労働実務事例
[ 質問 ]
社内文書の電子データ化に伴い、就業規則を印刷し、各人に配布する方式を廃止したいと考えています。大多数の社員については、1人1台、パソコンを貸与する態勢が整っていますが、倉庫等の現場で、一部、機器を持たない社員がいます。「所属長のパソコンでみる」形にすれば、問題ないでしょうか。
高知・H社
[ お答え ]
労基法および関連規則、就業規則、労基法に基づく労使協定・労使委員会の決議は、所定の方法により周知する義務があります(労基法第106条)。
その方法は、次の3種類と定められています(労基則第52条の2)。
① 作業場の見やすい場所への掲示、備付け
② 書面交付
③ 磁気テープ・ディスク等で記録し、閲覧用の機器を設置
周知はこのいずれか1つ以上の方法で行う必要があり、違反した場合には30万円以下の罰金に処せられます。
平成20年3月から労働契約法が施行されていますが、就業規則による契約内容の補充(第7条)、就業規則による労働条件変更(第10条)については、「就業規則の周知」が効力発生の要件のひとつとされています。労働契約法でいう周知は、「労基法・則で定める3方法に限定されるものではなく、実質的に判断される」(平20・1・23基発第0123004号)と解されています。しかし、この機会に、自社で就業規則の内容が十分に周知されているか否か、再チェックすべきでしょう。
周知に当たって、労基則第52条の2の③の方法を選択したとします。この場合には、「各作業場にパーソナルコンピューター等の機器を設置し、労働者に操作の権限を与えるとともに、操作の方法を労働者に周知させる」ことが要件となります(平11・1・29基発第45号)。
「作業場」とは、「事業場内において密接な関連の下に作業の行われている現場をいい、主として建物別等により判断すべき」とされています(昭23・4・5基発第535号)。
作業場ごとに、「所属長のパソコンをみる」といっても、通常、部下の従業員は所属長のパソコンを勝手に開く権限を有しません。機密情報の保持という観点から権限を与えるのは不可能に近いので、閲覧専用の機器等を設置するほかないでしょう。この場合も、「パソコンは苦手」という高齢者等がいれば、操作方法を周知させる(覚えてもらう)必要があります。
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