多様性を尊重し、誰ひとり取り残さない未来へ!株式会社SAKURUG代表取締役 遠藤 洋之氏にインタビュー
時代の最先端をひた走る経営者にインタビューし、その成功の秘訣を探る本連載「成功を掴んだターニングポイント」。
今回は、株式会社SAKURUG(サクラグ)代表取締役 遠藤洋之氏にお話を伺いました。
株式会社SAKURUGは“ひとの可能性を開花させる企業であり続ける”というビジョンを掲げ、WEB制作やシステム開発などのコンサルティング事業や、採用マッチングプラットフォーム『Sangoport(サンゴポート)』の運営などを行っています。
今回は、株式会社SAKURUGの設立から現在までの転換期や組織づくりなど、経営の本質に関する問いを投げてみました。
株式会社SAKURUG
代表取締役
遠藤洋之千葉県出身。株式会社GOOYAを経て2012年に株式会社SAKURUGを設立。世界的起業家ネットワークであるEO(Entrepreneurs’ Organization・起業家機構)JKBC会長、一般社団法人Famiee監事。これまでにEO Tokyo理事、千葉イノベーションベース初代理事を歴任。非営利活動法人ジャパンハートのエバンジェリストを務めるほか、一般社団法人PEADにも参画。高校生インターンの受け入れや海外支援、スポーツ支援、若年層支援など、事業の枠を超えた支援活動にも取り組んでいる。
オフィス移転でビルグレードにこだわった理由
――オフィス移転の背景を教えてください
遠藤洋之(以下、遠藤): 移転前は『渋谷クロスタワー』に入居しており、増床も検討していましたが、なかなかタイミングが合わずにいました。そんな中、尊敬する先輩経営者から現在のオフィス(渋谷サクラステージ セントラルビル)をご紹介いただきました。
実はこのビルは私が起業前に2年間勤めていた前職があった場所でもあり、『渋谷ヒカリエ』が少しずつ出来上がっていく様子を、毎晩終電で帰りながら見守っていました。20代の頃、とにかくがむしゃらに働いていた思い出が詰まった場所で、起業のきっかけをくれた前職の代表や先輩もそこで一緒に働いていました。
そんな場所に再び戻ってこられて嬉しかったことに加え、たまたま桜丘町(さくらがおかちょう)の『渋谷サクラステージ』にある『株式会社SAKURUG』と、桜つながりの共通点もついてきました。創業時のオフィスはとても古いビルで、トイレは男女共用、エレベーターも非常に遅いものでしたが、今は新築で快適な環境で仕事ができています。
――オフィス移転により、社員のモチベーションは向上しましたか?
遠藤:リモート勤務が多いこともあり、座席数を減らし固定費を抑えつつ、ビルグレードを上げることでファシリティやアクセスが向上しました。これにより採用にも良い影響が出ています。高品質なオフィスはメンバーのモチベーションにもつながると実感しています。
――オフィスデザインはどのように決められましたか?
遠藤: 弊社では年に2回、社員総会を行っています。2023年10月の総会は支社のある和歌山県白浜で実施しました。その際、新人賞を受賞した新卒1年目のデザイナーにオフィスの内装デザインを依頼し、その提案を基にオフィスデザインを決定しました。今後3年間かけて、さらに内装を進化させる予定です。
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労働人口不足という社会課題を解決したい
――株式会社SAKURUG様の概要を教えてください
遠藤:2012年にインターネット広告事業からスタートしましたが、うまくいかず、WEB制作やシステム開発に方向転換しました。2021年には、求職者と企業をマッチングするプラットフォーム『Sangoport』を立ち上げ、時短で働くパパやママ、シニア、ジェンダーに悩みを持つ方々のためのマッチングを提供しています。
私たちの事業は、日本が抱える労働人口不足の解決を目指しています。効率化はQDXコンサル事業でカバーし、『Sangoport』事業では、人が担うべき業務にフォーカスしています。
――印象に残っているターニングポイントはありますか
遠藤:2つあります。1つは、事業を大きく転換したこと。そしてもう1つは、2017年にビジョンとカルチャーを刷新したことです。
――刷新しようと思ったのは何か大きな出来事があったのですか?
遠藤:実は、私はもともとミッションやビジョンといったものに対して、あまり好意的ではなく、むしろ少し気持ち悪いと感じていたんです。しかし、会社を立ち上げたとき、メンバーから「会社をどうしていきたいのか?」と尋ねられました。そのときは「自由だから、好きにやっていいよ」と答えたのですが、メンバーは困惑してしまいました。
そのことを振り返ったときに、中高時代の部活動を思い出しました。毎日部活に出ていたのは、単に時間が決まっていたからというより、“全国大会に出場する”という共通の目標があったからこそ、みんなが一丸となって取り組めていたんです。この経験が、ビジョンの大切さに気付くきっかけとなりました。
――“ひとの可能性を開花させる”というビジョンは、誰にでも自分事としてマッチしますね
遠藤:そうですね。解釈の仕方がいくつかあるという点も、ビジョンの可能性だと思っています。会社とそこで働く人の関係性は、会社を使って自分がやりたいことを実現していくことにあると考えています。私たちの“ひとの可能性を開花させる”というビジョンのもとで、自由に自分のやりたいことを達成してほしいと思っています。
全ての企業が正しいのであって、正しくない企業はない
――採用時には何を重視されていますか
遠藤:この規模の会社なので、“もし同じ時代に同じ場所で生まれていたら友だちになれていたのか?”という自分の感覚を大事にしています。自分の友だちって言語化して書き出すものでもないじゃないですか。
――とても温かい視点ですね。遠藤様のお人柄でしょうか
遠藤:それは、過去の失敗が教訓になっているからです。仕事のスキルや経験が合致する人を採用しても、カルチャーにフィットしないというケースがありました。
私は「正しい企業」「間違っている企業」「素晴らしい企業」などの考え方があまり好きではありません。それも多様性の一つだと思います。弊社は、隣で困っている人がいたら助けるというスタンスで組織を作っています。自分が大好きな人を嫌う人もいるでしょうし、自分とは合わないと思う人にも親や友人がいる。それが多様性というものだと感じています。
教育×ITを掛け合わせアフリカ進出を!
――今後の展望を教えてください
遠藤:私はもともと教員志望でした。しかし、ダイレクトに世の中を変えていく手段として、ビジネスで社会をより良くしていこうと決意しました。
ずっと続けているブログには、起業前から将来上場してその資金で途上国でボランティアをすると書いていたのですが、今ではそれがビジネスに変わりました。私の教育に携わりたいという思いと、弊社のIT事業を掛け合わせ、アフリカでプログラミング教育事業を始めたいと考えています。2030年までに10事業、30拠点を目指していく予定です。
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株式会社SAKURUGは個々のバリューを最大限発揮できる組織を目指し、積極的にDEI(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)推進に取り組んでいます。社内でも女性役員比率30%を達成し、男性育休100%宣言に賛同。また2024年に『ストレスフリーカンパニー』を受賞しています。さまざまなバックグラウンドを持つ社員が活き活きと働ける組織作りが印象的でした。