社内がうるさくてWEB会議ができない!オフィスでの対策やWEB会議スペースのつくり方を解説
近年、テレワークの普及や働き方の多様化に伴い、対お客様や取引先との間でもWEB会議の利用が一気に普及しました。一方、オフィスでWEB会議を行う際には、周囲の騒音や背景の映り込みが問題になることもあります。現在、多くの企業がこのニーズを認識し、業務効率化の観点からも社内にWEB会議専用のスペースを導入することを検討し始めています。本記事では、検討のポイントや導入のメリットについてご紹介いたします。
目次
WEB会議利用の拡大によって顕在化してきた課題
周囲の雑談や映り込み
打ち合わせをWEB会議で行うことが以前よりも一般的になってきましたが、特に中小企業ではWEB会議専用のスペースが確保できていない場合も少なくありません。用意されていたとしても、WEB会議の実施頻度が社内で増えたために専用のスペースが十分に間に合っていないケースも見られます。その場合、やむを得ず自席やオープンスペースで行うこともあるでしょう。
WEB会議をオフィスのオープンスペースで行う場合には、周囲の会話や電話の声がWEB会議の妨げになることがよくあります。これらの音はノイズとなり、参加者全員にストレスを与えかねません。結果、オープンスペースで参加する場合はマイクをOFFにしなければならず、自ずと発言も減ってしまいます。 また、背景にオフィス内を移動する社員が映り込むことも、参加者の集中を阻害する可能性があるでしょう。
一般的にWEB会議ツールには、プライバシー保護の目的も兼ねて、背景には別の画像を映し出すフィルター機能が用意されています。しかし、参加者の後ろで社員が通り過ぎる場合には、映り込みを完全に防止することは難しいでしょう。
情報漏洩のリスク
WEB会議を行う際に起こり得るリスクとして最も気をつけねばならないのは、情報漏洩です。オープンスペースでWEB会議を行うと、社内の会話が社外の会議参加者に聞こえ、意図せずに情報漏洩を招く可能性があります。また、社外秘の情報が記載された資料などが、背景に映り込む可能性もあるでしょう。たとえ詳細を読み取れなかったとしても、見えてしまったことにより「セキュリティ意識の低い企業だ」という印象を取引先や顧客に与えてしまうかもしれません。リスクを抑止するために社内での会話や移動を制限するということは本末転倒であり、現実的ではないでしょう。
それなら外へ出て……と、カフェや喫茶店などでWEB会議を行うと、今度はその場所に居合わせた部外者に会議の内容を聞かれてしまう可能性があります。肩越しに資料を盗み見されてしまうリスクすら招きかねません。
【こちらもおすすめ】罰金だけじゃ済まないかも!個人情報保護法違反のリスクと情報漏洩事例【弁護士が解説】
経費負担の増大
社内でのWEB会議が難しい状況であるために、外部スペースを有料で利用することは合理的な対応といえます。しかし、利用頻度が増えると、利用料金がかなり高額となるおそれも出てくるでしょう。レンタルの会議室などを利用するには経費がかかることから、カフェや喫茶店、ファミリーレストランなどで緊急的に場所を確保して、WEB会議に参加するといったケースもよく見られます。経費負担を押さえるための対応かもしれませんが、先述したセキュリティ面でのリスクを大きくしてしまうでしょう。
WEB会議の対策
問題を対処するための、いくつかの方法を紹介します。
ノイズキャンセリングイヤホン・アプリの利用
高品質なマイクとノイズキャンセリング機能を持つイヤホン、または専用のアプリを使用することで、外部の環境音や騒音を軽減し、クリアな音声を確保できます。また、周辺の音声を拾うリスクも軽減できるでしょう。
プライバシーフィルターの利用
PCのモニターを覗き見られるリスクは、社外でのモバイルワークをしている場合、会議中に限らず常に存在します。リスクを最小化するためにも、正面以外からはモニターが見えなくなるプライバシーフィルターを必ず使用しましょう。
WEB会議スペースの設置・増設
上記の対応を行うことも有効ではありますが、正直安心できるほど万全とは言い難いのが現実です。特に情報漏洩リスクについては、万が一でも発生すると取り返しのつかない損失を招いてしまうおそれがあります。そのため、できればWEB会議専用のスペースを用意することがおすすめです。
WEB会議専用のスペースは内側からも外側からも物理的に騒音を遮断し、意図しない情報漏洩リスクを抑制できます。外出先や出張先でWEB会議の必要性がある場合は、BOX型のワーキングスペースやコワーキングスペースの会議室など、漏洩リスクを考慮した場所を手配しましょう。
あくまでも悪例ではありますが、筆者も若かりし頃、新幹線のデッキでプロジェクトについて電話で話していたところ、偶然当該のクライアントの取締役と遭遇し、セキュリティ的に用心するように柔らかく注意いただいたことがあります。正直、これがお客様の競合先企業だったらどうなっていただろうと思うと、改めてゾッとします。
WEB会議スペースのつくり方
オフィススペース内に、WEB会議専用のスペースをつくる方法はいくつかあります。
既存の会議室を利用する
既存の会議室をそのままWEB会議スペースとして利用することは、最もシンプルな方法で費用もかかりません。しかし、1名での利用も多いWEB会議では、大きなスペースを必要としないことが多く、本来の会議室需要を侵害し、会議室自体が足りなくなってしまうことがあるでしょう。
パーティションを配置する
簡易的なパーティションの利用は、スペースの区画を比較的自由に設計できるため、既存のスペースを効率的に活用するには便利です。ただし、設置場所や方法にもよりますが、個室ではないため周囲の音声が会議参加者に届いてしまうリスクがあります。
WEB会議ブースを設置する
WEB会議専用のブースを用意できれば、最も安心です。会議の秘匿性を考慮しながら、専用のブースやパーティションで区画されたスペースを選択して使用できるような職場設計が必要です。
サウンドマスキングを導入する
サウンドマスキングとは、マスキング音と呼ばれる特殊な音を部屋に流すことで、隣室からの声や音漏れを聞き取りづらくする仕組みです。コクヨのサウンドマスキングシステムは、天井内に背景音を反射させる間接音方式を採用しているのが特徴です。
【こちらもおすすめ】やっぱりオフィスで働きたい…!社員が出社したくなるオフィス環境とは?
まとめ
WEB会議専用のスペースの導入は、オフィスの生産性向上と情報漏洩のリスク低減のために大変有効な手段です。自社のニーズに合わせて、最適な方法を選択し、導入を検討してみてください。リスク抑止に関しては、最も慎重に検討すべき事柄です。一度事故が起きてしまってからでは、手遅れになります。負担になりすぎないよう、手を付けられるところから順に環境を整備していきましょう。
【まずはここから】無料オフィスレイアウト相談はこちら(移転・リニューアル・働き方改革)
*fizkes, Gorodenkoff, Rawpixel.com / shutterstock