
質の低い会議は諸悪の根源?キャピタリスト直伝の会議が変われば会社が変わる理由
現代のビジネスにおいて、会議は企業活動の中心に位置づけられています。しかし、その存在感と比較して、会議が経営に及ぼす影響について深く考える機会は意外と少ないのかもしれません。今回は、会社経営と会議との関係について、その重要性を掘り下げ、会議を効果的に運営するための方法を提案したいと思います。
目次
会議の質を高める3つの方法とは
一般的には、会議の質を高めるために有効な方法として、以下の3点がよく挙げられます。
1)明確な目的とアジェンダの設定
会議で何を達成すべきかを明示し、それを達成するための議題をアジェンダとして列挙することで、効率的な議論が可能になります。また、それぞれの議題に時間を設定することで、会議の時間を適切に管理することができます。
2)オープンな議論の場の確保
会議は全員が参加できる、オープンな議論の場であるべきです。特に経営陣から部下への一方通行の情報提供ではなく、双方向のコミュニケーションを促進することが大切です。
3)適切なフォローアップ
会議後に行動計画を明示し、その実行を追跡することで、会議での議論が具体的な行動に結びつくようにします。また、定期的なレビューを行うことで、達成度を確認し、必要に応じて修正を行います。
自社はどう?見返すべき会議ルール
先程の3つの方法は、抽象論としては否定できないものですが、具体性に欠けるので筆者なりの具体論を述べます。
1)明確な目的とアジェンダの設定
- 目的は1個に絞る
- アジェンダにする議題は5個まで
- 各議題の時間設定は10分以内
- 結果、1時間以内の集中した会議運営の実現
2)オープンな議論の場の確保
- 参加者は、7名以内
- 議題毎に参加者を入れ替えるのはOK
- 議長席以外は、フリーアドレス
- 議長は、中堅幹部ないし事務局が担当
3)適切なフォローアップ
- 会議で決まったアクションプラン(誰が何をいつまでにやる)を議事録で明示
- 行動進捗は、日次、週次で管理し、達成度の確認もしながら、次の会議へと繋ぐ
企業の成長スピードは、会議のスピード感で決まります。より多くの決定が行われ、行動量が増えることで、企業の成長は加速していくのです。
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スピード感のある会議が業績向上に直結?成功事例
アイリスオーヤマ株式会社:新商品を生み出す「プレゼン会議」
毎週月曜日に行われる新商品開発会議。一つの案件に対してプレゼンテーションに与えられる時間は5~10分。一度の会議で50~60件のプレゼンが行われます。
一般的に、新しい企画は企画部のみで考え、順に開発部や営業部などへ回していく“リレー形式”で進めますが、アイリスオーヤマのプレゼン会議では企画部だけでなく、あらゆる部門の人材が参加し同時進行で仕事を進める“伴走方式”をとっているため、スピード感をもって開発を進めることができます。
2018年度の売上高のうち、発売3年以内の新商品売上の割合は62%と日々移り変わる生活のニーズを捉えている証拠です。
トリンプ・インターナショナル・ジャパン株式会社:即断即決「早朝会議」(※)
朝8時半から行われるMS(マーケティング&セールス)会議は、部長以上の幹部が参加。1時間ほどで40もの案件を即断即決しています。解決案が決定次第、締切を設定し実行していきます。
早朝会議では、経営方針を徹底しており、日々の問題を即座に把握し、迅速に解決策を出していきます。
(※)2003年に出版された書籍を参考にしています。
トヨタ自動車株式会社:30分の時間制限「ネクスト会議」
会議は原則30分で設定するため、緊張感とスピード感を持った議論が進められます。議論が白熱し、30分では足りない場合は最大30分の必要分数のみ延長可能で、超えた場合は別で会議を設定しています。
30分で会議を終えるために、会議のオーナーは事前に解像度高く議題を設定することで、参加者が各自準備して参加します。トヨタの社員は「どういうアウトプットをすべきか」というマインドを持っているため、参加者が必要な資料の準備を行ったうえで会議に参加します。
会議が変われば、会社は必ず変わります。短時間で切り上げられれば、会議のテンポもよくなり、浮いた時間を他で使用することができます。これを機にぜひ自社の会議を見直してみてください、
【参考】
新商品1,000点を生む月曜日。/アイリスオーヤマ株式会社
『早朝会議革命~元気企業トリンプの「即断即決」経営』/大久保 隆弘(日経BP、2003)
トヨタの会議が「30分で終わる」超合理的な理由/東洋経済ONLINE
*ふじよ, CG-BOX, EKAKI / PIXTA(ピクスタ)
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