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バックオフィスのデジタル化

どこから手を付けるべき?中小企業の「デジタル化の進め方」を企業タイプ別に解説

バックオフィス業務をデジタル化し生産性を高めるDX導入を政府が推進しはじめて久しいですね。しかし、現状では中小企業におけるデジタル化はなかなか進んでいないようです。その理由は2パターン考えられます。

1つは経営者がデジタル化について知らなかったり興味がなかったりするパターン、もう1つは興味があるし、必要性も理解しているけれど、何から手を付けてよいかわからないパターンです。

本記事では、後者のバックオフィスのデジタル化推進について何から手をつけていいのかわからない経営者の方に向けて、“バックオフィスのデジタル化がなぜ進まない”のか、“どこから手を付けるべきなのか”について企業のタイプ別に解説します。

バックオフィスのデジタル化における課題

紙媒体の業務がなかなかデジタル化できない

バックオフィスの業務で最も高いハードルとなるのは“紙の書類のデジタル化”でしょう。なぜなら、紙の書類は社外とのやり取りに使う場合も多く、取引先にも関わってくるからです。

例えばバックオフィスがよく取り扱う書類に“請求書”があります。仮にデジタル化でテレワークを推進している企業でも、取引先から受領する請求書が紙媒体である場合があるのではないでしょうか。その場合、在宅勤務だったとしても、受領のために出社せざるを得ないですよね。実際、多くの経理担当者が請求書を処理するために出社していると耳にします。

いくらバックオフィスのデジタル化を推進していても、取引先から紙の請求書が送られてきたら現実的には受領せざるを得ないでしょう。中小企業がバックオフィスのデジタル化を進める際には、社外との書類のやり取りをどうするかが課題となります。

リソースが限られている

中小企業のデジタル化が進まない大きな要因の一つは、IT投資をする余裕がないことです。それは資金面の話だけではなく、人的リソースやノウハウの蓄積の面も限られている中小企業が多く、デジタル推進の課題となるケースがあります。

特にIT人材は慢性的に不足している状態であり、経済産業省発表の『IT人材需給に関する調査』によると、 IT人材はこれまでの今後も不足していくことが予測されています。中小企業の場合は専門の情報システム部が無く、他の部署がITシステムの運用まで兼任しているケースが多いでしょう。

また、日本の企業の慣行としてITの開発や運用にはアウトソーシングの利用するのが主流であり、高度なIT人材がベンダー企業に集中している傾向があります。その結果、ユーザー企業でなかなかIT人材が育たないのです。

デジタル化はITの中でもかなり専門的なノウハウが必要で、中小企業が推進する際は人材の確保をどうするかが課題となるでしょう。

企業のタイプ別バックオフィスのデジタル化でまずやるべきこと

では、中小企業はどのようにデジタル化に取り組めばよいのでしょうか? ここからは、先述した課題を踏まえ、バックオフィスのデジタル化で最初に何をやるべきなのか、企業のタイプ別に解説します。

スタートアップ企業

本来、スタートアップ企業が注力するべきはプロダクト開発や成長戦略、組織拡大に繋がる活動であり、バックオフィス業務に取られるリソースは最小限にするほうがよいですよね。

ところが、バックオフィスで必要な雑用や単純作業を経営者や幹部が担っているケースも多いと思います。また、スタートアップ企業はまだバックオフィス管理のノウハウが蓄積されておらず、デジタル化に必要な課題点を洗い出すのも困難です。

そこで、スタートアップ企業ではSaaS(Software as a Serviceの略:いわゆる“クラウドサービス”)を用いた既成のパッケージツールをまず導入し、そのツールの仕様に業務を合わせるようにすることをおすすめします。スタートアップの段階ではバックオフィス業務を大雑把に管理してしまいがちなのですが、規模が拡大してから細かく整備するのは多大な手間と資金が必要です。スタートアップの段階からバックオフィス業務が総合的にまかなえるパッケージを導入して最初から自動化してしまうほうがよいでしょう。

クラウドサービスであれば、組織規模の拡大に合わせて柔軟にライセンスを追加していけるのでスタートアップ企業には向いているといえます。

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バックオフィスに単純作業が多い企業

バックオフィスに単純作業が多い企業の場合、まず一部だけ業務のデジタル化を実施しましょう。いっぺんに既存のワークフローのすべてのデジタル化を図ろうとはせず、影響範囲の小さい業務から始めるのが重要です。

例えば、給与計算の業務の自動化はバックオフィス内の担当者ベースで話が進められます。デジタル化は現場社員の抵抗によって頓挫するケースも多いため、小さい成功体験を積み上げ、社員にとってメリットがあると理解してもらう必要があります。

その際には、できるだけ現場社員たちの人望を集めている影響力の強い社員に利便性を体感してもらい、推進派に引き込むなどの工夫があるとよいでしょう。

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紙の書類が多い企業

社内・社外に限らず紙の書類が多い企業は、まず紙の書類の電子化を検討するべきです。膨大な書類をスキャンするにはかなり工数がかかりますので、アウトソーシングも活用しましょう。

取引先から受領する契約書や請求書を送るとスキャンして電子化してくれる専門業者もあります。そのようなアウトソーシングも活用しながら、書類のデジタル化とデータベース化の実施することがファーストステップとなります。

デジタル化の本質は“データドリブン”です。データドリブンとは、ITツールによってデータを蓄積し、データによって経営判断をする体制のことです。ところが、紙媒体ではデータ化が難しく、集計したり統計を取ったりといった作業が単純にはできないので、まず電子化することが重要です。

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ITに詳しい人材がいない企業

ITに詳しい人材がいない企業の場合は、デジタル化推進支援サービスを提供している専門業者を活用しましょう。

中小企業庁の調査によると、高収益企業ほどアウトソーシングを上手く活用してIT人材の不足を補っていると調査結果が出ています(下記グラフ:『中小企業白書2016年 IT人材の活用』より)。

先述したように日本の産業構造では、ベンダー企業にIT人材が集中している傾向にあります。それならば、そのような企業へのアウトソーシングによって専門的な知識を持った人材を活用することが得策でしょう。

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まとめ

デジタル化はただITツールを導入すればよいものではなく、経営上の課題に合った取り入れ方があります。また、企業の傾向ごとにまずやるべきファーストステップは異なります。ぜひ参考にしてください。

【参考】
IT人材需給に関する調査』/ 経済産業省
中小企業白書2016年 IT人材の活用』 / 中小企業庁

* Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)