登録

会員登録いただけると、

  • メールマガジンの受け取り
  • 相談の広場への投稿 等

会員限定のサービスが利用できます

登録(無料)を続ける
TOP > 記事一覧 > 採用 > 中小企業はどこから手をつける?はじめての新卒採用で押さえたい5つのポイント
新卒採用

中小企業はどこから手をつける?はじめての新卒採用で押さえたい5つのポイント

中小企業にとっておなじみの人材確保と言えば、中途採用や縁故採用です。会社の規模が拡大し、成長軌道に乗っているときには、新卒採用も視野に入ってくることでしょう。経営者の中には「新卒採用に興味はあるけど、うちみたいな小さな会社では無理だよ」と考えられている方もいるかもしれません。

確かに大企業と同じ土俵で戦う新卒採用は、敷居も高く感じます。しかし、数十万人の学生が一度に就職する「新卒採用市場」は、企業が安定的に人材を確保するまたとないチャンスです。中途採用市場には出てこない“逸材”がいる可能性も高いので、参入しない手はありません。

また、新卒採用は0から育成をスタートするので愛社精神が育まれやすく、組織にとって欠かせない人材に成長しやすいという魅力があります。毎年若い新人が入ることで組織が活性化するというメリットも見逃せません。

とはいえ、「どこから手をつければいいのかわからない」という方も多いのではないでしょうか? 今回は中小企業が初めて新卒採用をする上で、押さえておきたい大事なポイントをお伝えいたします。

ポイント1「新卒採用の決意表明・プロジェクト化宣言」

人事担当や採用の専任者がいない会社では、社長が中心になって中途採用していることが多いでしょう。しかし、新卒採用は社長や担当者が一人で進めるよりも“社内一丸となって取り組む”という心構えを持って、プロジェクト化することをおすすめします。これは新卒の社員を受け入れる土壌を作る上でも大切なことです。

例えば、就活生がインターンシップに来たときに、社員が「自分は担当者じゃないから」と無関心な態度をとったり、忙しいからと放っておかれたりしたらどんな印象を抱くでしょうか? 「会社を見てガッカリしたから内定辞退」ということも考えられますよね。

そうならないためにも、経営者自らが「新卒採用をする」と宣言し、その重要性について熱く語ることが大事なのです。会社の目的や将来のビジョンについて語り、「目標を達成するために新卒採用が重要である」ということを、みんなに理解してもらいます。

その上で新卒採用に関するチームを作ったり、担当以外の人にも意見を出してもらったりして、社員の参加を促します。社員全体が新卒採用に関わるムードを作ることで、就活生を歓迎する雰囲気が生まれ、会社の魅力アップにつながります。それが結果的に内定辞退や早期退職を防ぐことにもなるのです。

ポイント2「新卒採用のスケジュールを把握する」

「新卒採用をする」と宣言したら、いつ何をするのか年間のスケジュールを把握しなければなりません。もともと新卒採用には「就職協定」という経団連に加盟する企業と大学側で結ばれた就職活動に関するルールがあり、たびたび変更されてきました。2018年10月に経団連はこれまでの「就活ルール」の廃止を発表しています。今後政府主導の新たなルールの策定議論が進められていますが、急激なルール変更は混乱を招くため、2023年卒の就活ルールは現行日程を踏襲する方針が発表されています。従来の解禁日に向けた就活スケジュールは以下の通りです。

大学3年生の3月:広報解禁
大学4年生の4~5月:応募受付
大学4年生の6~9月:選考解禁
大学4年生の10月:内定解禁

企業は年々採用活動を前倒していますし、大学3年生の夏のインターンシップを通して就活をする学生も増えています。あくまで参考程度ですが、解禁日を意識した計画を立てることで、多くの就活生と接触するチャンスが生まれるでしょう。

ポイント3「採用ブランディングをする」

就活生は情報解禁に向け、大学3年生の秋ごろから業界や会社の研究を始め、さまざまなサイトを見比べるようになります。大企業と比べて知名度の低い中小企業こそ、ホームページや就職ナビ等に掲載する内容を見直すことが大切になります。もし採用ブランディングが十分にできていないと、学生の目に止まらなかったり、偶然見かけても素通りされてしまったりするリスクが大きくなるのです。

