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労働実務事例

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契約内容と実態が異なる派遣先の就業規則適用か

「労働新聞」「安全スタッフ」(2009年1月~12月掲載文)
法改正等で現在の正確な内容と異なる場合があります。

[ 質問 ]

 派遣労働者には派遣元・先どちらの就業規則が適用されるのでしょうか。たとえば、労働時間や休憩・休日について労働条件通知書に記載された内容と派遣先の就労実態が著しく異なる場合に優先されるのはどちらなのでしょうか。ご教示ください。

香川・K社

[ お答え ]

 派遣元は派遣労働者を雇入れる際、派遣労働者であることを明示する(派遣法第32条第1項)とともに、モデル労働条件通知書などを交付することにより、その労働条件を明確に示します。
 雇入れた労働者を派遣する際には、就業条件を明示します(派遣法第34条)が、派遣元指針(平11・労働省告示第138号)ではモデル労働条件通知書などを活用するよう求めています。
 登録型派遣で、雇入れイコール労働者派遣というケースでは、「労働条件通知書と就業条件明示書を同時に交付する場合、記載事項の一致する事項については、一方を省略して差し支えない」という扱いとなっています。
 派遣社員は、就業条件明示書で示された範囲内で派遣先の指揮命令に従って働きます。しかし、派遣社員の周囲で働く派遣先の正社員などは、派遣先の就業規則に従って労務を提供しています。就業条件明示書の内容と派遣先の就業規則の実態が異なる場合、派遣労働者はどちらに従うべきなのでしょうか。
 就業規則は事業場単位に作成され、原則として事業場で働くすべての労働者に適用される規則ですから、同じ職場で就労する派遣労働者にも適用されるのではないか、という疑問が生じます。
 労働基準法は、使用者とその雇用する労働者との間の関係を規制する法律です。しかし、派遣労働者については、就労場所が派遣先であることから、一部、派遣先を事業者とみなす特例規定が設けられています(派遣法第44条)。
 たとえば、時間外、休日労働などの定めについては派遣元が行いますが、労働時間、休憩・休日などの管理については、派遣先が責任を負います。
 それでは、就業規則についてはどうかというと、特例の対象ではなく、原則どおり、派遣元のみを使用者とみなします。就業規則では労働時間、休憩・休日、年次有給休暇など、直接の就労にかかわる事項も定められていますから、就業条件明示書に示された労働条件と派遣元の就業規則は内容的にほとんど一致しているはずです。
 派遣元と派遣先が労働者派遣契約を結ぶ際、就業規則の条件を下回る内容で派遣就労の条件を定めることはできません。派遣先の就業規則に従った労務提供が求められる場合、派遣元の就業規則を修正する必要があります。



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