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労働実務事例

提供:労働新聞社

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非組パートに残業命じたいが、労使協定の効力は及ぶか

「労働新聞」「安全スタッフ」(2009年1月~12月掲載文)
法改正等で現在の正確な内容と異なる場合があります。

[ 質問 ]

 当社には従業員の過半数を代表する労働組合があります。労働組合と時間外・休日労働協定(36協定)を締結して、所轄労働基準監督署に届け出ていますが、組合の構成員でないパートも多数います。これらにも、36協定は適用され、組合員と同様、残業、休日労働を命じられると考えてよいでしょうか。

福岡・T社

[ お答え ]

 労基法第36条の規定による時間外・休日労働に関する協定(36協定)は、本来禁止されている時間外・休日労働を適法に行わせるための手続きで、所轄労基署に届け出ることによって、その協定枠内で、時間外・休日労働をさせても法違反にならないというものです。
 このため、労働者の団体意思の同意を条件としており、労働者側の協定当事者に一定条件が設けられています。つまり、協定当事者はその事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、ない場合には労働者の過半数代表者でなければなりません。
 なお、「労働者」とは管理監督者、監視・断続業務従事者、年少者など労基法上特別扱いされている労働者も含みます。
 36協定の労働者側の当事者を制限している反面、この資格を満たした労働組合(または過半数代表者)と締結した36協定であれば、労基法違反に問われないという免責効力は事業場全体に及びます。たとえば、時間外労働を行わせることができる労働者の範囲を「労働組合の組合員に限る」と限定されていても、組合員によって時間外労働の可否を分けるなどの措置は一般にはできないと解すべきであるとされています(厚生労働省労働基準局編「労働基準法」)。したがって特段の事情がない限り、36協定の効力としては組合員以外の全労働者に及ぶと考えられます。
 また、組合が正社員のみで構成されている場合であっても、事業場の全従業員の過半数で組織している限りは、その組合が全従業員のために協定締結権を有します。改めて、他の労働組合と協定する必要はありません(昭23・4・5基発第535号)。
 労働組合が労働者(パートなど含む)の過半数で組織されていれば、労働組合と締結した36協定の効力は、非組合員である労働者にも当然に及ぶことになります。パートにも、一般組合員と同様に時間外・休日労働をさせられます。
 しかし、時間外・休日労働を命じられるのは、労働組合と締結した枠内に限られ、この枠を越えて労働させることは許されず、もし行えば違法です。
 36協定では、時間外・休日労働をさせることができる労働者数について協定することとなっていますので、パートにも時間外・休日労働を命じる場合には、正社員以外のパートなどの人数を含めた労働者数を36協定に記載し、協定しなければなりません。



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