
Z世代は扱いにくい?価値観と人材活用法を考えてみる
今回はZ世代という筆者自身にとってもまさに、ジェネレーションギャップを体現している属性の人材について考察してみようと思います。経営コンサルタントである筆者のクライアントからも「Z世代とか、もう私たちには理解できない……」といった嘆きのようなコメントも耳にすることもあります。Z世代の人材を活かしていくためには果たしてどのような取り組みが必要なのでしょうか。
Z世代の定義とは

出典: Cmglee
ジェネレーション(世代)の呼び方については上図をご参照ください。西欧で歴代呼ばれる世代定義の一覧になります。上記の定義によると、Z世代とは、1997年から2012年に生まれた10代から20代前半、つまり成人前後の世代のことを呼びます。
【参照元】Timeline of generations in the Western world – retirement age and life expectancy are approximate/Cmglee
「Z世代の価値観を理解する」とは
しばしば“Z世代の価値観を理解する”といった文脈の記事や意見を耳にします。「果たしてZ世代とは“世代特有の価値観”を持っているのだろうか」と筆者自身もよく自らに問いかけることがあります。しかし、現在の中高年世代もやはり“新人類”という言葉で括られた経緯があり、常に世代によって価値観の差異が取り上げられる流れは続いているのだと感じます。
社会の変化にともない、職場に対して期待するものや、求めるものが変わってきて当然です。とくに仕事と就職という側面については、以前の日本的就業環境は激変しており、終身雇用制度を維持できる企業は減り続ける一方です。社是(経営上の方針)的に終身雇用を謳いつつ、堅持している企業もありますが、これは企業業績が好調を維持し続けられるという前提をクリアしていなければ保証はできませんし、現在の激変する経済環境ではそれも簡単なことではありません(筆者としてそのような理念に則った試みは応援したい気持ちはありますが)。
また、年功序列的な報奨制度も徐々に過去のものになりつつあります。今の中高年世代が享受してきた仕組みは、より大きな社会的環境の中で変化しているのです。この変化は、決して中高年世代にとって他人事ではありません。「どのようにして、環境の変化に適応するか」が重要なのです。
Z世代と呼ばれる人たちは、このような環境の変化をすでに織り込み済みで、仕事に対する考え方も他の世代と異なっていることが当たり前です。Z世代が持つ価値観は、就職した企業に忠誠心を持つようなものではなく、自身がどのような状況でも生活のために稼ぎ続けていけるのかを真摯に考えていると筆者には見受けられます。
以前の記事で中小企業として採用力を向上させなくては人材も確保しにくくなってきている現状についてご紹介いたしました。Z世代が、より自分自身の仕事スキルや成長機会を獲得できる環境を欲しており、ブランドや高給よりも人間関係のよさを求めていることがよくわかります。これは経済界全体でいわれているSDGs的な考え方を、自分自身にも当てはめ、継続的・長期的にしっかり成長しながら健康的に働き続けるイメージを大切にしているようです。詳細な内容については、以下の記事もご参照ください。
初任給は見直すべき?設定の注意点・初任給アップよりも採用力を上げる方法を解説
Z世代に寄り添いつつ、どう活用する?
前項のような就職・就業に対する考え方は、現代的な労働市場をテーマとした記事やテレビ番組でも目にすることが多いので、納得できる部分も少なからずあると思います。一方で、Z世代には、スマホを代表とするデジタルのツールが当たり前に身近にあった“デジタルネイティブ”な人材としての期待値を寄せられることも多く耳にします。
株式会社SHIBUYA109エンタテイメントが2023年2月に実施した調査によると、Z世代は自分たちが日常利用しているレベルよりも、働く環境のデジタル化が著しく遅れており、そのことを非効率かつストレスに感じているようです。
DXのコンサルティングを生業としている筆者が、経営者みなさまにご理解いただきたいのは、“事業の継続性”という観点では過去の成功体験に依拠せず、これまでの働き方をそのままでよしとするところから一歩発展していただきたい、ということです。
以前の記事でビジネスモデルの変革ですら、企業として当たり前の計画に織り込んで欲しいという点についてご紹介しました。
10年前と変わっていないのは危険!? 「ビジネスモデルの変革」はどんな企業に必要か
「ビジネスモデルですら、ビジネス環境に合わせて変化・成長するのは当たり前」と考えなければ事業継続リスクを抱えてしまうとなれば、就業環境も同じように進化させていくことが当然のはずです。Z世代を理解して寄り添うだけではなく、Z世代の力を使って新しい働き方を導入し、彼らをそのガイド役にするくらいの意識を持ってよいと考えます。
DXの進め方に悩む企業こそ、社内の仕事の進め方・やり方に不満を持った世代の意見を積極的に取り入れ、彼らを業務効率化チームの原動力として活躍してもらうこともよいでしょう。業務の習熟度向上と並行して進められるような気持ちの準備から取り組んでみてはいかがでしょうか。
【参考】Z世代の仕事に関する意識調査/株式会社SHIBUYA109エンタテイメント
【こちらもおすすめ】「最近の若者は…」と思ったら。世代間ギャップを埋めるためにすべきこと
*Cmglee, metamorworks, zak, kou / PIXTA(ピクスタ)