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TOP > 記事一覧 > 経営・財務 > 売上ばかり上げようとしてもダメ?中小企業診断士が教える「業績の良い会社の共通点」3つ
業績の良い会社

売上ばかり上げようとしてもダメ?中小企業診断士が教える「業績の良い会社の共通点」3つ

2022.11.28

中小企業経営者にとって、「どうすれば商品やサービスの開発や販売がうまくいくか」ということは最も関心が高いことの一つでしょう。なぜなら、商品やサービスが顧客に受け入れられてはじめて売上を確保することができ、経費の支払いや借入返済、また将来へ向けた投資等をすることが可能になるからです。実際、中小企業診断士である筆者が多くの会社に訪問する中で、商品やサービスをどう改善し業績を向上させるかについて悩みが無い経営者は皆無といっても過言ではありません。

このように業績に直接的に影響する商品やサービスに目が向いている会社が多い一方で、業績に間接的に影響を及ぼす要因に着目し意識して取り組んでいる会社は意外と少ないといえるでしょう。そこで今回はそのような要因の中でも“オフィス環境・働き方”に焦点を当てて、業績が良い中小企業の共通点を説明していきます。


業績が良い会社の共通点①:オフィスが整理整頓されている

筆者が会社を訪問する際に必ず見るポイントは、“整理整頓されているか”ということです。例えば、社員の使っている机の上や書類関係の保管状況、打ち合わせ場所までの通路に何が置かれているか等、自然と目にできる範囲で可能な限り確認するようにしています。なぜなら経営に関する話を目的として訪問する際には、会話の方向性を決める材料となり得るからです。実際に筆者の経験からいうと、整理整頓されている会社ほど業績が良い場合が多く、業務が円滑にまわっているケースがほとんどです。

なぜオフィスが整理整頓されていると業績が良いのか?

2018年にコクヨ株式会社が実施した調査*では、1日のうち書類を探す時間はおおよそ20分という結果でした。これを1年間に換算すると約80時間に相当します。書類以外を含めると、年間150時間ほど探し物の時間を要しているという調査もあり、小さな積み重ねが非常に多くの時間的なロスにつながっていることがわかります。この原因はやはり”整理整頓”に起因することが多いのではないでしょうか。例えば、本来あるべき場所に使おうとしたものが無く、探しているうちに5、10分と時間が経ってしまうというような場合です。そもそもルールが無く各人の裁量で資料や物を管理している場合には必然的に起こるでしょうし、ルールがあったとしてもそれを1人でも徹底できなければ起こり得る問題です。整理整頓が徹底され、このような無駄な時間が発生しなければ、それだけで時間の短縮につながり本来行うべき業務に時間を割けるわけです。

まずここから取り組もう

職場環境の維持・改善を行う際に“5S”という考え方があります。これは、“整理・整頓・清掃・清潔・躾(しつけ)”の5つの活動のことであり、職場において徹底すべき事項を指します。この”5S”を実施する際に、まず整理・整頓の“2S”から始めることが重要であるという考え方があり、整理整頓は基本的かつ重要な活動だといえます。

以下の定義を参考に、まず実行することを考えるとよいでしょう。

整理:要るものと要らないものを明確にし、要らないものを処分すること
整頓:必要なものをいつでもすぐに取り出せるようにすること

ある会社では、会社の整理整頓に着手する際に以下のように取り組みました。

①まず整理整頓の対象となる場所や部屋を決める
②そこにあるものを一度すべて別の場所に移動する
③「直近1年間で使用したか?」という基準で残す・廃棄を決定
④基準に合致したものだけ元の場所に戻し、ラベル等を貼り取り出しやすいようにする

ポイントは何らかの基準に厳密に従って廃棄することです。「いつか使う可能性があるものは残す」という判断基準だと、整理はなかなか進みません。「これまで整理整頓がうまくいかなかった」という会社ほど、大胆な方法を採用することが必要です。

【もっと詳しく】そろそろ検討すべき?オフィス改装の重要性やメリットを解説

業績が良い会社の共通点②:メリハリをつけた働き方をしている

筆者の経験では、メリハリのある働き方が浸透している会社は業績が良い傾向にあるといえます。例えば、「会議の時間が短い」「無駄な残業をしない」というようなイメージです。こういう会社は共通して社員の挙動や言動にスピード感や活気があり、業績にも反映されていることが多いといえます。

なぜメリハリのある働き方をしていると業績が良いのか?

