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TOP > 記事一覧 > 経営・財務 > 利益はあるのに現金がない?「今すぐできる財務管理」でキャッシュフローを計算しよう【税理士が解説】
財務管理とは?

利益はあるのに現金がない?「今すぐできる財務管理」でキャッシュフローを計算しよう【税理士が解説】

2021.12.17

「儲かっているはずなのに、会社にお金がない?」会社を経営していると、そんな疑問を抱いた経験のある方も多いのではないでしょうか?

決算書を見ると、しっかり“利益”が出ているのに、いざ納税しようとすると、銀行口座に残高が残っていないのが納得できない。「もしかしたら、計算が違っているのではないか……」そんな疑問さえ湧いてきます。

そんな経営者の疑問に答えるために、税理士の筆者が財務管理について説明しましょう。今すぐできる簡便な方法から、専門的な方法まで、財務管理の手法をいくつか紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

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決算書と財務管理の関係

「儲かっているはずなのに、会社にお金がない」はなぜ起こる?

冒頭のように、“儲かっているはずなのに、会社にお金がない”という状況になったとき、思わず「決算書が間違っているのでは?」と、経理スタッフを疑いたくなるかもしれません。しかし、ちょっと待ってください。実は、決算書は発生主義や実現主義の考え方に基づいて作成されているため、決算書の利益(経営者の体感)と現預金の残高が異なっているケースが多いのです。

発生主義とは、現金の入出金時ではなく、取引が発生した時点で、費用を認識する考え方のことです。

実現主義とは、お客様から入金があっても、実現していない収益は計上できないという会計上の決まりのことをいいます。

会計の世界では、費用が発生した時点や収益が実現した時点を基準に会計処理することで、会社が意図的に利益を操作できないルールになっています。そのため、決算書の利益(経営者の体感)と現預金の残高が一致しないという現象が発生するのです。

現預金を把握するための財務管理とは?

会社を経営していくうえで、利益の把握と同じように現預金の把握が重要なのは、言うまでもありません。現預金を“キャッシュ”と呼ぶこともあります。んなに利益が出ていても、会社にキャッシュがなくなれば、人件費や仕入代金を支払うことができなくなります。約束の期日までに支払いができなければ、会社は信用を失い、あっという間に業績は悪化します。

「いつまでにいくらの資金が必要か」「不足する資金をどのように調達すべきか」、また「社内に余裕資金はいくらあるのか」「いま、投資に使える資金はいくらあるのか」などキャッシュの管理を適切に行うことで、持続的に会社を成長させていくことができるのです。

このように、キャッシュに着目して会社の財務状況を把握し、経営判断の根拠とすることを“財務管理”といいます。

財務管理にはどんな方法があるの?

とはいえ、発生主義に基づいた決算書の他に、キャッシュの動きに基づいた計算書をもう1つつくるのは、現実的ではありません。経理スタッフの負担が大きくなり過ぎますし、管理コストも馬鹿になりません。

では、どうすればいいでしょうか? 実は財務管理は、経理が作成した決算書をもとに行います。決算書の仕組みを把握することで、キャッシュ目線の経営分析を行うことができるという訳です。

それでは簡便な方法から専門的な方法まで、財務管理の方法をいくつかご紹介していきましょう。

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財務管理をするための3つ方法

1:簡易キャッシュフローを計算する

経理が作成した税引後の当期利益を元に、所定の科目をプラスマイナスすることで、いま会社が使えるお金を簡便的に把握することができます。

以下、より簡便な方法から順番に説明します。

【方法1】当期利益-法人税等+減価償却費

損益計算書の当期利益から法人税や地方税の金額をマイナスした税引後の利益に、減価償却費を足して計算します。決算書を見ただけで、瞬時に計算できるのが、最大のメリットです。

当期利益から税金を支払った後の金額を、会社が投資に使える金額と考えます。減価償却費をプラスするのは、減価償却費が現金の支出を伴わない費用だからです。

減価償却とは、10万円以上の固定資産を購入などした時に、購入年度に一度に費用計上せず、その固定資産を使用している年数に応じて、少しずつ費用化していくことをいいます。実務的には、国税庁が資産の種類ごとに定めている耐用年数にしたがって計算します。

本来減価償却は、収益と費用を適切に対応させて、正しい期間損益を計算するのが目的です。

一方、財務管理では別の見方をします。キャッシュが流出しないにも関わらず、費用として計上できるということは、言葉を変えれば減価償却費相当額分だけ、キャッシュを社内に留保できたと考えます。つまり減価償却費は、将来の投資のための財源と捉えることができるのです。

【方法2】方法1+引当金増加額

減価償却費と同じように、キャッシュの流出を伴わない費用に、引当金繰入額があります。引当金とは、将来に発生する可能性の高い費用や損失で、その原因が当期以前に発生した事象によるものをいいます。主な引当金には、“貸倒引当金”や“賞与引当金”などがあります。

