労働実務事例
[ 質問 ]
当労働組合は、会社と専門業務型裁量労働制の協定を結んでいます。最近、裁量労働制の対象になった社員が、「みなし労働時間が短すぎる。労組として、抗議してほしい」と訴えてきました。協定の一方当事者として放置できませんが、みなし時間の見直し等を要求できるのでしょうか。
岩手・K労組
[ お答え ]
専門業務型裁量労働制は、新商品開発など19種類の業務に限って適用が認められています(労基則第24条の2の2、平14・厚生労働省告示第22号)。企画業務型裁量労働制と異なり、「労働者の同意を得ること」は導入の要件となっていないので、本人が「みなし労働時間の長さ」に不満があっても対象から外すよう要求できません。
対応策の一つとして、「協定の見直しにより、みなし労働時間の修正を図る」方法が考えられます。専門業務型裁量労働制の場合、労基則第24条の2の2第3項第1号により、「協定(労働協約による場合を除き、労使委員会の決議及び労働時間等設定改善委員会の決議を含む)の有効期間」を定める必要があります。事業場外みなしは労基則第24条の2第2項、企画業務型裁量労働制(協定ではなく決議)では労基則第24条の2の3第3項第1号に同様の規定が設けられています。
労働協約による場合、期間の定めが必要ないのは「当然に労組法第15条(労働協約の期間)の適用を受ける」(昭29・6・29基発第355号)からです。
36協定に関する行政解釈(昭28・7・14基収第2843号)では、「『有効期間中といえども労働組合の破棄通告により失効する』など法定事項以外について協定したものであってもこれを受理すべき」と解されています。専門業務型裁量労働制についても同様に考えられますが、実務的にいえばそういう協定はレア・ケースでしょう。
特別な協定がなければ、有効期間の満了に合わせ、みなし労働時間の修正を協議することになります。有効期間については、「不適切に制度が運用されることを防ぐため、3年以内とすることが望ましい」(平15・10・22基発第1022001号)とされています。次期改定までの期間については、労使協定で定めた「労働時間の状況に応じた健康・福祉確保措置」「苦情の処理に関する措置」(労基法第38条の3第1項第4号、第5号)に基づき、会社に対応を求めることになります。
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