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業務繁忙期だけ1年変形を利用できるか。単発・短期の協定結ぶ予定

「労働新聞」「安全スタッフ」(2009年1月~12月掲載文)
法改正等で現在の正確な内容と異なる場合があります。

[ 質問 ]

 業務繁忙が予想されるため、会社から労組に2カ月だけ1年変形労働時間制の協定を結びたいと打診がありました。単発で2カ月だけ変形制を利用できるのでしょうか。さらに、会社側担当者は「労基署に届出しなくても問題ない」といいますが、本当にそうなのでしょうか。

茨城・O労組

[ お答え ]

 1年単位の変形労働時間制は、「1カ月を超え1年以内の期間」(労基法第32条の4第1項第2号)を対象とします。1年を2カ月ずつ6分割することもできますし、1年のうち2カ月だけ採用することもできます。「変形制を適用する時期と適用しない時期をあらかじめ定めることは差し支えない」(平9・3・25基発第195号)からです。
 しかし、変形制の協定を結べば、届け出る必要があります。古い法令集をみると、「協定を行政官庁に届け出なければならない」という一文が存在しますが、現行条文には見当たりません。
 その代わり、「第32条の2第2項の規定を準用する」という表現となっています(労基法第32条の4第4項)。第32条の2第2項は、1カ月変形労働時間制の協定届出の根拠規定で、それを準用するのですから、1年変形労働時間制も届出が必要という結論になります。
 平成10年の法改正で、1カ月単位変形労働時間制を協定で導入することも可能となったため(以前は、就業規則改定による方法のみ)、届出に関する条文の位置が第32条の2に移動したのです。会社側担当者が、「届出は必要ない」というのは、何かのセミナー等で「変形労働時間制の採用要件は労使協定のみ」という趣旨の説明を受けたからではないでしょうか。
 労基法第32条の4の条文では、「協定により、必要事項を定めたときは、特定週・日に法定労働時間を超えて働かせることができる」と規定しています。
 一方、時間外・休日労働(36)協定に関する条文をみると、「これを行政官庁に届け出た場合において、労働時間を延長し、休日に労働させることができる」という表現を採っていて、「単に協定のみでは、法違反の責を免れないのは文理上明らか」(厚生労働省労働基準局編「労働基準法」)です。
 そこで、担当者の方は、「届出は必要ない」と早合点されたのでしょうが、法的効力の発生と届出は別問題という意味に過ぎません。前述のとおり届出は義務付けられており、違反者には30万円以下の罰金が科せられます。



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