではなく「実施料相当額」としたのは、まだ
特許権が発生して
いない期間の実施であることや、損失の填補という性質を考慮しているため
です。
☆ ☆
[関連事項と経験談]
(1)
補償金請求権は、警告後から
特許権の設定登録前までの期間の実施に関する
ものですので、
特許権の設定登録後の実施については、別途
特許権に基づ
いて権利行使し、実施料や
損害賠償を求めることができます。
(2) 出願公開は、原則として
特許出願日から1年6ヶ月経過後ですが、
特許庁
長官に請求することにより、それ以前に出願公開させることもできます(早
期公開)。
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【 最近買った本 】
私が最近買った本の中から、皆さんが興味あるかもしれないと思う本を
紹介しています。
(1) 「京都人の
商法」
http://tinyurl.com/jzdwt
(100年以上続いた老舗の考え方には、学ぶ点がありました。)
(2) 「中原中也詩集」
http://tinyurl.com/j3rzc
(おそろしく繊細ですね。)
(3) 「私の行き方」(小林一三)
http://tinyurl.com/g8x6h
(阪急電鉄,宝塚歌劇の創始者の経営哲学です。)
(4) 「SNS的仕事術」
http://tinyurl.com/hzph2
(私もSNSには入っていますが、「息抜き」,「遊び」として使っています)
(5) 「わが子に伝える『絶対語感』」
http://tinyurl.com/zptfo
(私の場合、反省する点が多いです。子供に教えながら自分でも気をつけた
いです。)
* リンク先は通販書店のアマゾンさんのサイトです。詳細や書評は そち
らをご覧下さい。そちらで購入もできます。
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「わかっちゃう! 知的財産用語」
発行 西川
特許事務所 (
http://www.jpat.net/ )
兵庫県西宮市東山台3丁目9-17
電話 0797-61-1841、 FAX 0797-61-1821
発行人 弁理士 西川 幸慶
pat@jpat.net
ご意見、ご感想 お待ちしてます。
感想メールをいただくと嬉しくて やる気が出るので、よろしくお願い
します。(「読んでるよ」の一言だけでも たいへん勇気づけられます。)
* このメールに返信いただけば、西川に届きます。
☆「メール相談」
http://www.jpat.net/sodan.htm は「有料」ですが、
出願等のご依頼に伴うご相談は「無料」で承っております。
☆ 恥ずかしながら・・
私の日記
http://plaza.rakuten.co.jp/pinnote/
(書き込みも歓迎)
☆ ☆
掲載された記事の内容を許可なく転載することを禁じます。
但し、署名を含めて全文転載でしたら転載,転送していただいて結構です。
(C) 2006 Nishikawa Yukiyoshi
『まぐまぐ』 を 使ってお届けしています。
本マガジンの解除は
http://www.mag2.com/m/0000098536.htm から
お願いします。
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[編集後記]
ふと 昔 勤務していた会社の「社歌」を思い出しました。
新年の朝礼では社長挨拶の後に、歌わされました。
古い会社だったので、歌詞もメロディーも昔っぽい、高校の校歌のような歌
でした。
その会社も数年前にライバル会社と
合併しましたので、あの社歌はもう歌わ
れていないでしょう。
社歌を持っている企業って、今では どのくらい有るのでしょうね。近年の
合併で かなり消滅したのではないかと想像しています。
社歌というのも 一つの文化として 調べたら おもしろい発見が有るかも
しれません。
ところで、外国の企業にも社歌は有るのでしょうか?