「そうは言っても、給料や福利厚生みたいな条件面では大手とは戦えないし……」という声をよく聞きますが、価値観が多様化している今、自社の魅力と学生の希望が合致するチャンスは少なくありません。

まず社内で話し合って、その年にどんな人を採用したいか決めるところが第一歩です。例えば「今後は営業に力を入れたいから、積極的でコミュニケーションの高い人材がほしい」という意見が出て、みんなが合意したとします。それが新卒採用したい人物像(ペルソナ)です。ここを明確にすることで、人材のミスマッチを減らすことができます。

次に、「ペルソナが見たときに、自社のどこに魅力を感じるであろう?」ということを考えて、要素を洗い出していきます。もし向上心の高い人材であれば、「どんどん仕事を任せるので将来成長できる」といったところに魅力を感じるかもしれません。

社長にとっては当たり前のことでも、社員が魅力的に感じていることは意外と多いものです。さまざまな年齢層の社員から意見を聞きながら、会社としての魅力を明確にしていきましょう。その上で、“ペルソナに刺さる要素”を優先的に取り上げ、ホームページや採用サイトで訴求していきます。会社の業務内容や社内の雰囲気を伝えるため、SNSの運用も欠かせません。

【こちらの記事も】中小企業の新卒採用に使える「ダイレクトリクルーティング」とは?【進め方・事例も】

ポイント4「会社説明会の準備」

新卒採用を行う場合、就職情報サイトと同じくらいよく利用されるのが合同会社説明会です。合同会社説明会は、経営者の考え方や仕事内容、どのような想いで仕事に取り組んでいるのかを就活生に伝えることのできる貴重な機会です。

合同説明会は、毎年数万人が来場する大規模なものから、業種別・エリア別・ターゲット別の小規模なもの、オンライン説明会等さまざまなものがあります。まずは採用ターゲットに合わせて出展する説明会を決定し、運営会社に申し込みましょう。当日の呼び込みで来てくれる就活生もいますが、近年は事前にインターネットで出展企業を検索し、気になったブースに狙いを絞って立ち寄る傾向があります。

ですからポイント2の採用ブランディングが重要です。その上で就活生は「SNSやホームページを見るだけではわからない会社の全容」を知るためにブースに足を運んでくれます。彼らに自社で働くことのメリットを提示し、不安を払拭できるよう、しっかり事前に準備して合同説明会に臨みましょう。

ポイント5「インターンシップの開催」

新卒採用活動の早期化により、近年大企業もインターンシップに非常に力を入れており、就活のプロセスとして一般化してきています。

インターンシップの実施時期は企業によってさまざまですが、学生が参加しやすい夏休みか冬休みに行われるのが一般的です(もちろんそれ以外の時期に開催しても問題ありません)。期間は1~3日以下が一番多く、長くても1~2週間程度です。短期開催のインターンシップの場合、自社で会社説明会やセミナーを開催し、会社内を見学してもらうケースがあります。その後、参加者の質問に答えたり社員との交流会を開催したりする企業もあるようです。

1~2週間程度のインターンシップの場合、社員と同様の業務を行ってもらうことが多々あります。就活生に実際に業務内容を知ってもらうことができますし、企業側も面接だけではわからない就活生の性格や働きぶりを見ることができます。お互いに「イメージと違った」「自分とは合わない」といったミスマッチを防ぐのに効果的です。内々定を出した就活生に対しては、お互い合意の上で入社までインターンシップやアルバイトを続けてもらうことも可能です。中小企業にとっては貴重な戦力となることも期待できます。

まとめ

以上、5つのポイントを紹介しましたが、いかがだったでしょうか? 新卒採用に初めて取り組む場合、やることがたくさんあって大変だと思います。だからこそ、社長や担当者一人で背負うのではなく、社内一丸となって「新卒採用プロジェクト」を進めていく意識が重要なのです。新卒採用は会社としての在り方や将来のビジョンを見直し、飛躍するきっかけになり得るので、ぜひ前向きに検討していただきたいと思います。

【こちらの記事も】小規模企業に新卒採用は必要?採用のプロに聞く大手企業に勝つ人材確保のポイント

*EKAKI、ateliermush、りびっつ / PIXTA(ピクスタ)