労働実務事例
[ 質問 ]
私傷病欠勤が続いていたので、年休の出勤率8割をやっと満たすという状況です。ところが、会社は8割を切っているので年休が発生しないという見解を取っています。問題は慶弔休暇の扱いで、「就業規則には業務上傷病、育介休業、産休のみ出勤とみなす」と規定してあるので、慶弔休暇は欠勤扱いしたというのですが、こんな処理が法的に許されるのでしょうか。
埼玉・K生
[ お答え ]
年休の発生要件の1つとして、年休付与の基準日前6カ月(1年)に「全労働日の8割以上出勤したこと」が挙げられています。1年の労働日(暦日数から所定休日を除いた日数)が240日だったとすれば、192日以上出勤した人に年休が付与されます。
労基法第39条第7項では、「業務上傷病の休職期間、育児・介護休業期間、産前産後休業期間は、年休の出勤率計算については、出勤したものとみなす」と規定しています。
ですから、それ以外の休暇は欠勤扱いが可能で、無断欠勤であろうと、就業規則で保障した休業であろうと、法律上の扱いに区別はありません。「慶弔休暇の性質については、使用者ないし労使当事者が自由にその性質を定め得るものであるから、出勤率の算定に当たっては欠勤として取り扱う休暇として定め得る」(厚生労働省労働基準局編「労働基準法」)と解されています。
しかし、法的に可能というだけで、前掲書でも、「就規所定の事由が発生したことを条件として労働義務を免除したものと考えることができ、当日は8割出勤の算定に当たり分母たる全労働日から除外することが妥当」と述べています。式に示せば、次のとおりです。
実際に出勤した日数÷(全労働日―慶弔休暇日数)≧8割
出勤率の計算上、慶弔休暇取得日も出勤したとみなすのが一番有利です。欠勤とみなすのが一番不利で、全労働日から除外するのがその中間です。「全労働日から除外」の典型例には、「正当なストライキその他正当な争議行為により労務の提供がまったくなされなかった日」(昭33・2・13基発第90号)があります。
貴社の就業規則で、「業務上傷病…は出勤したとみなす」と規定してあるのは労基法の条文をなぞっただけのもので、慶弔休暇を欠勤扱いする根拠としては薄弱です。
過去に慶弔休暇をどのように扱っていたかを調べ、労使の合意内容を推測すべきでしょう。これを機会に、少なくとも「全労働日から除外」という内容で労使が扱いを統一するよう話し合うのがベターです。
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