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リモートワークで様々な場所で働く社員

サードプレイスは自社に必要?事例やおすすめサービスも紹介

企業の働き方改革の一環として、『サードプレイス』の導入が注目を集めています。サードプレイスは社員の働き方に多様性をもたらすものです。

オフィスと自宅以外の第3の場所として、社員の働きやすさを追求するサードプレイスについて、その意義やメリット・デメリットを詳しく解説します。

会社における「サードプレイス」とは

サードプレイスとは、直訳すると“第三の場所”という意味で“自宅や職場以外の居心地のよい場所”を表します。会社におけるサードプレイスとは、従来のオフィス空間以外の新たな働く場所のことです。

具体的には、コワーキングスペースやシェアオフィスなどを指します。これらのスペースは、従来のオフィスの枠を超え、より多様な働き方ができる環境を提供し、社員同士の交流や新たなアイデアの創出を促進します。

【こちらもおすすめ】フリーアドレスだけじゃ不十分?場所にとらわれない「ABW」という働き方【第1回】

サードプレイスとして利用される施設

サードプレイスとして利用されるのはどのような施設なのでしょうか。

基本的にはどのような施設でも、そこで落ち着いて仕事ができるならサードプレイスとなります。しかし、OA機器(パソコンやコピー機など、オフィス業務に必要な機器のこと)や事務用品が必要なことと、情報端末を扱うことを考えると、ある程度ビジネス向けに運営されている施設が望ましいでしょう。たとえば以下のような施設です。

1. コワーキングスペース

コワーキングスペースとは、不特定多数の人が共有するオフィススペースのことを指します。コワーキング(Co-Working)は“協働”といった意味を表し、さまざまな人々が交流しながら働くことを目的とした施設です。

カフェや図書館のようなオープンな環境で執務スペースを自由に利用できるのが特徴です。一般的には、フリーランスやスタートアップ企業、リモートワーカーなどが利用します。

また、不特定多数での共用スペースのため、他社や異なる業種の人々との交流の場となり、新たなビジネスチャンスやアイデアを生み出せる可能性もあります。

2. シェアオフィス

シェアオフィスも複数の企業や個人が共有するオフィススペースのことを指します。コワーキングスペースとよく似ており、実際にその区分は曖昧ですが、一般的にはフリーアドレスのオープンな形式で提供されるものをコワーキングスペースと呼ぶ場合が多いようです。

一方、シェアオフィスの場合は、個室に近い形で提供されるものも多く、利用したい形態に合わせて選べるのが特徴です。デスクやOA機器、インターネット接続、ロッカー、会議室など、仕事を行うための基本的な設備が備えられ、自社のオフィスにいるときと同じ感覚で利用できます。

【こちらもおすすめ】カフェ、コワーキング…理想的なサードプレイスとは?役割や事例を解説【ABW第4回】

会社にサードプレイスを導入するメリット

サードプレイスの導入は、企業の生産性向上や社員の満足度向上に寄与します。社員の気分転換、交流の促進、働き方の選択肢の拡大など、そのメリットは多岐にわたります。

社員の気分転換により生産性が向上する

日常のオフィス環境から離れ、新鮮な環境で仕事をすることで、思考のパターンが変わり、新たなアイデアや解決策が生まれやすくなるでしょう。

また、自由な雰囲気の中でリラックスすることで、ストレスの軽減にもつながり、生産性の向上や離職率の低下につながります。サードプレイスは多様な人々が集まる場所であるため、異なる視点や意見に触れる機会が増え、これが新たな発想のきっかけになることもあるかもしれません。

これらの要素により、社員の気分転換に大いに寄与し、生産性向上の一助となるでしょう。

さまざまな社員同士の交流が促進される

サードプレイスの導入は、社員間の交流を大いに促進します。従来のオフィス空間では、部署単位で部屋やブースが分かれていることが多いですが、サードプレイスはその壁を取り払う場となります。自社の異なる部署や役職の社員、また他社や異なる業界の人々との自然な交流により、新たなアイデアや視点が生まれ、組織全体の創造性や柔軟性の向上が期待できます。

働き方の選択肢を増やせる

特に、育児や介護などで長時間の通勤が難しい社員にとっては、近隣のサードプレイスやテレワークを併用することにより、生活やキャリアにおける選択肢が広がるでしょう。

家庭と仕事の両立を図りつつ、仕事の生産性も維持できるという大きなメリットが生まれるのです。そのような生活やキャリアの選択肢を社員に提供することは、社員の働き方の選択肢を大幅に増やし、離職率の低下にもつながります。

