• HOME
  • 労働実務事例

労働実務事例

提供:労働新聞社

このエントリーをはてなブックマークに追加

入社日に半分前倒しした年休、10日付与から1年計算?

「労働新聞」「安全スタッフ」(2009年1月~12月掲載文)
法改正等で現在の正確な内容と異なる場合があります。

[ 質問 ]

 年次有給休暇の付与日数についてお尋ねします。労基法第39条では、入社後6カ月経過し、8割以上出勤していれば10日付与される、とあります。当社は、4月入社の場合、入社日に半分の5日を前倒し付与しており、残りは10月に出勤率を満たしていれば付与しています。そして翌年の年休付与の基準日は、入社からトータルで10日を付与することになる10月から1年を経過した翌年の10月です。労基法の要件は満たしていると思うのですが、どうでしょうか。

北海道・F社

[ お答え ]

 新入社員に年休を前倒し付与(初年度において法定の年休の付与日数を一括して付与するのではなく、その日数の一部を法定の基準日以前に付与する)することは、年休を付与する基準日を統一するなど、入社日が異なる社員間の不均衡を解消するためにも有効な手段となります。
 使用者が継続6カ月間の期間満了前に、労働者に対し年次有給休暇を与えることは、労働者により有利な取扱いとして何ら差し支えありません(昭29・6・29基発第355号)。また、前倒しして付与した際の残りの日数は、入社後6カ月を経過する日までにすべて付与しなければなりません。
 ご質問にある次年度以降の年休の付与日ですが、初年度の付与日を法定の基準日から繰り上げた期間と同じまたはそれ以上の期間、法定の基準日より繰り上げることとしています(平6・1・4基発第1号)。
 通達では、「4月1日入社した者に入社時に5日、法定の基準日である6カ月後の10月1日に5日付与し、次年度の基準日は本来翌年の10月1日であるが、初年度に10日のうち5日分について6カ月繰り上げたことから同様に6カ月繰り上げ、4月1日に11日付与する場合」とあります。
 なお、たとえば5月入社の社員がいた場合に年休の付与基準日を4月1日に統一しようとするならば、入社日に5日、6カ月後に残りの5日を付与したのち、本来であれば5月が基準日のところを4月に付与することになります。したがって勤続期間の長短が考慮されずに年休が一律付与されることになりますが、労働者にとって不利な扱いではありませんし、斉一的に付与する以上やむを得ないものと考えられます。
 また、時効の起算日についてですが、入社日に付与した5日は、取得可能となった時点からカウントします。ですから入社時に付与された5日については入社日、残りの5日については入社6カ月経過後の日となります(平6・5・31基発第330号)。
 ご質問の場合は、①翌年の4月1日に11日の年休を与えなければならないこと、②入社6カ月後に与えた5日を、法定より短い時効で消滅させることはできないことに注意しなければなりません。



労働新聞社について

閲覧数(23,524)

キーワード毎に情報を集約!

絞り込み検索!

現在636事例

カテゴリ

表示順

※ハイライトされているキーワードをクリックすると、絞込みが解除されます。
※リセットを押すと、すべての絞り込みが解除されます。

スポンサーリンク

経営ノウハウの泉より最新記事

スポンサーリンク

労働実務事例集

労働新聞社 監修提供

法解釈から実務処理までのQ&Aを分類収録

注目のコラム

注目の相談スレッド

スポンサーリンク

PAGE TOP