さまざまな要因が考えられますが、一つ挙げるとすると「全体の8割の結果は、ある特定の2割の要素が生み出している」という『パレートの法則』があります。例えば、「全売上高の8割を上位2割の優良顧客が占めている」というイメージです。『パレートの法則』は『2:8の法則』とも呼ばれ、ビジネスのみならず自然現象や社会現象にも当てはまると言われている考え方です。

この法則は、働き方にも適用することができると考えます。つまり、あらゆる業務において“2割の時間で成果の大半を占める8割を生み出すことができる”という考え方です。もちろん、100%の成果を追い続けることは重要ですが、スピードが求められる現在において「いかに短い時間で成果を生み出していくか」という観点も非常に大事だといえるでしょう。

まずここから取り組もう

すぐに取り入れられる方法を2つ紹介したいと思います。

その1.社員のスケジュールの共有

ITツール等を用いて社内のスケジュールを共有することで、何にどのくらい時間をかけているかということをお互いが知ることができます。自らの予定をオープンにすることで、良い意味で時間に対するプレッシャーがかかり時間内に業務を終えるという意識も高まるでしょう。

その2.会議のルール化

より生産的な会議にするために、例えば以下のようなルールを設けます。

①事前に会議の目的とゴールを明確にする
②会議時間は30分までとし、時間がきたら必ず終了する
③時間までに何らかの結論を出す

このようなルールを設けることで、ダラダラ会議をなくしより生産的な会議をすることにつながるでしょう。

【こちらの記事も】人材不足時代「従業員の心身の健康」が最重要?ウェルビーイング経営のすすめ

業績が良い会社の共通点③:社員が自らの裁量で業務を進められる

社員が自らの責任のもと意思決定し、業務を進められる環境がある会社は業績にも反映されていることが多いと感じます。もちろん、何でもかんでも社員が意思決定できるというわけではなく、ある一定の範囲の中で仕事を任され、責任も持った上で判断を下せるということです。

なぜ自己裁量で仕事を進められると業績が良いのか?

新入社員の頃は右も左もわからず、上司から指示されたことを着実に業務遂行していくことが最も期待されることでしょう。しかし、だんだんと経験を積んでいく中で対応できる範囲が広がるとともに、より難しい仕事にもチャレンジできるようになっていくはずです。それに応じて、任せられる仕事が増え自ら判断できる余地が多くなっていけば、自然と仕事に対するやりがいも高まっていくと考えられます。社員それぞれがこのような働き方をしていれば、意思決定のスピードも速くなり結果として業績にも良い影響があるといえるでしょう。

まずここから取り組もう

各社員の役割を明確にし、責任と権限を明確にすることから始めるとよいでしょう。これをまとめたものが“職務分掌”と呼ばれるもので、役職や職種ごとの役割や責任及び権限を明文化することをいいます。職務分掌を作成することで、各社員がやるべきではない不要な仕事を排除することにもつながるので、生産性向上につながるというメリットもあります。

【もっと詳しく】創業5年目の中小企業に「権限委譲」が必要な理由

 

今回は“オフィス環境・働き方”に焦点を当てて、業績が良い中小企業の共通点を説明していきました。取り入れられる考え方があれば、ぜひ実行に移していただきたいです。

【参考】*書類を探す時間は“1年で約80時間”書類探しを楽にするクリヤーホルダーファイリング「KaTaSu(カタス)」第3回【関西】働き方改革EXPOに出展 / コクヨ株式会社
*kou、Ushico、jessie、kikuo / PIXTA(ピクスタ)

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