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炎上…乗っ取り…どう防止する?企業や経営者のSNS活用におけるリスクと対策を解説

2023.03.22

スマートフォンが普及し、SNSをはじめ、個人の意見を発信する人が増えました。企業や経営者も、自社のファンづくりや、採用の手段のひとつとして、SNSを活用することが多いのではないでしょうか。SNSは容易に人と繋がれる一方で、危険な面も多くあります。きちんと対策をしていなければ、企業や経営者のSNSが炎上……なんてことがあるかもしれません。今回は、企業や経営者のSNS活用におけるリスクと対応策を解説していきます。

「炎上」の定義とは?

ソーシャルメディア(以下、SNS)は、個人の発信やコミュニケーションなど、社会的な要素(ソーシャル)を含んだメディアのことです。最近では、誰でも、どこでも、触れ合うことができる身近で影響力の大きなツールになりました。吉野ヒロ子先生は、著書「炎上する社会」で“炎上”を下記の3条件がそろった場合だと定義づけています。

1)不特定多数から批判されていること
2)急速に批判が広がっていること
3)複数のネットサービスで批判されており、ネットニュースやマスメディアで報道されていること

【参考】炎上する社会 / 吉野ヒロ子

どのようにして「炎上」するのか

炎上は、一晩で数千、数万の投稿が行われているのが特徴です。では、どのようにそのような投稿が広がっていくのでしょうか。炎上の典型的なプロセスは“発見→拡散→報道→収束”です。

①発見

一般人や著名人の言動、企業などの活動が2ちゃんねるやTwitterなどで問題視され始めます。炎上のきっかけとなる投稿は、ブログ、Twitter、FacebookなどのSNSやYouTube、Instagramなどさまざまです。2ちゃんねるやTwitterに転載されて炎上していくことが多いです。

②拡散

問題となった言動に対して、ネット上で不特定多数からの批判が殺到します。批判が加熱するうちに過去の言動や、実名や所属先など個人情報も洗い出されて拡散されることもあります。企業の場合、その企業窓口に電話で抗議するなど、ネットでの批判に止まらないケースもあります。

③報道

拡散された投稿がある程度になると、ネットニュースなどで配信されることをいいます。場合によっては、マスメディアで報道されたりもします。この報道を知った人が、新たに参加してくることで炎上がぶり返すこともあります。

④収束

批判の材料が出尽くしたあたりで、炎上が収束することをいいます。適切な謝罪があると、収束に向かいやすいとされています。大規模な炎上が起きると、企業の株価は下がるケースが多いとされています。バイトテロ型の炎上などが起きると、休業して店のオペレーションを変更するなど、損害ははかりしれません。炎上した場合、無視することでさらなる批難を呼んでしまう場合もあります。どうすれば、炎上から経営者自身と企業が防衛できるかを後述いたします。

経営者のSNSが持つ影響力とは

経営者がSNSを利用する理由は、利害関係者集団と簡単にコミュニケーションをとりやすいツールだからです。利害関係者集団とは、“顧客、消費者、社員、株主、地域住民、国・地方自治体”などを指します。便利な一方で、SNSの持つ影響は大きいです。経営者のSNSで発信する内容は、“公共的・公益的・社会的”に正しいのかどうかが求められます。さまざまな側面から、検討して問題がない発信をしなければなりません。

もし、炎上してしまうと、経営者のみのダメージだけではありません。会社の顔ともいえる経営者のSNSが炎上したとなると、会社のブランドイメージが損なわれてしまい、事業や採用活動などにも影響が出てしまう可能性があります。また、利害関係者集団にも、悪印象を与えてしまうでしょう。そして、発信してしまった投稿内容は、一度拡散されてしまうと簡単には消すことができず、半永久的にインターネット上に残ってしまいます。

【SNSに関してこちらもおすすめ】社員のSNS活用・・・トラブル対策、あなたの会社は大丈夫?【総務の森まとめ】

企業・経営者のSNS 炎上事例とは

事例1:四国放送Twitter中傷事件

2021年12月に徳島県の地方テレビ局である四国放送の公式Twitterアカウントにおいて、特定の政党を誹謗中傷するような内容が投稿されて炎上しました。原因は、公式アカウントの担当者が個人用のアカウントと間違えてうっかり投稿(誤爆)してしまったことによるものです。放送局は、放送法で政治的中立性が義務付けられているだけに、四国放送も速やかに謝罪、投稿を行った社員を懲戒解雇という厳しい処分になりました。上司も減給、社長や幹部も減俸となりました。今回の特定政党を誹謗中傷した投稿はすぐに削除されましたが、画面キャプチャが拡散して、炎上となりました。

事例2:「社長のTwitterを読んでいない奴は不採用」と投稿し炎上

2017年ある中小企業の経営者が採用面接で「私のツイッターを読んでいない奴は不採用」という内容をツイートし炎上しました。「面接に行くなら社長のTwitterは普通調べる」「経営者の考えを知るのも企業研究では?」との意見もありましたが、「社員になっても大変そう」など反感を持った人が多く批判的なツイートが多くあがり炎上しました。

