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頭を抱える経営者

幹部を育てないと会社は伸びない!幹部のマネジメント力を上げるメソッド

2023.09.08

経営者自らが現場に立ち、業務を回してくことも多々あるでしょう。しかし、経営者が他のメンバーでもできる業務に従事してしまうと、企業の成長が見込めません。企業の成長を促すためにも権限委譲を行える幹部を育てていく必要があります。今回は、経営コンサルタントとして多くの企業を見てきた筆者が、幹部候補に必要なスキルや育成法のメソッドを紹介します。

経営者がやるべきことに集中できないとどうなる?

筆者が大手コンサルティングファームでいちコンサルタントとしてプロジェクト従事していた頃は、俗にいうエンタープライズ企業(一部上場などを始めとする大手企業)の部門長クラスのみなさまをカウンターパーソンとして業務に従事することがほとんどでした。そこから年月を経て、今は地方創生をキーとし地方のベンチャー企業をいちから伴走型で起こすフェーズから、中興の祖となるべき後継経営者のみなさまの足りない手となり、不足部分を補うパーツ役として手伝う立ち位置のコンサル従事が多くなってきました。

その現在のお手伝いパターンから拝見すると、改めてですが創業時や中興時の経営者は概ね“スーパーマン”であることが多いです。会社のすべての出来事を把握し、判断を下し、場合によってはすべての現場に降りていける(というよりも降りていかざるを得ないことが多い)ような動き方をしていらっしゃる方がほとんどです。

ですが、このまま進んでいけば事業の成長は途中で足踏みしてしまいます。それどころか転げ落ちるリスクすらあります。「経営者自身の稼働限界=企業の稼働限界」となってしまうことで成長余地が押さえられてしまうのみならず、経営者が肉体的・精神的に疲弊してしまうといった事態すら考えられます。経営者にとって大切なことは自分だけでしかできない役割にできる限り集中し、社内(ときには社外も)に自分の業務を譲り渡すことができる環境・人材を整備していくことが必須要件となります。

視座の高い幹部に必要な資質・条件とは

では、どのような人をどう育成をすれば頼れる幹部になるのでしょうか。育成プログラム全体をしっかり語ろうとするとここではスペースが足りなくなってしまいます。なので、ここではどのような人材が幹部の候補となりえるのかという点と、どのような育成方針が必要なのかに絞って紹介します。

世の中の書籍を参考にすると、経営幹部になるための資質・条件といったものは多く述べられています。ただ、必要最低限欠かせてはならないものとして筆者が考えているものは以下の3つです。

  1. 事業・経営全般を見渡すことのできる広い視野
  2. 会計的感覚または会計スキル
  3. 柔軟な態度を持ちロジカルに考えることができる

他にも細かく要素をあげられますが、上記の3点はそれらすべての基礎の基になる部分と筆者は考えます。

まず、広い視野については幹部となった段階で自組織だけではなく全体への影響を踏まえて事業・業務判断をしなければいけません。そのためには慣習的に自分の担当領域に視野が絞られない方でないと、幹部は務まりません。

2点目の財務感覚について、筆者のようなコンサルタント業では必須なのですが、企業・事業の業務はすべて会計帳簿に落ちるまで終わらないものです。つまり、最終的には財務諸表に結果が反映され、事業がどう評価されるのかについては会計の感覚が身についていないとならないのです。感覚に頼ってしまうと、企業の健全な存続にどのように貢献したらよいかの議論が集約できず、さまざまな考え方に散らばってしまうこととなります。

最後に、柔軟な態度とロジカル思考ですが、経営幹部ともなると、既定の業務を進めることだけでなく未知の課題や新規の領域開発などにも挑まねばなりません。その際、過去の因習や決まりごとに囚われてしまったりしては正しく対応ができないのです。また、今のやり方を変えるときや新しいことを取り入れる際、メンバーを情動ではなく説得力を持って巻き込むためには公明正大な論理的説明が必ず必要になります。

幹部を育成する「王道の方法」とは

百戦錬磨の経営者が上記のスキルを訓練したり、習ったりしたかというと決してそうではないことがほとんどです。多くはいきなり実践の現場に飛び込み壮大な苦労を乗り越えて経験から学び、そして身に付けたスキルなのです。経営幹部になってほしい人材に対して、その経験を同じように提供することはほぼ不可能な話です。

ではどうしたらよいかですが、まず上記の基本スキルセットを明示して、事業の意義から現状および将来像までしっかり共有しましょう。その後、少しずつ権限委譲をしながら実践のフィールドを提供し、学びの機会ごとに経営者自身が丁寧なフィードバックを提供するのが最も確実な育成方法だと筆者は考えます。

以前の記事で従業員の意識改革のためのポイントを紹介したことがあります。こちらは事業の理念をしっかり伝える意味では幹部育成とも共通するポイントなのでよければお読みください。合わせて事業承継についてご紹介した記事も共通する対応がありますのでご参考にしていただければと思います。

【従業員の意識改革についてはこちら】経営者の意識が変わるだけじゃダメ。従業員の意識改革を成功させるポイント4つ

【事業継承についてはこちら】まだまだ先と思ってない?事業承継を今すぐ考えるべき理由と支援制度まとめ

最後に:勇気を持って権限委譲を行おう

経営者みなさまと筆者が幹部育成について話す際に、みなさまがよくおっしゃるのは“怖くて任せられない”ということです。しかし思い直してください。ご自身も同じ経験をしたときも同様のリスクがあったはずです。

今の状態で考えれば、権限委譲はしつつも、ご自身がバックアップしてあげられる経営者としてしっかり見守ることができます。致命的な状況になる前にコーチ役として備えることができるのです。ある程度失敗することも大切な成長の段階と捉えて、実際に自ら事業的判断を行い、具体的な活動計画の立案まで遂行できる経営幹部を育成していきましょう。これを経なければ、あらゆる業務は手元を離れていかず、やりたいけれど手がつけられないことが山のようにある日々を過ごし続けることになるのです。企業を持続的に成長させるためにも、頼れる幹部の育成し、権限委譲を行っていきましょう。

*Ran&Ran, Jake Images, kouta, nonpii, プラナ / PIXTA(ピクスタ)