【方法3】 方法2-売掛金-棚卸資産+買掛金

または、方法2-売掛金-受取手形-棚卸資産+買掛金+支払手形とすることもできます。

【方法1】や【方法2】よりも、より実態に近い数字を把握したい場合には、【方法3】のように営業債権や営業債務、棚卸資産を考慮して、簡易キャッシュフローを計算します。

簡易キャッシュフローの考え方
上記でも説明したように、経理が作成する決算書は、発生主義または実現主義の考え方に基づいて、利益を計算します。そのため決算書の当期利益には、まだ現金化されていない金額や、逆にまだ支払っていない金額が含まれているのです。

そこで、営業サイクルの中で発生する“売掛金”“買掛金”“棚卸資産”を当期利益から加減算することで、会社の資金力を把握しようというものです。

決算上の利益は同じでも、売掛金の回収サイトが長かったり、不良債権を抱えている会社、または、社内に大量の在庫を抱えている会社の方が、キャッシュフローの金額が小さくなります。これによって、見せかけの利益ではない、会社の真の利益を計算できるという訳です。

資金繰りについての記事はこちら

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2:キャッシュフロー計算書を作成する

もっと専門的にキャッシュの動きを知りたい、という場合には、キャッシュフロー計算書を作成します。

キャッシュフロー計算書とは、現預金に着目して、決算書だけでは分からない会社のお金の使い方や動きを一覧にまとめたものです。本記事では、キャッシュフロー計算書の作り方までは触れませんが、決算書をもとにつくることができるので、経理スタッフにも過度の負担をかけることはないでしょう。

キャッシュフロー計算書では、会社のお金を営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローの3つに分けて集計します。

営業キャッシュフロー
営業キャッシュフローとは、会社本来の営業活動から生み出された現預金のことをいいます。営業キャッシュフローがマイナスということは、本来の事業活動の資金がショートしていることを意味します。売掛金の回収サイトを見直す、金融機関からの融資を検討するなどの対策が必要です。

投資キャッシュフロー
投資キャッシュフローとは、設備投資など将来の事業拡大のためにどれだけ資金を投下したかなど、投資活動にかかるキャッシュの動きのことです。設備を購入すればマイナスになり、逆に保有している資産を売却すればプラスになります。
投資キャッシュフローがマイナスでも心配することはありません。積極的に将来に向けて投資をしている会社ほど、投資キャッシュフローはマイナスになるからです。

財務キャッシュフロー
財務キャッシュフローとは、借入や返済、株式の発行など、資金調達にかかるキャッシュの動きを表したものです。財務キャッシュフローがプラスということは、融資や増資などにより、営業活動以外の方法で外部から資金調達していることを意味します。新たな借入をせず返済だけを続けていると、財務キャッシュフローはマイナスになります。

このように、キャッシュフローの種類ごとに財務状態を把握したい場合は、キャッシュフロー計算書を作成するとよいでしょう。

【こちらの記事も】中小企業向け「設備投資」に役立つ支援制度を一挙解説【税制度・補助金・助成金】

3:資金繰り表を作成する

ここまでで、決算書をもとにキャッシュの動きを管理することで、正しい経営判断を行うということを紹介してきました。しかし、決算書を元に分析するだけでは、十分な財務管理とはいえません。決算書や決算書を元に作成したキャッシュフロー計算書はあくまでも過去の数字の記録に過ぎないからです。

会社を継続的に発展させていくためには、未来の入金と出金の動きを予測し、資金の不足が想定される場合には、早めに資金調達する必要があります。未来の資金の流れを予測することを資金繰りといいます。資金繰りをコントロールすることで、適切なタイミングで、戦略的な投資を仕掛けることができるのです。

資金繰りの基本は、毎年の事業計画です。事業計画書には、短期的な事業計画と中長期的な事業計画がありますが、資金繰りのためには1年間の短期事業計画が有効です。

毎年、事業年度スタート時に月単位の事業計画書を作成し、計画に沿った収支の予測を行います。事業計画書は、売上計画・経費計画・投資計画に分けて作成するとよいでしょう。

【こちらの記事も】その退職金支払えますか?制度の見直し方法と実例をご紹介

 

本記事では、現預金の残高(社長の体感)と決算書の利益が一致しないという疑問から、現預金を把握するための財務管理の重要性、そして、財務管理をするための3つの方法をご紹介しました。

財務管理を適切に行い、キャッシュの動きを管理することで、経営判断に役立てることが可能になります。ぜひ参考にしてみてください。

*【IWJ】Image Works Japan、freeangle、Hirotama、jazzman / PIXTA(ピクスタ)