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TOP > 記事一覧 > 人事・労務 > 中小企業に新卒採用は必要?会社に定着する新卒就活生の集め方を徹底解説
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中小企業に新卒採用は必要?会社に定着する新卒就活生の集め方を徹底解説

新卒採用のトレンドや就活生の集め方の手法は時代とともに変化してきました。一方、新卒就活生を採用したいけど、慢性的な人手不足から「定着してくれる人を採用したい」「すぐに辞められたら困ってしまう」という悩みを抱えている企業もあるのではないでしょうか。

今回は、新卒採用の必要性やトレンドの変化をふまえ、定着する新卒就活生の集め方について考えていきます。

新卒採用の必要性とトレンドの変化

新卒の採用は中小企業にも必要?

まず、ベンチャーや中小企業の場合には、そもそも新卒採用をやるべきかどうかから整理すべきでしょう。新卒の学生を戦力化させるまでには時間がかかることが通常です。育成の負担がそれなりに大きくなることから、足元の事業効率を考えた場合に、会社によっては取り組まない方がよいこともあるでしょう。

加えて、さまざまなデータを見てみると、以前ほど新卒の定着率がよくないことも事実です。筆者も採用面接を行うことが多くありますが、最近は20代中盤のいわゆる第二新卒の方の面接をさせていただくことが増えました。石の上にも三年とはいいますが、むしろこの三年が一つの目安となり、三年くらいは最初の会社にいるけど、自分が得たいスキルや経験を得たうえで次のステップに進む、という新卒も以前より多い印象があります。

現状としてこのようなトレンドの変化があることは事実ですが、可能であれば新卒採用は検討すべき、というのが筆者の意見です。中途採用の魅力は即戦力となる人材を採用できる点にありますが、その一方で仕事の仕方に「癖」を持った人材が多いことも事実です。

癖のなかには、会社の仕事の進め方に合わないものがあったり、変えることが困難なものもあるでしょう。そうして生まれるギャップが結果的に採用後のミスマッチへとつながることがあります。新卒の場合、勤務経験がないことが通常であるため、会社の業務に合わせて経験をしてもらい、会社にとって理想的な人材になってもらうことが理論的には可能です。

新卒採用が既存社員に与えるメリット

別の観点からみると、新卒採用が既存社員にとってメリットのある取り組みとなる可能性もあります。たとえば新卒を教える人材として、比較的年齢が近い若手社員が選ばれることが多いでしょう。担当となった社員は、自分の仕事の仕方を言語化し、人に伝えていく経験を得ることになります。

若手社員が成長してマネージャーになったときに、やってもらいたいことを言語化して伝えるというスキルは必要になりますので、後輩に教えることで伝え方を学ぶことができます。人材の流動性が高いのは新卒に限らず中途も同様なので、中途採用に限ったからといって採用コストが下がるわけではありません。いいかえると、退職リスクも勘案した新卒採用のトータルコストが中途に比べて高いとは限らない点も認識すべきです。

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会社に定着する新卒就活生を集めるためのポイント

新卒採用を行うにせよ、多くのベンチャー企業や中小企業では1~2名くらいといった少人数の採用に落ち着く会社が多いのではないでしょうか。したがって、数日間にわたって開催するような大規模なインターンプログラムはコスト効率が悪いのでおすすめしません。その代わりに、たとえば社長のかばん持ちのような実践的なインターンを募り、実際に一緒に仕事環境にいる経験を提供したほうが、学生にとっても会社にとっても結果的によいマッチとなるでしょう。

次に、集客のポイントについて考えてみます。

学生は社会人としての仕事経験に乏しいわけですから、おそらく会社の事業内容など、自社を知ってもらうために発信している情報を本当に理解している学生は少ないのではないでしょうか。一方で、学生は会社が取り組んでいる事業や業界の可能性を説明するなかで会社から感じ取れる情熱を魅力として感じることが多いので、情報発信はできるだけ社長から発信したり、さまざまな形で情報を伝えていくことが理想的です。

最近ではnote®の活用も一般的となり、オウンドメディアを持つコストも下がりました。こうしたサービスを無料で活用することも一つの方法です。また、インターン生として採用し、直接会う機会を増やしたりすることもおすすめです。

この場合、社長自身が会社のメディアとなるので、できるだけ素の自分を見せていくことを意識しましょう。仮に取り繕って入社させることができたとしても、最終的には期待値とのギャップが大きくなってしまい、定着しづらいです。

新卒採用現場での実際の事例

最終的に新卒を戦力化できるかどうかは、会社としての姿勢に大きく影響されるものです。筆者が以前支援していた30名規模の製造業の会社では、中長期的な会社の成長を考えると新卒採用は必須ということで、継続的に新卒採用を行っていました。その会社では社長が自ら、新卒のような社会人経験値があまりない人でも仕事に馴染める職場について深く考え、仕事の進め方を変革していました。

勘とコツを軸とした業務推進、それで間に合わなければ意地で残業して仕事を終わらせる、という仕事の進め方がベースにあると最近の新卒は馴染めず、採用はうまくいきません。仕事内容を明文化することでキャッチアップしやすいようにする、業務計画をしっかり持ったうえで業務を実施し、その差分について振り返るなど、勘やコツといった属人的な知見に頼らずに仕組み化していった結果、既存社員の業務効率も改善するという副次的な効果もありました。

ここでお伝えしたいことは、新卒を採用する為にも業務を仕組み化するべき、ということではなく、会社として理想的な業務環境について考え実現していくことを、新卒採用をとおして考えてみては、ということです。

たとえば筆者が支援していた別のベンチャー企業は、発想力や行動力が求められる会社だったので、どんどん提案できたり、自走してプロジェクトを推進できる人をよしとして採用をしていました。仕組みやルールのせいにしない、必要があれば環境を変えていく個の強さを持つ人材を抜擢していく文化でした。社員としての本採用に至るインターンシッププログラムでは、弱肉強食ではないですがかなり仕事の姿勢と成果を突き詰めていくプログラムを設けており、企業文化を体現した結果といえます。

最後に

業種や業態によってさまざまな新卒採用形態があり、それぞれの会社にマッチするかどうかも異なります。そういったなかで共通項があるとすれば、社長が採用と環境整備にコミットすること、そしてそれを加工せず外部に発信していくことが結果的によい採用体験につながるのではないでしょうか。採用となると、ことさら耳ざわりのよい情報をつい発信したくなってしまう傾向があるとは思いますが、あえて酸いも甘いも発信していく姿勢があってもよいでしょう。

会社が大変だったことを発信することで誠実な会社という印象を伝えることができ、採用に成功している会社も筆者は知っています。どういう情報発信であれ、誠実な姿勢が最も評価されるということを念頭に置いておきましょう。

*metamorworks, chaponta, Noom_Studio / shutterstock

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