
狭いオフィスの基準とは?限られたスペースでも快適に働けるオフィスづくり
オフィスの広さは、働く人々の生産性や満足度に大きく影響します。しかし、狭い空間に多くの人が働いているオフィスもしばしば見受けられます。
この記事では、狭いオフィスの基準やデメリット、そしてその改善方法について詳しく解説していきます。改善策を実行するうえでの注意点もお伝えしますので、オフィスの環境改善にお役立てください。
目次
狭いオフィスの基準とは
オフィスの面積にはある程度決まった基準があるのをご存知でしょうか? ここからはオフィスの面積の数値的な基準を見ていきましょう。
生産性も考えると一人あたり2〜4坪が目安
人間が平均的な生産性を維持するためには、一人あたり2〜4坪のスペースが必要とされています。
オフィスの広さが生産性に影響を与えることは、多くの研究によって証明されており、適切なスペースがなければ、社員はストレスを感じ、作業効率が低下します。
これは収納や共用スペースも含めた基準です。これだけ広ければ必要な資料やツールを自由に配置することもできます。
しかし、オフィスの広さを増やすことはコストがかかるため、あまりにも広すぎるオフィスは効率が悪くなります。広すぎても狭すぎてもならない、そんな適切なバランスの基準が、一人あたり2〜4坪なのです。
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法的な基準では一人あたり1.2坪程度が目安
オフィスの広さについて、法的な規定も存在します。労働安全衛生法に基づく事務所衛生基準規則によると、
第二条事業者は、労働者を常時就業させる室(以下「室」という。)の気積を、設備の占める容積及び床面から四メートルをこえる高さにある空間を除き、労働者一人について、十立方メートル以上としなければならない。と定められています。立方メートルは面積ではなく体積の単位ですが、これを高さで割ることで底面の面積が求められます。オフィスの平均的な天井の高さは2.5メートルなので、
面積 = 10立方メートル ÷ 2.5メートル = 4平方メートル
となります。1坪は3.3平方メートルですから、4平方メートルはおよそ1.2坪です。
しかしながら、これはあくまでも労働上の安全が保てる下限です。収納や共用スペースも含めた値であることを考えると1.2坪はあまり快適とはいえません。
生産性の維持も考えると一人あたり2坪以下の場合はオフィス移転やオフィスレイアウトの見直しを考えたほうがいいでしょう。
狭いオフィスのデメリット
狭いオフィスにはいくつかのデメリットが存在します。主なデメリットは以下のとおりです。
- 狭いスペースによるストレスと集中力の低下
- 人の声が騒々しい
- ミーティングスペースが少なくコミュニケーションを取りにくい
- 業務に必要な装置や什器を置くスペースが限られてしまう
これらはすべて企業の業績に直結するデメリットです。デメリットを避けるためにも狭いオフィスを使い続けるのはやめたほうがいいでしょう。
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狭いオフィスを改善するアイデア
狭いオフィスのままでも工夫すればデメリットを低減できます。ここからはそれらのアイデアについて解説します。
フリーアドレスの導入
フリーアドレスは、従業員が自由に席を選べるオフィスのことで、狭いオフィスのスペースを活用するのに有効です。特に外回りの社員が多い企業で効果を発揮します。
たとえば、常時50%の社員が座席を使っていない場合、フリーアドレスにして座席数を20〜30%程度減らしてもオフィスは問題なく機能するでしょう。その分、内勤の社員の快適さは向上するはずです。
ただし、フリーアドレスを成功させるためには、清掃の分担や個人の荷物の管理など、細部にわたるルールづくりが必要です。そのため、導入にあたっては十分な準備と社員への説明が欠かせません。
設備の見直し
オフィスの狭さを改善するためには、設備の見直しも重要です。
まず、オフィス内に不要なものがないか確認しましょう。不要なものを取り除くだけでも、空間が広く感じられます。また、紙の書類を電子化するという手段もあります。これにより、書類を保管するためのスペースが不要となり、オフィスを広く使うことができるのです。
さらに、スペースの使い方の見直しも重要です。たとえばカフェスペースを廃止してミーティングスペースにドリンクのサーバーを置き、カフェスペースとしても使えるようにするなどが考えられます。
これらの方法を試してみることで、狭いオフィスでも快適に過ごすことができるでしょう。
オフィス家具の見直し
オフィス家具の見直しも狭いオフィスを改善するのに有効です。
特に、一つでたくさんの用途に使える多機能な家具の導入をおすすめします。たとえば、収納機能付きのデスクや椅子、折りたたみ可能なテーブルなどは場所を取らず、必要なときにだけ使用できます。
また、家具の配置も見直してみましょう。たとえば窓の近くにはなるべき家具を置かないことで開放感のある空間に感じられます。実際に面積は変わらなくともストレスの低減には有効です。
家具の配置を見直す際には、物理的な広さだけでなく、見た目の印象やメンタルに及ぼす影響も考慮すると効果が上がりやすくなります。
広く見える色にする
オフィスの広さを感じさせる色使いというものがあります。
一般的に、明るい色は空間を広く見せる効果があり、特に、アイボリーや淡いブルーなどのパステルカラーは、部屋が広く見えます。また、壁に縦のラインを入れることで、天井が高く見え、より広い空間を演出することができます。
ただし、色彩は人の心理に大きく影響を与えるため、業務に集中できるように落ち着いた色を選ぶことも大切です。また、色だけでなく、照明の工夫も忘れてはいけません。適度な明るさが空間を広く見せるのに役立ちます。
これらの視覚的な工夫を駆使して、狭いオフィスでも快適な作業環境を整えましょう。
オフィス改善の注意点
オフィスの改善を図る際には、社員の安全性を第一に確保しましょう。狭いスペースでの作業は、事故を引き起こす可能性があるからです。
たとえば、通路が狭いと転倒の危険がありますし、机や椅子が窮屈に配置されていると、体調不良を引き起こす可能性があります。
また、非常時の避難も考慮に入れるべきです。適切な避難経路が確保されていないと、災害時に大きなリスクを伴います。
オフィスの改善は、第一に社員の安全性を確保することが大切です。
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まとめ
狭いオフィス空間の改善は、生産性向上、社員の満足度向上、そして安全衛生のために重要です。狭いオフィスでも、さまざまな対策を講じることで職場環境のストレスを低減できます。そのためには、定期的な見直しと改善の取り組みが必要です。これらのポイントを押さえ、よりよいオフィス環境を目指しましょう。
*ケイーゴ・K, そめやあい, ivector / PIXTA(ピクスタ)
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