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労働実務事例

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派遣労働者からも過払い分を差し引きたいが可能か

「労働新聞」「安全スタッフ」(2009年1月~12月掲載文)
法改正等で現在の正確な内容と異なる場合があります。

[ 質問 ]

 派遣労働者の賃金計算にミスがあり、過払い分を返還してもらうことになりました。これを機会に、賃金の控除協定を整備し、清算事務の簡便化を図る方針です。しかし、派遣労働者の場合、賃金控除に関して厳しい指導が実施されているという話も聞きます。どのような点に注意すべきでしょうか。

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[ お答え ]

 賃金の一部を賃金から天引きする場合、過半数労組(ないときは過半数代表者)と協定を結ぶ必要があります(労基法第24条第1項ただし書き)。賃金の過払いを翌月等の賃金から差し引くのは、「清算」で「控除」とは異なります。しかし、清算調整のレベルを超えてミスが累積した場合等を想定し、労使協定中で「控除の対象となる具体的な項目」をキチンと定めておくべきです。
 派遣労働者であっても、賃金控除の取扱いに変わりありません。日雇派遣労働者については、不適切な賃金控除の実態が摘発された経緯を踏まえ、「日雇派遣指針」(平20・厚生労働省告示第36号)で注意を促しています。同指針第9の1の(2)では、「賃金の一部を控除する場合には、購買代金、福利厚生施設の費用等事理明白なものについて適正な労使協定を締結した場合に限り認められることに留意す(べき)」と述べています。
 しかし、これは派遣労働者以外を対象とする賃金控除に関する行政解釈(昭27・9・20基発第675号)を再確認する趣旨です。日雇派遣労働者を特例扱いとし、別の基準を当てはめるものではありません。
 適法な協定を結ぶ限り、派遣労働者の賃金から「事理明白な」費用等を控除できます。ただし、派遣会社の場合、過半数代表の選出母体は、「派遣元事業場のすべての労働者であり、派遣中の労働者とそれ以外の両者を含むものである」(昭61・6・6基発第33号)点には留意が求められます。
 前記行政解釈では、事理明白なものの例として、購買代金、福利厚生施設のほか「社内預金、組合費等」も挙げています。貸付金等も含まれると解してよいでしょう。
 労基法第89条では、就業規則の相対的必要記載事項として「労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる場合、これに関する事項」を挙げています。就業規則等に根拠があれば、そうした費用も控除の対象に含まれます。ただし、制服や工具代等の負担を課すのが妥当か否かは、また個々に検討を要する問題です。



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