登録

会員登録いただけると、

  • メールマガジンの受け取り
  • 相談の広場への投稿 等

会員限定のサービスが利用できます

登録(無料)を続ける
TOP > 記事一覧 > 人事・労務 > 産休・育休を確実に!従業員が出産する際に会社が行うべき手続きとは
産休・育休

産休・育休を確実に!従業員が出産する際に会社が行うべき手続きとは

2022.04.06

雇用している従業員が出産する場合、出産やその後の育児に関して様々な手続きが発生します。

これまで自社の従業員の出産に伴う手続きを行ったことが無いという場合、「どのような手続きをいつまでに行う必要があるかわからない」というように不安なことも多いでしょう。

そこで今回は、従業員の出産や育児に伴い、会社が行うべき主な手続きについてわかりやすく解説していきます。

>>>従業員が出産するときに使える「実務チェックシート」を無料ダウンロード!

目次

まずは産休・育休について確認しておこう

“産休”とは、出産予定日の6週間前と産後8週間取得できる産前・産後休業のことを指し、従業員の雇用形態に関係なく適用されます。

労働基準法第65条には、「6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産予定の女性が休業を請求した場合、および産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない」という内容が記載されており、企業は従業員が産前産後休業を取得することを拒否することはできません。

また、”育休”とは育児休業のことを指し、子どもが生まれてから1歳を迎えるまでの期間が対象となります。ただし、「1歳を迎えるまでに保育所がみつからない」というような場合は、最長2歳まで延長することが可能です。

これら”産休”及び”育休”に伴い、会社側が行うべき手続きが多く発生します。手続きによっては期限が設けられているケースがあるため、以下を参考に段取り良く行っていくとよいでしょう。

【こちらもチェック】改正育休法で「男性の育休制度」はどう変わる?全企業に課せられた新たな義務とは

【産休に入る前に】対象の従業員と産休・育休に関する手続きやスケジュールを確認しておこう

従業員が安心して出産・育児に専念できるように、休業前には産休・育休に関する手続きやスケジュールを本人としっかり確認しておきましょう。

また、この段階で出産育児一時金(詳細は後述)の申請について直接支払制度*を利用するか、会社が手続きするかを確認しておきましょう。

*直接支払制度とは・・・医療機関が出産一時金の請求や受取を行う制度のこと。健保組合から直接医療機関に支払われるため、出産に伴うまとまった費用の準備が不要になる。

【産休開始後すみやかに】住民税の普通徴収への切り替えをしよう

住民税の特別徴収を実施している場合、普通徴収へ切り替える手続きをしましょう。

特別な事情がない限り、従業員の毎月の給与から住民税相当分を天引きし、事業主が対象の市区町村に納付しているはずです。休業中は通常給与が支払われず天引きできないため、従業員が直接市区町村に支払う”普通徴収”に切り替えるのが一般的です。

以下の手順で手続きをしましょう。

手順1:給与所得者異動届出書を作成

住民税の普通徴収に切り替える際、「給与所得者異動届出書」を作成します。書式は市区町村によって異なるためホームページ等で確認するとよいでしょう。

手順2:市区町村に提出

作成した「給与所得者異動届出書」を従業員が居住している市区町村へ提出しましょう。提出方法は市区町村によって異なるため、従業員が居住している市区町村のホームページ等から確認してください。

【出産後すみやかに】全国健康保険協会(または健康保険組合)に産休関連の手続きをしよう

次に「出産育児一時金」と「産休中の社会保険料の免除」に関する手続きを行いましょう。

出産は病気ではないため保険が適用されません。一方で、出産の費用負担は大きいため、それを補助するために設けられた制度が「出産育児一時金」です。

また、産休中は会社分・本人分ともに社会保険が免除されます。支払いは免除されますが、将来受け取ることができる年金の減額や被保険者資格の変更・喪失もありません。免除されるのは、休業を開始した月から終了月の前月まで(終了日が月末の場合は場合は終了月まで)となっています。

