労働実務事例
[ 質問 ]
雇用保険の基本手当を受給する際の基本手当の日額は、離職前の賃金をもとに算定され、その際にはボーナスは含まれないと聞いています。それでは、3カ月分まとめて支払われる住宅手当は賃金に含まれますか。賃金日額の算定の基礎となる賃金の範囲について教えてください。
群馬・K社
[ お答え ]
雇用保険の基本手当の額は、被保険者の離職前の賃金に基づいて算定されるので、その定義および範囲は、極めて重要な意義を有します。
雇用保険法においては、健康保険法、厚生年金保険法における標準報酬制と異なり、賃金変動の実際に則し、総賃金制(あるいは実賃金制)をとっており、労働の対償として事業主が労働者に対して支払うすべてのものを賃金としています。
つまり、①事業主が労働者に支払ったものであること、②労働の対償として支払ったものであること、の要件を備えなければなりません。
②については、原則として次の要件に該当するものが労働の対償であるとされます。
(1)実費弁償的なものでないこと
(2)恩恵的なものでないこと
すなわち労働協約、就業規則、給与規程などによりその支給が事業主に法律上義務づけられている場合および慣習が慣習法となりまたは慣習が労働契約の内容となりその支給が事業主に義務づけられているものであること。
基本手当日額の算定に当たり、賃金日額の算定の基礎となるのは、「臨時に支払われる賃金」と「3カ月を超える期間ごとに支払われる賃金」を除いたものになります。
「臨時に支払われる賃金」とは、支給事由の性格が臨時的であるものおよび支給事由の発生が臨時的であるか、不確定であるものをいいます。例えば大入袋または業績手当などの名称で、事業の利益があった都度支払われる手当は、これに該当します。
「3カ月を超える期間ごとに支払われる賃金」とは、算定の事由が3カ月を超える期間ごとに発生するものをいい、通常は実際の支払いも3カ月を超える期間ごとに行われるものです。例えば年2期の賞与などは、これに該当します。
この場合、単に支払事務の便宜などのために年間の給与回数が3回以内となるものは「3カ月を超える期間ごとに支払われる賃金」には該当しません。
例えば通勤手当などその支給額の計算の基礎が月に対応する手当が、支払いの便宜上年3回以内にまとめて支払われた場合には、当該手当は賃金日額の算定の基礎に含まれることとなります。
ご質問にあったような住宅手当は、この解釈により、算定の際には賃金に含まれます。
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