登録

会員登録いただけると、

  • メールマガジンの受け取り
  • 相談の広場への投稿 等

会員限定のサービスが利用できます

登録(無料)を続ける
TOP > 記事一覧 > 経営・財務 > 中小企業が陥るSNSマーケティングの誤解とは?SNS活用で意識したいポイントまで解説
コンピューター作業の締め切りに苦しむアジアの女性

中小企業が陥るSNSマーケティングの誤解とは?SNS活用で意識したいポイントまで解説

2024.04.10

今現在、体感的に最も多い企業からのご相談が2つあります。

一つは「DXを推進したいけれども、何からどう手を付けたらよいかわからない」そして、もう一つが「SNSはどう活用したらよいのか?」の2つです。どうしたらよいのかという質問には、そもそもSNSを始めるべきか、それとも必要ないかという問いも含まれているでしょう。

今回は、マーケティング業務でSNSを活用する方法を紹介します。

SNSマーケティングの概念

一般的な「SNSマーケティング」とは

SNSマーケティングは、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)をとおして製品やサービスを宣伝し、ブランドの知名度を高める手法と一般にはいわれています。

これは、Facebook®、X、Instagram®、LINE®などのプラットフォームサービスを使用して、顧客と直接コミュニケーションを取り、関係を築くプロセスを含みます。

SNSマーケティングのトレンド

よく耳にするSNSマーケティングの手法から、広告代理店やマーケティングコンサルタント会社が紹介する手法をあげると、最初にインフルエンサーを利用した情報拡散があげられるでしょう。

この手法は、やり方を間違えると非常に大きなリスクを伴う方法です。紹介する事業者にとっては、わかりやすく不労所得的な収入を得られることもあり、広く提案されている場面を目にしますが筆者はおすすめしません。

「不労所得的な収入とは何か?」「なぜおすすめしていないのか?」について、一歩踏み込んで解説すると、インフルエンサー紹介という提案は紹介事業者にとって、成果物をつくらずとも斡旋手数料(不労所得的な収入)で収入を得ることができるものです。また、依頼主からしても大きな手間をかけずに多くの認知を得ることができると思えてしまうことから、手法として有力視してしまう傾向があります。

しかし、肝心なのは届ける層に訴求したい価値を共感してもらえるかという点にあります。インフルエンサーなどの活用はあくまでも「加速」するためのツールとして認知するべきで、市場での拡散は同好の士からの認知が欠かせないことをしっかり織り込まないといけません。そのため筆者としてはおすすめしていないのです。

中小企業におけるSNSマーケティングの必要性

中小企業は大企業のように潤沢な宣伝広告費を使えるわけではありませんので、限られた予算のなかで市場に効率的をアプローチする必要があります。

SNSマーケティングは比較的低コストで始められ、ターゲット顧客と直接的に関わることができるため、中小企業にとって有効な手段となります。

多くの企業が、ブランド認知度の向上や顧客との関係構築のためにSNSマーケティングを行っています。

自社のファンを増やす「ファンベースマーケティング」という手法

SNSマーケティングのうち、ここでは特に自社のファンを増やすことに重点を置く「ファンベースマーケティング」の考え方の重要性をお伝えします。ファンベースマーケティングでは、単に製品やサービスを宣伝するだけではなく、企業の価値観や考え方に共感してもらい、長期的な関係を築くことを目指します。

ファンを増やすことの重要性は、製品やサービスごとにプロモーションを行うことの労力を減らし、リピート購入や口コミによる新規顧客の獲得につながることです。筆者は押しかけ弟子のような形でファンベースマーケティングの提唱者、佐藤尚之氏の考えをほとんどのマーケティング現場にご紹介、導入しております。

マーケティング業界の第一人者でいらっしゃる佐藤氏が、旧来のマスマーケティング的手法で効果を出すことが難しくなったことを感じ、考え抜いて導き出したファンベースマーケティング。まさに、現在の社会的状況を反映した最も効果的なマーケティング手法の一つであると筆者は考えています。

【参考】今、企業活動を「ファンベース」にシフトすべき理由 / 電通報

中小企業が陥りやすいSNSマーケティングの誤解

ファンベースマーケティングは、SNSを活用したマーケティング手法の一つであり、現在の社会的状況を反映した最も効果的なマーケティング手法ともいえるとお伝えしてきました。

ただ、実際に自社にファンベースマーケティングを取り入れるにあたっては、注意しておきたいことがあるのです。それは、SNSに対する捉え方です。

SNSは単なる広告の掲載場所ではない

まず、SNSは単なる広告の掲載場所ではないことを覚えておきましょう。商品説明的でシンプルな広告ではなく、企業のストーリーや価値観を共有する場なのです。広告だけがいくつも投稿されるアカウントでは、多くの人にその企業のストーリー性や価値観といったものを伝えることは難しいでしょう。

ご自身の立場で考えてみてください。SNSや動画サイトを閲覧していて、あからさまに“広告的”なコンテンツが次々に流れてきたら閲覧を続ける気になるでしょうか?または、その広告について好感を持つでしょうか?

