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賃上げ

賃上げで助成金が!2023年版「業務改善助成金」(通常コース)を社労士が解説

2022.12.27

慢性的な人材不足時代。どんどん求人をかけたいけれど、現社員の賃上げもしないといけない……。そのような場合におすすめしたい制度が業務改善助成金(通常コース)です。2022年12月に改定し、助成金額などが拡充されました。どのような制度なのか、解説していきます。

※2022年12月更新

業務改善助成金(通常コース)の概要

業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者等の賃上げ・生産性向上を支援する制度です。生産性向上につながる設備投資等を行い、事業場内最低賃金を30円以上引き上げた場合、その設備費用が一部助成されます。この制度は2022年12月に改定され、より活用の幅が広がりました。

受給要件・対象事業者は

1)業務改善助成金(通常コース)では、“事業場内で最も低い賃金”を一定以上(30円以上)引き上げるとともに、生産性向上につながる設備投資(機械設備、コンサルティング導入や人材育成・教育訓練)など行う経費の一部が助成されます。
2)賃上げ計画を策定する必要があります。
3)生産性向上、労働能率の増進に資する設備投資を行い、その費用を支出する必要があります。
4)厚生労働省で定められた中小企業である必要があります。
5)事業場内最低賃金と地域最低賃金の差額が30円以内である必要があります。例えば、大阪府内の場合、最低賃金が1,023円であるため、事業場内最低賃金が1,053円以下の場合が対象になります。

2022年12月に改定された点

業務改善助成金は、2022年12月12日に改定され、中小企業・小規模事業者が利用しやすいよう、助成上限額の引き上げ、助成対象経費の拡充、対象事業場の拡大などが定められました。改定のポイントをご紹介します。

改定のポイント

1:助成上限額の引き上げ・・・事業場規模30人未満の事業場について、助成上限額を引上げました(※1)
2:対象事業場の拡大・・・助成対象を事業場規模100人以下とする要件を廃止しました
3:申請期限の延長・・・申請期限が2023年3月31日まで延長されました
4:助成対象経費の拡大・・・特例事業者の助成対象経費を拡充しました(※2)

※1 具体的な引き上げ額は、賃金を引き上げる労働者の数が1人の事業場で賃金を30円引き上げた場合の助成上限額は30万円→60万円、賃金を引き上げる労働者の数が10人以上の場合で、30円引き上げた場合、助成上限額は120万円→130万円に引き上げられました。

※2 特例事業者とは、次の1)2)3)のいずれかに該当する事業場を言います。
1)事業場内最低賃金920円未満の事業場
2)売上高や生産量名の事業活動を示す指標の直近3か月間の月平均値が前年、前々年または3年前の同じ月に比べて、15%以上減少している事業場
3)原材料費の高騰など社会的・経済的環境の変化等の外的要因により、申請前3か月のうち任意の1か月の利益率が3%ポイント以上低下している事業者
2)もしくは3)の特例事業場は、助成対象経費が拡充されています。

特例事業者の助成対象経費には以下が含まれます。
・定員7人以上又は車両本体価格200万円以下の乗用自動車や貨物自動車
・パソコン、スマホ、タブレット等の端末機器の新規購入
・関連する経費:広告宣伝費、汎用事務機器、事務室の拡大、机・椅子の増設等の経費
(具体例)デリバリーサービスを行っている飲食店が機動的に配達できるようデリバリー3輪バイク購入、デリバリーサービスの広告チラシの作成など

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助成率・助成上限額について

引き上げ人数10人以上で、特例事業者に該当する場合は、助成上限額の特例に該当します。下記が助成上限額となります。

【30円コース】30円以上(事業場内最低賃金の引き上げ額)・・・120万円
【45円コース】45円以上・・・180万円
【60円コース】60円以上・・・300万円
【90円コース】90円以上・・・600万円

助成率は、下記の通りとなります。()は生産性要件を満たした事業場の場合(助成金の支給申請時の直近の決算書類に基づく生産性と、その3年度前の決算書類に基づく生産性を比較し、伸び率が一定水準を超えている場合等)です。

870円未満・・・9/10
870円以上920円未満・・・4/5(9/10)
920円以上・・・3/4(4/5)

助成例・活用事例

例えば、大阪府のデリバリーサービスを行っている飲食店が、デリバリー3輪バイク(単価50万円)を3台購入(150万円)し、事業場内最低賃金を30円賃上げした場合、150万円の3/4の助成となりますので、112.5万円の助成金が受給されます。

その他、POSレジシステムの導入による在庫管理の短縮、リフト付き特殊車両の導入による送迎時間の短縮、顧客・在庫帳簿管理システムの導入による業務の効率化、専門家のコンサルティングによる業務フロー見直しによる顧客回転率の向上などに活用できます。

申請の流れ

STEP1:交付申請書・事業実施計画書などを労働局に提出(事業主)
※交付申請書を提出する前に設備投資や事業場内最低賃金の引き上げを実施した場合は、助成の対象となりませんので注意が必要です。

>>>申請書式のダウンロードはこちらから

STEP2:審査・交付決定(労働局・1か月程度)
STEP3:計画の実施(事業主・1~3か月程度)
STEP4:事業実施報告書の提出(事業主・計画完了後1か月または4月10日のいずれか早い日)
STEP5:審査・金額確定(労働局・20日程度)
STEP6:支払請求書・様式13号(事業主)
STEP7:助成金の支給(労働局)
STEP8:状況報告の提出

まとめ

昨年度の最低賃金の引き上げ額は、31円と過去最大になり、伸び率は3.3%になりました。例年最低賃金の引き上げは、夏に決定され、秋に実施されます。業務改善助成金を活用することで、事業場内最低賃金の賃上げを前倒ししながら、設備投資などの費用の助成を受けることができます。ご検討をおすすめいたします。

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【参考】[2]業務改善助成金:中小企業・小規模事業者の生産性向上のための取組を支援 / 厚生労働省

*freeangle、maru、CORA / PIXTA(ピクスタ)

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