「出産育児一時金」と「産休中の社会保険料の免除」は以下の手順で行いましょう。

手順1:「出産育児⼀時⾦⽀給申請書」の作成

「出産育児一金」の支給を受けるための書類を作成します。加入している健康保険組合から書式が提供されているはずですので、ホームページ等を確認するとよいでしょう。

なお、前述の直接⽀払制度を利⽤する場合には、原則この書類による手続きは不要になります。

手順2:産休中の社会保険料免除申請の申請書を作成する

「出産育児一時金支給申請書」と同様に、加入している健康保険組合から書式が提供されているはずですのでホームページ等を確認しましょう。

事業主からの申し出により免除となるので、必ず手続きをしましょう。

手順3:全国健康保険組合(または健康保険組合)に提出

作成した書類を対象の機関に提出しましょう。

その際、以下の添付書類も必要になりますので注意しましょう。

・医師・助産師の証明
・市区町村の証明
・医療機関から交付される領収書のコピー

【出産後すみやかに】生まれた子どもの扶養に関する手続きを行おう

生まれた子どもを対象の従業員の扶養に入れる場合に行う手続きです。従業員の配偶者の扶養に入る場合は、配偶者側の健康保険に加入するため手続きは不要です。

対象の従業員の扶養に入れる場合は以下の手順で行いましょう。

手順1:健康保険被扶養者(異動)届の作成

加入している健康保険組合で書式が異なりますのでホームページ等を確認しましょう。

全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入している場合は、「健康保険被扶養者(異動)届」および「国⺠年⾦第3号被保険者資格取得・種別変更・種別確認(3号該当)届」を作成します。

手順2:年金事務所(または健康保険組合)に提出

事業所の所在地を管轄する年金事務所(または健康保険組合)に提出します。出産後5日以内に提出するという期限が定められていますので、すみやかに手続きしましょう。

以下も必要になりますので事前に確認しておきましょう。

・「出⽣届・出⽣証明書」のコピー
・⺟⼦⼿帳のコピー

【出産から56日経過後】全国健康保険協会(または健康保険組合)に育休関連の届出を行おう

育休開始にあわせて「出産⼿当⾦」と「育休中の社会保険料の免除」の申請を⾏います。

「出産⼿当⾦」として、産前産後休暇中の所得補償として休暇前の給与のおよそ3分の2が⽀給されます。また、産休中と同じく育休中にも会社分、本人分ともに社会保険が免除されますので、手続きを行いましょう。

手順1:「健康保険出産⼿当⾦⽀給申請書」の作成

「健康保険出産手当支給申請書」は加入している健康保険組合で書式が提供されているはずですので、ホームページ等を確認してみましょう。

手順2:育休中の社会保険料免除申請の申請書を作成する

こちらも加入している健康保険組合のホームページ等で書式を確認しましょう。

手順3:全国健康保険協会(または健康保険組合)に提出

上記書類を全国健康保険協会(または健康保険組合)に提出します。その際、以下の書類が必要になりますので確認しておきましょう。

・⺟⼦⼿帳のコピー

【育児休業開始から2ヵ月経過後】ハローワークに育児休業給付⾦申請書類を提出しよう

産後57日目から子どもが1歳になるまでの間、育児休業給付金を取得することができます。直近6ヶ月間の平均賃金の2/3、6か月経過後は1/2となります。状況により子どもが2歳を迎えるまで延長可能になります。

手順1:育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書の作成

ハローワークのホームページから書式をダウンロードし作成しましょう。

手順2:雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書

雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書もハローワークのホームページ等からダウンロード可能です。

手順3:ハローワークに書類を提出

上記書類を作成した上でハローワークに提出しましょう。

その際、以下の書類も必要になりますので確認しておきましょう。

・賃金台帳
・出勤簿等
・母子手帳のコピー

 

以上、従業員の出産・育児に伴い会社側が行うべき主な手続きをみてきました。

今回紹介した手順を参考にしながら、出産・育児に伴う業務フローを整えていくと、スムーズな手続きを行うことができるでしょう。

従業員の出産や育児に関する手続きは様々ありますが、厚生労働省や加入している健康保険組合等のホームページを参考にすれば詳しく説明されています。

不明点は必ずホームページ等で確認し、期限通りに漏れなく手続きを進めていただきたいです。

また、下記URLでは、各手順を漏れなく進行するために役立つ実務チェックシートを無料でダウンロードできます! ぜひ活用してくださいね。

>>>従業員が出産するときに使える「実務チェックシート」を無料ダウンロード!

【こちらもチェック】手当、助成金は?男性の取得は?産休・育休に関する相談まとめ

*shuu、Fast&Slow、sasaki106 / PIXTA(ピクスタ)