特定の興味に刺さるものは稀に流れてくるかもしれません。しかし、次々にいくつも流れてくる広告そのものを好んで閲覧する人はあまり多くないでしょう。これをふまえると、商品説明的でシンプルな広告が次々と流れてくる広告的コンテンツの発信をSNSで運用することが、自社にとって合理的な判断なのかを一度問い直す必要があるでしょう。

フォロワー数の追求

フォロワー数や“いいね”の数を増やすことだけがSNSマーケティングの評価指標になってしまうことがしばしばあります。

実際にフォロワー数などが増えることで閲覧されている数が多くなることは確かです。しかしそれが果たしてフォロワーの購買行動につながっているか、または宣伝効果が波及して売上につながっているかについて把握することは至難の業です。

もちろん有償のサービスやツールなどを活用し、ある程度の分析をすることはできますが、顧客の行動や認知まで把握することは中小企業としての選択としては費用対効果もふまえてあまり賢明な選択とはいえません。

 バズることで短期間に効果が出るのか

偶然の産物として意図していなかったSNS投稿が大きく拡散され、商品の爆発的ヒットにつながったような事例をニュースなどで見ることは少なからずあります。しかし、それはあくまでも世のなかに大量にあるSNSアカウントのごく一部で起こっている奇跡的な出来事です。

“バズり”を狙って起こそうとすると、過度に狙いすぎている意図が透けて見えてしまい、逆に潜在顧客となる層からは疎まれてしまうことにもなりかねません。ましてや、フォロワーやいいねの数をお金で購入するような健全ではない手段を講じるようなことは、長期的な信頼構築において逆効果です。

真のファンを時間をかけて丁寧に育てる方向で努力を重ねましょう。

【こちらもおすすめ】炎上…乗っ取り…どう防止する?企業や経営者のSNS活用におけるリスクと対策を解説

マーケティングとしてのSNS活用で意識したいポイント

価値の明確化

SNSで発信を始めるための前提として、何を伝えるのかを明確化する必要があります。そのためにも、まず企業として市場や顧客に提供したい価値や共有したい考えを整理する必要があります。

製品やサービスをやみくもに打ち出すのではなく、まず価値観を伝えること、そしてそこに共感を生み出すことに重点を置くべきです。もちろんサービスや商品はその価値観をしっかりと反映したものに開発していくことが必要です。

ターゲットの明確化

自社の価値観に共感してくれる人々、つまり同好の士をどのように巻き込んでいくかを明確にすることが重要です。リサーチを通じて、ターゲット層を特定しましょう。

自社がどのようなコミュニティに訴えたいのか、共感してもらいたい価値観は何か、どのような嗜好を持った人がいらっしゃるかなどをイメージすることができれば、SNS上でコンテンツをどのような打ち出し方をしたらよいのか作戦が立てやすくなります。

見る人が受け取りたい情報を提供する

マーケティングのためにSNSを活用するにあたって忘れたくないのは、受け手が本当に受け取りたい情報を提供することです。前項でも紹介したところですが、あまりにも広告然としたコンテンツを受け取りたい人は多くはいません。

楽しい、不思議、ためになる、驚きを伴う、ほのぼのするなど、受け手がプラスに感じることのできる価値または感情を伴うコンテンツを継続して提供することで、見る人が徐々にそのアカウントの「ファン」に育つのです。

ぜひ、意識しておきましょう。

【こちらもおすすめ】10年前と変わっていないのは危険!? 「ビジネスモデルの変革」はどんな企業に必要か

まとめ

マスマーケティング手法は既に過去のものとなりつつあります。現代では、共感をベースにしたマーケティングを用いて、メディア上に無限にあふれる情報のなかで、自社が発信した情報を届けたい相手に気づいてもらわなければ、投資対効果を得たマーケティング施策を行うことはできません。

ファンになってもらうプロセスをとおして、良質な顧客としての自社との関係性を築き、適切な価格での取引を実現しましょう。ファンになってくれたお客さまによる自社の口コミ宣伝も、同じファン化活動の延長で促すことができます。着実にファンを増やしていくことで、中小企業はSNSマーケティングを最大限に活用することができるでしょう。

今回の記事では、SNSマーケティングで注意したいポイントや、SNSマーケティングの活用が最も効果をあげる、ファンベースマーケティングの考え方の入口を紹介いたしました。また機会があれば具体的なファンの育て方や周辺活動を強化する手法なども紹介できたらと存じます。

*mapo_japan, 13_Phunkod, Motortion Films, metamorworks, David Gyung / shutterstock