労働実務事例
[ 質問 ]
当社では、コンピュータ作業に従事している社員に対し、「連続作業はなるべく避けるよう」注意を促しています。担当部長から、「時間を決めて作業を中断させ、休憩時間として処理したらどうか」というアイデアが出されました。その分、昼休みを短くする予定ですが、法律的に認められるのでしょうか。
滋賀・K社
[ お答え ]
コンピュータ作業の従事者の中には、慢性的な眼精疲労・肩こり等に悩む人が少なくありません。厚生労働省では、「VDT作業のガイドライン」(平14・4・5基発第0405001号)を策定し、事業主に対し「単純入力型(資料・名簿作成など)・拘束型(コールセンターの顧客対応業務など)の作業者の場合、1連続作業時間が1時間を超えないようにし、10~15分の作業休止時間を設ける」よう要請しています。それ以外のタイプのコンピュータ作業者(コンピュータ・プログラミングなど)にも、それに準じた措置を講じるのがベターです。
貴社でも、ガイドラインに配慮した労務管理が行われているのでしょうが、「作業休止」と「休憩」はイコールではありません。
労基法で定める休憩時間は、「単に作業に従事しない手待時間を含まず、権利として労働から離れることを保障されている時間」(昭22・9・13発基第17号)を指します。休憩時間に該当すれば、労働時間には含まれないので、賃金の支払い義務も発生しません。
休憩は「労働時間の途中に与える」(労基法第34条第1項)必要がありますが、法定の時間(労働時間6時間超で45分、8時間超で1時間以上)を確保すれば分割することもできます。
しかし、貴社では、コンピュータ作業を中断するだけで、その時間は資料整理など雑務処理に当てられているのではないでしょうか。1時間ごとの細切れの休止時間をすべて休憩扱いするためには、自由利用の原則(同条第3項)に基づき完全に作業から開放しなければいけません。
現実的には、昼の休憩のほか1~2回、まとまった休憩時間を設ける等の小幅の変更を検討すべきでしょう。
この場合、コンピュータ部門の休憩時間が他の社員と異なるので、労基則第31条の一斉休憩適用除外(運輸交通業、商業など)に該当しない事業では、過半数労組(ないときは過半数代表者)と休憩時間の与え方に関する労使協定を結ぶ必要があります。
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