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融資を受けるには、どうすれば?金融機関が「融資を避ける」中小企業の特徴と解決策

2022.04.08

会社の経営には、当然ながら資金が必要です。自社内で運営資金を賄うことができれば良いのですが、存続を懸けた状況の中、ある程度の資金が一度に必要になるケースもあります。このような状況における対応策の一つが、銀行や信用金庫などの金融機関から借り入れを受ける“融資”です。

しかし、融資は審査が通らず、資金を調達できない事態に陥る可能性があることを覚えておかなければなりません。今回は金融機関が融資を避ける会社の特徴を紹介します。

金融機関が融資を避ける企業の特徴とは

金融機関は、資金を貸し付ける余裕がある者より資金を調達し、資金を求める者へ融通を行うことで成り立っている機関です。したがって、信用できない会社へ融資し、資金が回らなくなるという事態は何よりも避けなければならない事態です。

つまり、会社に対する好き嫌いなどの感情的な理由を基準に資金の融資を実施することはなく、融資に値する基準を満たした会社へのみ貸付を行うのが金融機関であるといえます。

ここからは、金融機関が融資を避けたがる企業とはどのような特徴がみられるかを具体的に列挙していきましょう。

(1)経営者が経理に明るくない会社

日頃より経理の重要性や経営方針について検討をしていない経営者の場合、経理関係の業務はすべて担当者へ丸投げをしてしまうケースがみられます。特に規模の小さい中小企業の場合、社長自身も一人の営業担当社員として仕事をする必要性が生じてしまうため、なかなか経営まで目をかけることができない事情もあるでしょう。

しかし、経営者が経理への理解や関心を持たないと、自社の経営状態把握ができず、今後の経営方針を適切に策定することが非常に難しくなります。また、中小企業では役員と経理担当者を兼務するケースも多く、日々の業務に追われてしまい経理まで手が回らない事態に陥る危険性があります。

経理に対する理解が明るくない経営者や経理担当者が金融機関とやり取りをする場合、金融機関からの質問や申し出が全く理解できず、信頼を得られなくなるリスクが生じることを覚えておきましょう。

(2)対応がルーズな会社

金融機関へ融資を申し出る場合は、金融機関と会社との間ではさまざまなやりとりを行います。電話やメールのレスポンスが遅かったり、期限までに書類の提出が行われなかったりすると、社内体制が整っていない会社だという印象を与えてしまいます。

たとえば、決算書類がなかなか提出されない会社には、日々の経理業務がスムーズに行われていない可能性が指摘されます。理由の多くは(1)で挙げた経営者の経理に対する意識が薄いことです。トップに立つ者が適切な管理や指導をしていない会社では、社員も経理業務に関する理解度が低く、社内における領収証や旅費精算の収集に時間がかかる事態へとつながります。その結果、経理部門の書類取りまとめが適切に行われず、期限が守れないルーズな会社とみなされてしまうのです。

(3)将来のビジョンが明らかではない会社

行き当たりばったりの対応で毎日を送っている会社の場合、社長の思いつき一つで大きな設備投資をしてしまうケースがあります。このような会社は売り上げにムラがある場合が多く、「なぜ資金が不足しているのか」「会社が回るようにするには何をすれば良いか」などの理由が分からず、ただ単に不足しているから融資をしてくれないか、と申し出るケースが多々みられるものです。

金融機関としては、目先の資金しか見えておらず、その場しのぎの理由で資金の申し出をする企業への貸付は、危なくてとても実施できるものではありません。融資先の候補から外れてしまうのも無理はないといえるでしょう。

【こちらの記事も】設備投資にいくらかけるべき?減価償却と設備投資計画の進め方を税理士が解説

(4)職場環境が整っていない会社

目の前の売上のみに集中してしまい、社内の状況に目を向けない経営者が率いる会社の場合、社長自身が仕事で使う備品や車などにお金をかける一方で、社員たちはプリンターやパソコン、机や事務用品が古いままの不便な環境下で働いているケースが非常に多くみられます。

金融機関は、日頃よりたくさんの取引先企業を訪問します。訪問の目的は、挨拶や経営状況の確認などに加え、社内の状況チェックも含まれていることを忘れてはいけません。不便な環境で働く社員を確認することで、資金の活用が適切に行われていない会社として判断されてしまうリスクが生じるのです。

融資を受けやすくするためには?

ここまでの項目では、金融機関が融資を避けたがる企業の特徴について述べてきましたが、ここからは“融資を受けやすい会社”になるためのポイントについて、順に解説をしていきましょう。

まず重要なポイントは、企業の格付けはほぼ決算の内容で決定されるということです。ただ単に黒字であれば良いということではなく、安全性や収益の状況、成長の度合いや債務を返済する能力の内容などの項目からトータルに決定されます。つまり、赤字であったとしても一過性のものであり、賄えるだけの充分な資金があると判断される場合は、融資を受けられることがあるのです。

そして、上記のような決算の内容を経営者や経理担当者が正しく理解し、懸念点に対する対策もあわせて金融機関へ伝えることができるよう日頃より準備をしておく必要があります。自社を売り込むトークを磨くのではなく、適切に決算内容を把握することが重要となりますので注意しましょう。

さらに、決算書から読み取ることのできない体制を整えることもあわせて必要です。前述の融資を避けたがる企業の特徴に挙げられた、書類のやり取りやコミュニケーションがスムーズではないことや社員の働く環境に目を向けない姿勢は、会社の心証を悪くするので避けるべきでしょう。また、将来の安定性を示す方法の一つである“跡継ぎ問題”も避けては通れないポイントです。後継者が決まっていない会社は、現社長に何かがあったときに体制が整わず、金融機関へ融資の返済が滞るのではないかという不安を与えてしまいます。跡継ぎを明確にし、将来に向けた体制づくりに取り組む必要があることもあわせて覚えておきましょう。

まとめ

金融機関も、資金の移動により利益を得なければ成り立たない存在です。したがって、融資を受けるためには、上記の内容を念頭に置き、外部から信頼される会社づくりに注力しなければなりません。安定した企業は一朝一夕で作り上げることができるものではなく、経営者や社員が日頃から意識し、作り上げるものです。まずは社内の状況を洗い出し、信用される企業となるには何をすべきかを検討してみてはいかがでしょうか。

【こちらの記事も】税理士に聞く!中小企業の味方「日本政策金融公庫」の融資制度と審査を通すコツを解説

*jessie、elise、CORA / PIXTA(ピクスタ)