労働実務事例
[ 質問 ]
世間では、たばこの自販機で成人識別カードの導入が進んでいます。「満18歳未満の者について戸籍証明書の備付義務」が課されていますが、成人か否か判断するために、戸籍証明書等の提出を受けることは許されるのでしょうか。ちなみに、当社の就業規則では、年齢にかかわりなく入社時には「住民票記載事項の証明書」を提出するよう義務付けています。
宮城・H社
[ お答え ]
個人情報保護法の関係で、公的資料の提出を求める際にも細心の注意を払う企業が増えています。
一方、労基法第6章では年少者に関する規制を定めています。未成年者に関しては、第58条(未成年の労働契約)、第59条(独立の賃金請求権)の2条文が設けられています。
しかし、年齢の証明については、「満18歳に満たない者について、その年齢を証明する戸籍証明書を事業場に備え付けなければならない」と規定してあるだけです(第57条)。18歳以上の者を対象に「法律に基づき戸籍証明書の提出を求める」権限があるか否か、必ずしも明らかではありません。
にもかかわらず、貴社のように入社時には「一律、住民票記載事項の証明書等の提出を義務付ける」企業が一般的です。労基法第107条では、「労働者名簿を、各労働者(日々雇い入れられる者を除く)について調製しなければならない」と定めています。名簿には、氏名、生年月日、履歴等を記載する必要があります。ですから、日々雇い入れられる者を除いては、生年月日等の確認が不可欠となります。
解釈例規(平9・2・21基発第105号)では、「就業規則等において、一般的に、採用時等に住民票の写し等の提出を求める旨を記載している事例があるが、可能な限り住民票記載事項の証明書により処理する」よう要請しています。
18歳未満の戸籍証明書についても、「住民票記載事項の証明書を備えれば足りる」(前掲行政解釈)ので、実務的には他の公文書を強要しないようにすべきです。
建設現場等で日雇労働者を使用する場合、「年齢について確証を得るための公文書を求めることは実際上全く困難」(昭63・3・14基発第150号)ですが、「容貌、体格、能力、知能その他より判断して疑念を挟む余地のない者については、本人申告を基準としても年齢確認義務を怠ったものといえない」という扱いになっています。
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