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TOP > 記事一覧 > 総務・法務 > カフェ、コワーキング…理想的なサードプレイスとは?役割や事例を解説【ABW第4回】
働く社会人

カフェ、コワーキング…理想的なサードプレイスとは?役割や事例を解説【ABW第4回】

ABW連載の4回目です。前回の話ではオフィスに求められる役割について解説しました。ではオフィス“以外”の場所には、どのような役割があるのでしょうか? 社員のストレス軽減と生産性向上のために多用なオフィス空間を提供するのがABWです。このような働き方を実現するためには、さまざまなサードプレイスを用意することが鍵となります。今回は、ABWにおいてサードプレイスが果たす役割と取り入れ方について解説していきます。

サードプレイスとは?

サードプレイス(3rd place)とは直訳すると”第3の場所”という意味の英単語で、”働く場所”を表す単語です。第1の場所が自宅、第2の場所がオフィス、第3の場所がサードプレイスです。つまり、オフィスと自宅以外の働く場所をサードプレイスと言います。

ABWにおいてサードプレイスに求められる役割

ABWにおいてサードプレイスに求められる役割は、働く場所の多様な選択肢を与えることです。ここでABWについて少しおさらいしておきましょう。ABWとは「Activity Based Working」の略称で、社員が時間と場所を自発的に選んで働く働き方です。職種が決まっている社員でも毎日同じ作業をしているわけではなく、日によって作業内容は異なります。そこで毎日の作業内容にあわせて環境を変えることで労働生産性を上げる働き方がABWです。よって、従来のオフィスと同じような環境ではサードプレイスの意味がありません。さまざまな環境が自発的に選べてこそサードプレイスの意味があるのです。

【こちらもおすすめ】自由な働き方を目指して!オフィス課題を見つける分析手法【第2回ABW解説】

中小企業が取り入れられるサードプレイス例

では、どのようなサードプレイスが理想的なのでしょうか。主に以下の3つの例が考えられます。

①サテライトオフィス

サテライトオフィスとは、メインのオフィスとは離れた場所に設置された小規模なオフィスを指します。支店や支社、営業所と似ていますが異なる概念です。支店、支社、営業所は組織の視点から見たときの区分ですが、サテライトオフィスは働き方の視点から見たときの区分です。すなわち、あくまでも組織上はその拠点に属しているが、メインとなるオフィスからは離れた場所にあるような小規模オフィスをサテライトオフィスと呼びます。自社で固定的な賃貸借契約を結ぶ場合もありますが、使いたいときだけサテライトオフィスの利用権を購入できる従量課金型のサービスも存在します。

サテライトオフィスのメリット

サテライトオフィスのメリットは、社員にとって働きやすい拠点が得られる点です。たとえば自宅と会社の距離が遠く、通勤に時間がかかる場合、近くにサテライトオフィスがあればかなり働きやすくなります。また、社員の属性ごとに特化した環境を用意しやすいのもサテライトオフィスのメリットです。

たとえばキッズスペースが付いているサテライトオフィスが挙げられます。これは育児中の社員を支援したい企業が利用するサービスで、保育士資格を持ったスタッフが常駐しているキッズスペースがサテライトオフィスの隣の部屋に付属しているものです。すぐ隣の部屋に子どもがいてもスタッフが見てくれていると、自宅でテレワークをするより働きやすくなると考えられます。このように、社員の属性や状況に合ったオフィス環境を用意することで、離職防止や優秀な人材の雇用などに役立てられるのがサテライトオフィスのメリットです。

サテライトオフィスのデメリット

サテライトオフィスのデメリットは、上司が細かい指示を出しにくくなったり、社員間のコミュニケーションが乏しくなったりすることです。また、あまりにもメインのオフィスから離れすぎている場合は、社員教育や福利厚生の面で格差が生じる場合があります。郊外や地方にあるようなサテライトオフィスでは、東京の本拠地に居る社員と同じように研修を受けることは難しいでしょう。

②コワーキングスペース

コワーキングスペースとは、さまざまな企業の社員や個人事業主、経営者などが利用する共用のオフィスです。フリーアドレススタイルの広いオープンスペースに、OA機器などの設備や消耗品が一通り揃っており、従量課金制で気軽に利用できます。サテライトオフィスとの違いは契約の主体です。サテライトオフィスは企業単位の契約が多く、複数の企業が共用で利用したりもします。一方、コワーキングスペースは個人での契約が多く、企業に属さないフリーランスなども利用します。

コワーキングスペースのメリット

コワーキングスペースのメリットは、ビジネス向けの設備が揃ったオフィスを“使いたいときだけ”気軽に利用できる点です。正式にオフィスを借りようとすると、賃貸借契約書を結んだ上で敷金や礼金、更新料などが必要になりますが、コワーキングスペースなら簡単な受付を済ませるだけですぐに利用できます。自宅に家族がいる場合、在宅で仕事をするのが難しい場合もあるでしょう。そのようなときにコワーキングスペースは有効です。

コワーキングスペースのデメリット

コワーキングスペースのデメリットは、サテライトオフィスや在宅ワークに比べて、セキュリティの面でやや劣る点です。なぜならコワーキングスペースは不特定多数の人が利用する施設であり、悪質な利用者がいないとも限らないからです。たとえば自社のオフィスで働いているような感覚で荷物を置きっぱなしにして離席したりすると、誰かがPCの画面を盗み見たり、重要書類を盗まれたりする危険性があります。あくまでもオープンなスペースだと認識して、情報や貴重品の管理は徹底しなければなりません。

③カフェスペース(社内)

カフェなどもサードプレイスとしての機能があり、近年、社内にカフェを模したスペースを設置する企業が増えています。メインとなるオフィス内にカフェスペースを設置することで、サードプレイスとしての役割を果たすことができるのです。

カフェスペースのメリット

カフェスペースは落ち着いた空間を演出していることが多いので、リラックスして仕事ができるのがメリットです。カフェのような適度に音楽や人の会話音などがある場所は、まったくの無音の環境よりは集中しやすい場合があります。雑談が増える関係上、新しいビジネスアイデアも生まれやすいです。社内にあることで、不特定多数が出入りするコワーキングスペースなどに比べて、一定のセキュリティを確保できることもメリットと言えます。

カフェスペースのデメリット

カフェスペースのデメリットはコストです。メインのオフィス内に設置する関係上、オフィス改装やレイアウト変更と同時に行う必要があるため、その分のコストがかかります。また、飲食物を提供するため、ランニングコストもかかるでしょう。スペースの規模を小さくするなどによってコストの調整はできるので、事前によく検討した上で導入しましょう。

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まとめ:多様なサードプレイスの利用で働きやすい環境を作ろう

ABWを成立させるには、社員が自発的に選択できる多様な職場環境を用意する必要があります。そのためにはサードプレイスが欠かせません。多様な環境を提供することで、従業員は仕事の内容に合わせて働く場所を選べるようになります。そうすることで、仕事のやりがいやモチベーション、生産性を向上できるのです。

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*KY, kou, yoshan, Ran&Ran, kotoru / PIXTA(ピクスタ)

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