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労働実務事例

提供:労働新聞社

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無給の育児時間も計算に含めて残業扱い?

「労働新聞」「安全スタッフ」(2009年1月~12月掲載文)
法改正等で現在の正確な内容と異なる場合があります。

[ 質問 ]

 満1歳未満の子どもを育てている女性従業員に対して、所定始業時刻(午前9時)から1時間、あるいは所定終業時刻(午後5時30分)前の1時間を本人の請求により育児時間として与え、その時間は無給としています。その女性が今月は1日1時間の残業を6日間、計6時間残業しました。割増賃金は支払うのでしょうか。

大阪・D社

[ お答え ]

 労基法第67条は、生後満1年に達しない生児を育てる女性は、休憩時間のほか「1日2回各々少なくとも30分」、その生児を育てるための時間を請求することができるとし、その育児時間中は「その女性を使用してはならない」と規定しています。
 1日2回少なくとも30分という基準は、8時間労働制を予想したものですから、1日の労働時間が4時間以内のパートタイマーの女性は1日1回少なくとも30分でよいとされています(昭36・1・9基収第8996号)。
 育児時間中は、生後満1年未満の生児を育てる女性従業員が請求した場合には付与する義務が生じ、請求がないときは与えなくても問題はありません。
 法文上は「1日2回各々少なくとも30分」ですが、育児時間を一括して請求することも問題はないとされています。請求により、出社時間を1時間遅らせるとか、退社時間を1時間早くする形で育児時間を与えることも差し支えありません。
 育児時間中の賃金ですが、労基法は有給であることを要求していませんので、労働協約や就業規則の定めによって、有給無給を自由に決定することができます。
 行政解釈も「生後満1年に達しない生児を育てる女性労働者が、育児のための時間を請求した場合に、その時間に係る時間に、当該労働者を使用することは、法第67条違反である。その時間を有給とするか否かは自由である」(昭33・6・25基収第4317号)としています。
 無給とする場合、その賃金カットはその不就労時間に見合うものでなければなりません。
 労基法上、時間外労働として残業手当(割増賃金)を支払わなければならないのは、1日8時間、週40時間の法定労働時間を超えて労働させた場合です。育児時間を請求したかどうかに関係なく、実際にその日に何時間労働したかが問題になります。
 始業時間から1時間の育児時間を取得している女性が、1時間残業しても、その日の労働時間は8時間を超えていませんので、残業手当(125%)を支払う必要はありません。いわゆる法内残業に当たるものですから、通常の賃金(100%)を支払うことで足ります。
 しかし、所定終業時刻以後の残業には、その日の実労働のいかんにかかわらず、残業手当を支払うようになっている場合には、残業手当(125%)を支払うことになります。



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