「マイクロソフト社歌」とか「ポルシェ社歌」とか有ったら、どんな歌なの
か聞いてみたいですね。
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わかっちゃう! 知的財産用語 No.131
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こんにちは! わかっちゃう弁理士 西川幸慶です。
☆ 本日の知的財産用語
[補償金請求権(ほしょうきんせいきゅうけん)]
出願公開された発明を実施している者に対して警告することを条件として、
特許後に実施料相当額の支払いを請求できる権利のことです。
(1) 特許出願すると、原則として出願日から1年6ヶ月経過後に自動的に出願
公開され、出願した発明の内容が公開公報に掲載されます。
公開公報は誰でも読むことができますし、特許電子図書館でも閲覧できます。
公開公報を読めば、そこには発明が開示されているので、読んだ人はその発
明を実施することが可能となります。
(2)一方、特許権は特許出願の審査を経て、設定登録により発生します。
そして、特許権を行使できるのは、特許権の発生後です。
つまり、出願公開された後、特許権の発生前に他人がその発明を勝手に実施
しても、特許権侵害とはなりません。
ですから、特許権に基づいて差止や損害賠償を請求することはできません。
(3) しかしそれでは、出願人(後の特許権者)が その期間の他人による発明
の実施によって 損失を被ることがあります。そこで、その損失を填補する
ために、補償金請求権が認められています。
(4) 出願補償金が認められるためには次の条件を満たす必要があります。
(A) 特許出願が出願公開されたこと
公開された発明が模倣された場合の損失を填補するための制度だからです。
したがって、特許出願していても未公開の段階では適用がありません。
(B) その発明を実施している者に対して警告をしたこと
実施している者を具体的に特定して警告する必要があります。
相手を特定せず業界紙に
「当社の**に関する発明は出願公開されている。模倣すれば特許後に実施料
相当額を請求するので気をつけるように。」
のような警告を掲載するような場合は適用されません。
また、警告に際しては、原則として発明の内容を記載した書面(例えば公開
公報のコピーなど)を提示する必要があります。
(注:例外的に警告が条件とされない場合も有ります)
(C) 警告後、設定登録されて特許になったこと
警告をしていても、審査で拒絶になって、特許にならなかった場合は適用が
ありません。
出願公開から特許権の設定登録までの間の損失を填補することを目的として
いるので、特許権の設定登録がなければ、そもそもその間の損失発生や、その
填補を考える必要がないからです。
(5) 特許権者は、警告後、特許権の設定登録前に業として(事業として)その
発明を実施した者に対して、実施料相当額を補償金として請求することが
できます。
「損害賠償」ではなく「実施料相当額」としたのは、まだ特許権が発生して
いない期間の実施であることや、損失の填補という性質を考慮しているため
です。
☆ ☆
[関連事項と経験談]
(1)補償金請求権は、警告後から特許権の設定登録前までの期間の実施に関する
ものですので、特許権の設定登録後の実施については、別途 特許権に基づ
いて権利行使し、実施料や損害賠償を求めることができます。
(2) 出願公開は、原則として特許出願日から1年6ヶ月経過後ですが、特許庁
長官に請求することにより、それ以前に出願公開させることもできます(早
期公開)。
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【 最近買った本 】
私が最近買った本の中から、皆さんが興味あるかもしれないと思う本を
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(100年以上続いた老舗の考え方には、学ぶ点がありました。)
(2) 「中原中也詩集」
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(おそろしく繊細ですね。)
(3) 「私の行き方」(小林一三)
http://tinyurl.com/g8x6h
(阪急電鉄,宝塚歌劇の創始者の経営哲学です。)
(4) 「SNS的仕事術」
http://tinyurl.com/hzph2
(私もSNSには入っていますが、「息抜き」,「遊び」として使っています)
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発行 西川特許事務所 (
http://www.jpat.net/ )
兵庫県西宮市東山台3丁目9-17
電話 0797-61-1841、 FAX 0797-61-1821
発行人 弁理士 西川 幸慶
pat@jpat.net
ご意見、ご感想 お待ちしてます。
感想メールをいただくと嬉しくて やる気が出るので、よろしくお願い
します。(「読んでるよ」の一言だけでも たいへん勇気づけられます。)
* このメールに返信いただけば、西川に届きます。
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出願等のご依頼に伴うご相談は「無料」で承っております。
☆ 恥ずかしながら・・
私の日記
http://plaza.rakuten.co.jp/pinnote/
(書き込みも歓迎)
☆ ☆
掲載された記事の内容を許可なく転載することを禁じます。
但し、署名を含めて全文転載でしたら転載,転送していただいて結構です。
(C) 2006 Nishikawa Yukiyoshi
『まぐまぐ』 を 使ってお届けしています。
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お願いします。
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[編集後記]
ふと 昔 勤務していた会社の「社歌」を思い出しました。
新年の朝礼では社長挨拶の後に、歌わされました。
古い会社だったので、歌詞もメロディーも昔っぽい、高校の校歌のような歌
でした。
その会社も数年前にライバル会社と合併しましたので、あの社歌はもう歌わ
れていないでしょう。
社歌を持っている企業って、今では どのくらい有るのでしょうね。近年の
合併で かなり消滅したのではないかと想像しています。
社歌というのも 一つの文化として 調べたら おもしろい発見が有るかも
しれません。
ところで、外国の企業にも社歌は有るのでしょうか?
「マイクロソフト社歌」とか「ポルシェ社歌」とか有ったら、どんな歌なの
か聞いてみたいですね。