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労働実務事例

提供:労働新聞社

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積立年休を傷病時に限り使用認めているが生休での使用も認めなければならないか

「労働新聞」「安全スタッフ」(2009年1月~12月掲載文)
法改正等で現在の正確な内容と異なる場合があります。

[ 質問 ]

 当社では、時効消滅した年休の積立制度を設け、傷病時に限って最大40日の消化を認めています。女性従業員が当初、生理が重いといって休み始めたのですが、結局4日連続して休み、後から積立年休を使用したいと申し出てきました。会社として、どう対処すべきでしょうか。

岡山・K社

[ お答え ]

 年休の積立制度は法的に義務付けられたものではなく、労使が話し合って決めるものです。本来なら、2年で時効消滅(労基法第115条)する年休の権利を保留し、あらかじめ定めた基準に合致する場合に限って使用を認めるものです。
 元々は年休として与えられた休暇の一部が、法定外の有給休暇として積み立てられるので、従業員は年休と同様に権利を行使できると考えがちです。しかし、「法定を超える日数の年休については、労基法によらず労使間で定めるところによって取り扱って差し支えない」(昭23・3・31基発第513号)と解されています。時効消滅した年休も、労使がその取扱いルールを自由に設定することができます。
 労基法に基づく年休はストライキ目的で利用する場合を除き、取得理由に制限はありません。もちろん、病気療養のための使用も認められます(昭24・12・28基発第1456号)が、そもそも利用目的を申し出る義務も存在しないので、長期療養を除き、事業主に診断書等の提出を求める当然の権利もありません。
 しかし、積立年休については、労使が使用目的を限定することが可能です。会社が、いわゆる「負傷・疾病」のみを対象として定め、「生理日の就業が著しく困難な場合」を除外しても問題ありません。現実には、積立年休を「生理休暇」に充当可能とする会社はレア・ケースでしょう。
 ご質問の女性は、「4日も休まざるを得なかったのは、正常な状態とはいえず、病気と同様に扱うべき」と主張されるかもしれません。
 しかし、積立年休については、使用目的のほか、申出の要件も定めます。保有する年休をすべて消化後に積立休暇の使用を認め、併せて不正使用を防ぐため、医者の診断書提出を義務付けるのが一般的です。今回のケースでも、そうした会社基準を満たさない限りは、積立年休の使用を認める義務はありません。もし、ルールが不明確なら、今回のトラブルを契機に、合理的な規定を設けるべきでしょう。



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