事例3:「若い女性は正社員として雇用しません」と女性社長が炎上覚悟での投稿

2023年2月に女性経営者が炎上覚悟と前置きし、「“産休・育休制度”は大企業が前提になっていて、中小企業には則していないから妊娠の可能性が高い若い女性はとらない」という趣旨のTwitter投稿をして話題になりました。反応としては、共感の声もありました。出産後1年、最長で3年に及ぶ育休期間、中小企業が人員確保することが難しいことや、産休・育休から復帰する場合の準備の体制が充分でないことなどの事情から、経営者は共感するところが大きいでしょう。しかし、「それをTwitterで配信してしまうのは、ビジネスパートナーとしての信用に障るのでは」「雇均法違反スレスレ」「逆に男性も育休とらせる気ないって事かなと思う」などの意見で炎上しました。

炎上を防ぐためには、どうすればよいのでしょうか。SNSの利用をやめるというのも選択肢ではあります。しかし、自社にファンをつくることや、採用活動の手段として使用できるといったメリットも多くあります。

炎上防止に最も重要なことは、当人が作成した文章を確認もなしに投稿してしまわないように、複数人で運営・管理していくことです。たとえば、経営者の個人アカウントが公人としての発言であるならば、誰かが投稿内容に問題がないかを確認した上で投稿するようにしましょう。また、会社としてSNSを運用できるよう、運用ルールを作成することも必要です。以下に運用ルールのサンプルを掲載いたしますので、ご活用ください。

SNS運用ルール(サンプル)

1)SNSは公共の場所であることを認識する

たとえ匿名であっても、不特定多数が利用しているSNSは公共の場所であることを認識して投稿することを徹底する。

2)人種、ジェンダー、宗教、思想信条など、一切の差別的発言はしない

SNSで最も炎上リスクが高いのは、差別的な言動であると知っておきましょう。

3)政治的な言動は、慎重に行う

特定の政党への支持、批判は、リスクがあることを知っておきましょう。

4)公序良俗に反する言動はしない

SNS内外にかかわらず、社会的な常識に反する言動は慎みましょう。「どこかでだれかが、投稿や発言を記録してSNSなどに投稿するかもしれない」と念頭におき言動をとるよう習慣づけましょう。

5)自分や他人のプライバシーが含まれる投稿はしない

個人情報が入った内容は慎重に扱いましょう。SNSで発信した内容は、一度拡散してしまうと、完全に削除することが不可能です。

6)面白がって炎上に加担しない

炎上に対して、面白がって感情的なコメントを投稿することや拡散することは、危険なためやめておくべきでしょう。誹謗中傷に加担することになり、炎上に巻き込まれてしまう可能性があります。

【炎上に関してこちらもおすすめ】どこから対処すればいい?ネット炎上から企業を守る方法

「乗っ取り」のリスクを回避するには

SNS利用で炎上以外に発生しうるリスクのひとつが“乗っ取り”です。ここでは、そのリスクと対策を解説します。

乗っ取りのリスクとは

①パスワードを変更されてしまった場合

この場合、アカウントが戻ってくる可能性は低いです。また、個人情報が抜き取られたり、写真などを拡散される可能性があります。各SNSのヘルプセンターなどから管理元に連絡をし、指示を仰ぐようにしましょう。また、フォローしているユーザーに「乗っ取られている」ということを他で使用しているSNSなどで伝えることも重要です。

②勝手な投稿をされてしまった場合

本人になりすまして、勝手な内容が投稿されてしまう可能性があります。企業や経営者のSNSを勝手に使用されると、会社のイメージに大きな影響を与えかねません。たとえ本人が投稿していなかったとしても、そのようなことは見ている人には分からないのです。

乗っ取られないようにするためには

アカウントの乗っ取りを防ぐためには、個人情報をたどられないことがもっとも重要です。多くのSNSのアカウントは、IDとパスワードでログインする仕組みになっています。そのため、何らかのきっかけでIDとパスワードが知られれば、第三者に勝手にログインされる可能性があるわけです。対策として、以下2つが挙げられます。

①“2段階認証”を利用する

IDとパスワードに加えて、携帯電話のショートメッセージ(SMS)などで認証を行う仕組みのことです。複数の認証を組み合わせているので、不正ログインの防止に役立ちます。

②同じアカウント名やパスワードを使いまわさない

多くのSNSでは英数字を組み合わせた文字列がユーザー固有のアカウントになってしまいます。アカウント名やパスワードは、SNSごとに違うものを使うのが理想的です。同じものを使用していると、1つ突破されてしまうと、別のSNSも突破されてしまう可能性があります。また、名前や誕生日など推測されやすいパスワードを使用することも危険なため、変えることをおすすめいたします。

まとめ

誰もが自分の意見をSNSで発信できるようになった今、対策していなければいつ炎上や乗っ取りが起こってもおかしくはありません。炎上の内容によっては会社のブランド価値を低下させてしまうでしょう。また、第三者に乗っ取られ、悪用されてしまっては危険です。万が一のことが起こらぬよう、複数人で運用するルールをつくり運用することを心がけましょう。

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