会社にサードプレイスを導入するデメリット

サードプレイスの導入は新たな働き方を提供しますが、一定のデメリットも伴います。勤怠管理の難しさやセキュリティ問題など、導入にあたって慎重な検討が必要です。

勤怠管理の難しさ

従来のオフィス勤務では、出勤・退勤時間を明確に管理できます。しかしサードプレイスでは、場所に縛られない柔軟な働き方が可能になりますが、出退勤の境界が曖昧になります。また、従業員がどこで何をしているのかを把握することも難しくなるため、働きぶりの確認や評価も難しくなります。これらの問題に対して、新たな管理方法や評価基準が必要となります。

セキュリティの問題

シェアオフィスやコワーキングスペースは、不特定多数の人とスペースを共有しているため、情報端末をのぞき込まれたり、通話の内容を聞かれたりする可能性があります。

情報漏洩を防ぐためには、適切なセキュリティ対策が必要となります。たとえば、VPN(仮想プライベートネットワーク)の導入や、外部での作業時には社内情報を扱わないなどのルールづくりが求められるでしょう。

代表的なサービス例

サードプレイスの代表的なサービスを紹介しましょう。

代表サービス1:いいオフィス®

株式会社いいオフィスは、全国900店舗以上のコワーキングスペースやシェアオフィスを提供しています。専用の『いいアプリ』で簡単にスペースを探し、ドロップインで利用できます(一部店舗はドロップイン不可)。

料金は店舗によって異なりますが、法人用に利用頻度や人数に合わせたプランが用意されています。

さらに、特定のテーマに基づいた独自の設備やアイテムを持つ店舗もあります。たとえば、『いいオフィス桐生 by Purveyors』ではアウトドアと旅をコンセプトにした商品やテントを展示するなど、多様なニーズに応じたサービスを提供しています。

【参考】いいオフィス公式サイト
【参考】旅×アウトドア×ワーケーション!に最適の個性的なコワーキングスペース「いいオフィス桐生 by Purveyors」がオープン!/PR TIMES

代表サービス2:OFFICE PASS®

『OFFICE PASS®』は、日本経済新聞社運営のシェアオフィスサービスです。全国850カ所以上の提携コワーキングスペースを自由に利用可能で、法人プランでは複数人利用も可。簡単な申し込み手続きで、信頼性の高いサービスを享受できます。ただし、都市部以外の施設は少なく、利用制限や予約が必要な施設もあるため、利用の際は注意が必要です。

回数課金と月額料金のプランがあり、回数課金の場合は月額10回で22,000円(税込)、組織内で回数券をシェアできます。月額料金の場合は一人あたり19,800円(税込)~、契約人数や期間によって異なります。

【参考】OFFICE PASS/日本経済新聞社

サードプレイスを導入している企業事例

OFFICE PASS®公式サイトに、ある営業支援サービス会社の導入事例が紹介されています。同社では、コロナ禍による在宅勤務の普及で働き方の多様性が増し、特に自宅が労働に適していない環境の社員にとって新たなワークスペースが必要となりました。

OFFICE PASS®の拠点数、料金面、シェア可能な回数課金プランの利便性、テスト運用の反響を理由に本格導入を決定。約70名の管理職や自宅勤務が困難な社員が利用を開始しました。その後、利用する中で移動中の活用、面接場所としての使用など多様な利用法が確立し、効果を実感しているそうです。

【参考】導入事例 株式会社セレブリックス/OFFICE PASS

まとめ

多様な働き方が求められる中、その場所や環境を提供することが企業に求められるようになってきています。コワーキングスペースやシェアオフィスをサードプレイスとして利用することは、従来のオフィスの枠を超え、柔軟で拡張性の高い職場環境を社員に提供します。

新しいビジネスチャンスの獲得や社員のストレス軽減のため、また、家庭の事情で長時間の通勤が難しい社員の離職防止のために、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

【こちらもおすすめ】多様な働き方を実現するために必要な準備とは?制度の見直しポイントについて弁護士が解説【ABW第5回】

※2023年10月時点の情報になりますので、最新情報は各社にお問い合わせください。

* sun_po,mildovalley,Usis,阿部モノ,emma,チキタカ(tiquitaca),emma / PIXTA(ピクスタ)